平成27年6月15日 福 津 市 議 会 議長 椛 村 公 彦 様 議会運営委員会 委員長 井 上 聡 議会運営委員会報告書 本委員会は、下記のとおり所掌事務調査を実施したので、会議規則第110条の規 定により、報告いたします。 記 1.調査事項 議会運営と議会活性化の取り組みに関する調査 2.調査期日および視察先 (1)平成27年5月13日(水) (2)平成27年5月14日(木) 東京都町田市議会 神奈川県逗子市議会 3.調査にあたって 長年にわたり、積極的に様々な議会改革(活性化)を進めてきた町田市議会並び に、タブレット端末を導入してペーパーレス化による経費節減や事務のスピード化 を図っている逗子市議会の議会運営、議会活性化の取り組みについて調査を行っ た。 4.調査結果 (1) 町田市議会の議会運営と議会活性化の取り組みについて ①電子表決の実施 本会議場での採決は電子表決を実施。議員席机上に賛成と反対ボタンを設置(棄権 ボタンはないため、棄権の場合は退室) 。個人の表決結果を議会だより及びインターネ ットで公表。 議事進行が速くなった。 1 ②平成 15 年6月定例会から、一般質問の質問時間を議員一人当り 40 分(答弁含ま ず)から、議員一人当り1時間(答弁含む)へ改正した。 また、毎定例会での質問者が多いため、副議長が議長席につくこともあり、正・副 議長は一般質問を行わない。 ちなみに議員定数 36 人中、 平成 26 年の一般質問者数は、 3月定例会 28 人、6月 33 人、9月 31 人、12 月 31 人、27 年3月 32 人という状況で ある。 なお、各議員の一般質問を傍聴したい市民が、当該議員の質問時刻を把握できない ことも、改正した要因の一つである。 ③委員会のインターネット中継の開始 平成 24 年9月定例会から、常任・特別委員会のインターネット中継を開始。24 時 間後には配信を行っている。 委員会休憩中もライブ配信を行い、市民がいつでも議会中継を見ることができる環 境が整った。 ④「議案のカルテ」の概要 平成 23 年からホームページ上に「議案のカルテ」を掲載。目的は、いち早く市民 に議会の審議・審査内容を報告するため。掲載項目は、議案、請願、陳情等の内容か ら、委員会での質疑応答や討論内容をはじめ、委員会審査結果、議決結果にいたるま で分かるように掲載している。 各議案の概要、審議経過・結果等が一目でわかるようになり、議会報告会の役割を 果たしている。 ⑤議員間討議の概要 平成 23 年9月定例会から、議員提出議案の審議及び請願の審査に議員間討議を導 入。 議員各人の考え方が明白になった。 ⑥災害対策委員会の設置 大規模災害発生時に随時設置。 市に対して各議員がそれぞれ要望するのではなく、議会としてのまとまりをもてる ようになった。 ⑦その他議会活性化の特徴的な取り組み ・傍聴人受付簿の廃止。 ・全員協議会、議案説明会を原則公開。 ・手話通訳を必要とする傍聴者がいる場合は、手話通訳者の派遣を依頼。 2 ・議案等会議の資料を、本会議の時は4セット、委員会の時は2セット、各傍聴席に 設置し、審議・審査にあわせて閲覧できるようにする。 ・請願書提出の際の押印を廃止。また、点字による請願書の提出もできるようにする。 請願は請願者が委員会で説明(5分) 、質疑を受ける。 ・議員、職員の委員会室へのパソコンの持ち込みを導入。ただし、外部接続は禁止。 (2) 逗子市議会の議会運営と議会活性化の取り組みについて ①タブレット端末の活用について ●導入の経緯 議会活動の質の向上と運営の効率化を図る目的で、平成 25 年5月から導入。 導入の検討理由 ・定例会では、議員1人当たり 1,000 枚以上の資料を使い、紙の削減が求められた。 ・誤植等による差し替えや急な資料作成のため、職員の労務負担が増加していた。 ・経費削減で原則カラーコピーの禁止により、図表や写真などが見づらかった ・委員会中の資料請求が多く、経費増との指摘があった。 ●活用の範囲 タブレット端末を活用した議会活動では、基本的に「紙」は使わない。 ・本会議場 議案書及びその説明資料をはじめ、総括質疑、一般質問、諸報告資料等もタブレッ ト配信され、議長がそれにもとづいて議事を進行。 ※予算書、決算書は、見やすさを重視して「紙」対応である。 ・委員会での使用 委員会でも、次第書から各種資料まで全てタブレット配信。委員長は、委員長用の 次第書と資料用とで2台使用されている。 事務局職員は、パソコンを使用している。 執行部はパソコンを持ち込み資料請求に応じている。急な資料請求にも1~2分で 対応し、ムダな休憩はない。 ・行政視察等 行政視察にも、タブレットを持ち込み、必要な資料などはタブレットに取り込み活 用している。 ●導入による効果 ・議会事務局での紙資源の軽減化は、導入前の平成 24 年度のコピー枚数 101,549 枚 に比べ、導入後の平成 26 年度は 57,567 枚と 43%の削減。コピーの使用料金は、同比 較年度で 145,451 円から 75,864 円と 48%削減された。 ・事務量の軽減では、議案書や行政計画は全てPDF提供となるためコピー代や職員 の労務費が大幅に軽減された。 3 ・議案等の作成については、導入前は総務課で議案 200 部、資料 50 部を作成し、各 課に配布していたが、導入後は①各所管で議案等をPDFで作成、②総務課の決めら れたフォルダーにデータで集約、③各所管から集めたデータを総務課が各議員のタブ レットに送信するだけである。 ・議員への連絡は、全てタブレット配信され煩雑さがなくなった。 ・条例や各種計画書等もその都度タブレットで調べることができるため、議員の質問 力の向上に繋がっている。 ・印刷の負担が少なくなったことで、行政から出る資料が圧倒的に多くなった。資料 も写真の添付など大変分かりやすくなった。 ●システム経費(議会) ・端末通信料(月間/1 人) 約 4,200 円×20 台×12 月=1,008,000 円 ・会議システム(クラウド)利用料は市長部局が契約。 57,000 円×12 月=691,000 円 ●今後の課題について ①全面ペーパーレス移行については、予算書・決算書以外は全てデータ化が可能と考 えているが、一部議員から印刷資料を求められるので、別途の方法で行っている。 ②システムの改善要望 ・手書きマーカー機能の改善。 ・複数冊子を同時閲覧できるランチャー機能の追加。 ③議員間で異なるICT機器へのスキルについては、数人単位での勉強会、マニュア ル作成などを検討中。 5.委員会としての意見 (1) 町田市議会 インターネット中継や、市議会開催ポスターのコミュニティバスへの掲出、「町田 市議会を傍聴しに行こう」のパンフレット配布等、市民への「議会の見える化」を積 極的に進めている。また、全員協議会と議案説明会の原則公開、議員間討議、ホーム ページへの「議案カルテ」掲載、電子表決等、たゆまぬ改革意識が実感できる研修と なった。 議会基本条例は策定されていないが、現行法の改正を行う中で最終的に議会基本条 例になっていくことが大切との考えで進まれていることに感銘を受けた。 「まずできる ことから始める」その積み重ねが必要である。 (2)逗子市議会 逗市市議会での研修では、主に以下の点について学ばせていただいた。 ・議員の情報収集力の向上が質問力の向上に繋がっている。 4 ・職員の印刷負担や事務量の軽減、資料を出す効率性が高まった。 ・執行部もペーパーレス化により、経費の大幅な削減ができた。 ・資料作成の労務負担の軽減、資料や図表、写真等のカラー化が可能になった。 ・委員会等での緊急資料請求にも、即時に対応できる。 ・議員への連絡、通知等の煩雑さが軽減できた。 昨今、議会活性化の一つとして、タブレット端末を導入し、議案や資料のペーパー レス化を目指す議会が増えている。また、議員の賛否についても電子採決化が進めら れている。 福津市議会においても、ペーパーレス化による経費の削減や事務のスピード化に向 け、執行部とも調整を図りながら、タブレット端末の導入を検討すべきと考える。 5
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