新渡戸カレッジ 10 月合宿 2015 ディベートの事前課題について 10 月合宿でのディベートの目的: 準備から本番までの活動を通して、チームワーク力を磨く。 ディベート経験者はリーダーシップ力を磨き、すべてのメンバーが発言しやす い環境を作る。 チームおよび自分にとって最大限の成果を引き出すために、次の事前課題を考えてくることをすすめます。 ディベートのテーマ:「日本は裁判員制度を廃止すべきであるか否か」 下の文を読んで、テーマの内容を肯定する場合と否定する場合のそれぞ れにおいて、何を根拠として肯定(または否定)するか、考えてきてく ださい。また、裁判員制度についてよりわかりやすく解説したものを参 考リンクに挙げているので、参考にしてください。 平成 21 年 5 月 21 日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)」が施行され、 裁判官 3 名に、一般の国民から選ばれた裁判員 6 名が加わっての裁判(裁判員裁判)が実施さ れることとなった。 裁判員は地方裁判所の行う殺人や放火などの重い犯罪の刑事裁判に参加する。基本的に 20 歳 以上の国民の誰もが裁判員となる可能性がある。 裁判員の主な仕事は、①裁判に立ち会って、検察官、弁護人、被告人の話を聞く、②検察官 と弁護人・被告人の話や証拠について、他の裁判員や裁判官と話し合う(事実認定) 、③被告人 が有罪か無罪か、有罪のときはどんな量刑にするかを話し合って決める、という 3 つである。 裁判員制度の利点として、例えば以下が挙げられる(最高裁判所(2014) 、吉田(2010) )。 裁判にいろいろな人の意見を取り入れることで、わかりやすく深みのある判決になる。 裁判の迅速化がはかられる。 法律の専門家ではない裁判員が先入観や偏見を抱くことがないよう、弁護人の申し入れ により被告人の着衣や着席位置等に特別な措置がとられる。 従来の刑事裁判では、捜査機関が作成した供述調書を証拠の中心とし、裁判官が裁判官 室で読んで心証を形成していたが、裁判員制度では証人尋問や被告人質問など法廷内で のやり取りのみによって心証が形成されるため、刑事訴訟法の予定している口頭主義、 直接主義に基づいた裁判が行われることになる。 1 一方、裁判員制度の問題点もいくつか指摘されている(木村(2011)) 。 一般市民である裁判員が死刑か無期懲役か、あるいは死刑か無罪かという選択を迫られ、 多大な心理的負担を負う可能性がある。 決定的な物的証拠や動機の解明がなく、曖昧な目撃証言などの状況証拠の積み重ねだけ で争われる重大殺人事件などの場合、印象による判断が下され、冤罪・誤判につながる 可能性がある。 裁判の迅速化のため行われる、裁判員が事件の争点や証拠の内容をよく理解できるよう 事前に争点と証拠、証明すべき事実との関係を明らかにする公判前整理手続での争点整 理が被告人の立ち会いや発言なしに非公開で行われ、被告人にとって不利に働く可能性 がある。 被害者参加制度の導入と裁判員制度の組み合わせにより、裁判員となる一般国民が被害 者・検察官側に立って検察側の求刑に近い重い量刑を下すなど厳罰化・推定有罪の傾向 が強まる傾向がある。 キーワード:裁判員制度、陪審員制度、公判前整理手続、死刑制度 参考文献: 木村朗(2011) 「裁判員制度における人権侵害の落とし穴―鹿児島高齢者夫婦殺害事 件を題材に―」 『立命館法学』2010 年 5・6 号(333・334 号) pp.551-585 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-56/kimura.pdf 最高裁判所 ウェブサイト http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/work_and_role.html 最高裁判所 「裁判員制度ナビゲーション(2014 年 9 月改訂版) 」 http://www.saibanin.courts.go.jp/news/navigation.html 吉田秀康(2010) 「裁判員裁判の成果と問題点」LIBRA Vol.10 No.5 2010/5 pp.1-6 http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2010_05/p02-14.pdf その他、裁判員制度についての参考資料: (最高裁判所) 1. 「裁判員制度 for Kids」 http://www.saibanin.courts.go.jp/kidz/index.html 裁判員制度がどのようなものか、わかりやすく解説。 2. 「裁判員制度を考える」 (熊本県立熊本高等学校) http://www.kumamoto.bears.ed.jp/var/rev0/0001/1967/201.pdf 平成 21 年に裁判員制度を考えるための模擬裁判を実施した (http://www.kumamoto.bears.ed.jp/_2420/_2479/_2571.html)熊本県立熊本高等学校の 2 年生 が裁判員制度の問題点をわかりやすくまとめている。 2
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