真野川生きものマップ [ 水生生物編

真野川生きものマップ
[水生生物編]
(絵・奥井貞夫)
子どもが遊べる川づくりプロジェクト
真野川生きものマップ [ 水生生物編 ]
私たち「おおつ環境フォ−ラム 子どもが遊べる川づくりプロジェクト」で
は、平成14年から大津市内を流れる「川」を活動の場として、
「生きものマッ
プ」の作成に取り組んできました。
すでに晴嵐学区を流れる「三田川」での取り組みをまとめて「三田川生きもの
マップ・水生生物編」を、また逢坂学区を流れる「吾妻川」での取り組みをま
とめて「吾妻川生きものマップ・水生生物編」を作成しました。
今回、伊香立学区、真野学区、堅田学区を流れ下る「真野川」での取り組みを
まとめ、
「真野川生きものマップ・水生生物編」を作成しました。毎年1−2回
真野小学校4年生の総合学習支援の中で真野川の中流区域に入り、観察される
水生生物を記録し、また上流区域での水生生物観察を重ね、その結果をまとめ
たものです。
平成25年3月14日
真野川上流区域「大津市企業局水道施設横」で水生生物の観察
1
平成24年6月26日
真野小学校4年生の児童と真野川中流区域「荒木橋付近」で水生生物の観察
平成27年3月5日
真野小学校の理科室を借りて水生生物の同定研修(顕微鏡観察)
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真野川
真野川は、大津市伊香立北在地町に水源を発し、伊香立学区、真野学区、堅
田学区を流下して、大津市今堅田で琵琶湖西岸に注ぐ一級河川です。
真野川の上流区域、「大津市企業局水道施設」の近くは森の中であり、また
真野川の中流区域、「荒木橋」の周辺は水田、畑が多く、その中に住宅が散在
する典型的な田園地帯です。
真野川で観察される水生生物
真野川で水生生物(主に水生昆虫)を観察し、これまでに得られた結果を紹
介します。
水生昆虫
カゲロウのなかま
モンカゲロウ (幼虫)
フタスジモンカゲロウ(幼虫)
(上流)
(上流)
3
キイロカワカゲロウのなかま(幼虫)
チラカゲロウのなかま(幼虫)
(中流)
(中流)
オオマダラカゲロウ(幼虫)
クロマダラカゲロウ(幼虫)
(上流、中流)
(上流、中流)
マダラカゲロウのなかま(幼虫)
シロタニガワカゲロウ(幼虫)
(中流)
(中流)
4
ナミヒラタカゲロウ(幼虫)
エルモンヒラタカゲロウ(幼虫)
(上流)
(上流)
ヒメフタオカゲロウ(幼虫)
(上流)
カワゲラのなかま
オオヤマカワゲラ属(幼虫)
カミムラカワゲラ属(幼虫)
(上流)
(上流)
5
ヤマトカワゲラ属(幼虫)
フサオナシカワゲラ属(幼虫)
(上流)
(上流)
フタツメカワゲラモドキ属(幼虫)
ヒメカワゲラ属(幼虫)
(上流)
(上流)
トンボのなかま
カワトンボ属(幼虫)
ハグロトンボ(幼虫)
(上流)
(中流)
6
イトトンボのなかま(幼虫)
コオニヤンマ(幼虫)
(中流)
(中流)
コヤマトンボ(幼虫)
サナエトンボのなかま(幼虫)
(中流)
(中流)
オニヤンマ(幼虫)
ヤンマのなかま(幼虫)
(上流)
(中流)
7
トンボのなかま(幼虫)
(中流)
タイコウチ、アメンボのなかま
タイコウチ(成虫)
マツモムシ(成虫)
(中流)
(中流)
アメンボ(成虫)
シマアメンボ(成虫)
(中流)
(中流)
8
ヘビトンボのなかま
ヘビトンボ(幼虫)
(上流、中流)
トビケラのなかま
ヒゲナガカワトビケラ(幼虫)
シマトビケラのなかま(幼虫)
(中流)
(中流)
ムナグロナガレトビケラ(幼虫)
ツメナガナガレトビケラ(幼虫)
(中流)
(上流)
9
ヨツメトビケラのなかま(筒巣・幼虫)
グマガトビケラ(筒巣・幼虫)
(中流)
(中流)
ホタル、ドロムシ、ナガハナノミのなかま
ゲンジボタル(幼虫)
(中流)
ゲンゴロウ、ガムシ、ミズスマシのなかま
モンキマメゲンゴロウ(成虫)
ガムシのなかま(成虫)
(中流)
(中流)
10
ハエ、カのなかま
ガガンボのなかま(幼虫)
ナガレアブのなかま(幼虫))
(中流)
(中流)
アブのなかま(幼虫)
(中流)
水生動物
甲殻類
サワガニ
アメリカザリガニ
(上流、中流)
(中流)
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ヌマエビのなかま
ヌマエビのなかま
(中流)
(中流)
巻貝類、二枚貝類
カワニナのなかま
シジミのなかま
(上流、中流)
(中流)
タニシのなかま
(中流)
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環形動物
イトミミズのなかま
(中流)
魚類
カワムツ
トウヨシノボリ
(上流、中流)
(上流、中流)
ヨシノボリのなかま
ドンコ
(上流、中流)
(上流、中流)
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カマツカ
シマドジョウ
(上流、中流)
(中流)
両生類
オタマジャクシ
(中流)
(掲載されている水生生物の写真は、
「子どもが遊べる川づくりプロジェク
ト」のメンバ−が撮影したものです)
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まとめ
水生昆虫は川の環境のバロメーターです
水生昆虫は、一生の間の一定期間、特に幼虫の時期に水中で生活し、脱皮、
変態等を経て、成虫になると陸上の生活をする昆虫のことをいいます。私たち
の身近には、夏の風物詩でもあるホタルがいます。トンボ、ゲンゴロウやタガ
メも水生昆虫の仲間です。
川に棲息する水生昆虫の多くは、水温、水質、溶存酸素量、川底の状態、え
さが豊富かどうか等の影響を受けます。その環境によって、生きものの種類・
量は異なります。きれいな水に棲む水生昆虫には、カワゲラの仲間、ヘビトン
ボ、トビケラの仲間、カゲロウの仲間、ブユなど。そのほかの水生生物として
は、サワガニやウズムシもいます。
こられの生きものはいずれも指標生物となっています。指標生物とは、そこ
に棲む生きものを調べることで、その水質など川の環境を知ることが出来る生
きもののことをいいます。指標生物の多くは水生昆虫から選ばれています。つ
まり、水生昆虫を調べることによって、その川の水質がどのようなものである
かを知ることが出来ます。(詳しくは、添付の参考資料を参照)
真野川上流区域では、ヒラタカゲロウのなかま、カワゲラのなかま、ヘビト
ンボ、ナガレトビケラのなかま、サワガニ等「きれいな水」に生活する「生き
もの(指標生物)」が観察されました。
つまり、真野川上流区域を流れる水は「きれいな水」と判定されます。
真野川の中流区域で観察された「生きもの」は、
「きれいな水」に生活する「生
きもの」であるサワガニ、ヘビトンボ、ガガンボが観察された。また、
「少しよ
ごれている水」に生活するタニガワカゲロウのなかま、ヒゲナガカワトビケラ、
シマトビケラのなかま、コオニヤンマ、カワニナも観察されたことから、この
観察場所(真野川の中流)では「きれいな水∼少しよごれている水」が流れて
いることが分かります。
ただ、
「大変よごれている水」に生活するアメリカザリガニ、イトミミズのなか
ま も観察されたので、この観察場所の一部に水がよどんでいる場所があると
思われます。
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謝辞
水生生物の同定については、龍谷大学の上西実講師、琵琶湖博物館の桝永一
宏学芸員に指導していただきました。 記して謝意を表します。
真野川生きもの調査参加者
下記のメンバーが、「真野川生きもの調査」に参加し、「真野川生きものマッ
プ・水生生物編」のもとになる観察・採集・同定を行いました。
生駒雅俊、大口正勝、奥井貞夫、岸研治、栗田あざみ、笹川勝、佐橋保司、
島田輝久、住田健、塚尾安夫、中西逸朗、畑憲治、本多登美子、松田いず
み、丸山郁夫、三田村緒佐武、南井直之、山岡剛
以上
作成者・中西逸朗、本多登美子、丸山郁夫
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