製造物責任の法体系および基準

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製造物責任の法体系および基準
世界での製造物の安全性に係る訴訟で普遍的なケースは、
多くの場合、何が安全な製品で何がそうでないのかについ
て説明した文書がないということです。より一般的に言え
ば、法律は、製品は「予見可能なすべてのユーザーについ
て合理的に安全」でなければならないという概念に基づ
いています。これには通常、予見可能な消費者による誤
用が含まれます。このアプローチにおいては、製造業者
は、「事故の一切ない」製品を製造することは求められて
いません。
日本の法律
日本では、製造物責任を扱う最初の法律である製造物責任
法 (法律第八十五号、1994年PL法) が、1994年7月1日に制
定されました。厳格責任の概念を導入し製造業者の責任の
定義を拡張したこの法律は、1年後の1995年7月1日に発効
しました。日本ではまた、消費生活用製品安全法や電気用
品安全法、食品衛生法、薬事法など、製品の安全性や要件
に関するさまざまな法律が定められています。
ヨーロッパの法律
欧州共同体 (EC) 内では、製造物安全法は各加盟国の国内
法に基づいていますが、ECは製造物安全性について新た
なアプローチ指令を実行しているため、多くの共通の特
徴があります。この指令は全加盟国が実行する必要があ
り、EC全体での法律の共通の枠組みとなっています。
この指令は多くの分野に及びますが、主要なものとして
は、一般的な製造物安全性や機械の安全性に関するものが
あります。EC製造物安全性指令には、一連の必須の健康
および安全要件が記載されています。この要件を満たした
場合、当該製品は十分に安全な状態で市場に出せることに
となります。必須の健康および安全要件は詳細に定義され
ているものではなく、リスクベースのパフォーマンスの概
要を記載するものとなっています。したがって、これを遵
守する主たる手段は、製造物安全性リスク評価または設計
審査となります。
米国の法律
米国では、法律制度は2段階となっています。連邦すなわ
ち全国レベルでは、主に危険な製品が輸入される、または
市場で流通することを防ぐための法律があります。この法
律ではまた、製品の安全性の問題の報告と、必要な場合の
製品回収についての要件も課しています。
それより下のレベルでは、各州に、「不法行為」の原則に
基づく、独自の一連の製造物安全法があります。不法行為
とは、負傷や損害をもたらす、不法な行為または当然の注
意を払うことを怠ることを意味します。不法行為法では、
事故を評価し、決定を下す基準を定めています。つまり、
この州レベルの不法行為法は主に、事故後の製造物損害賠
償請求を扱うためのものです。米国では、州ごとに法律に
若干違いがありますが、損害の解釈や損害認定の方法の差
はそれよりはるかに大きなものとなっています。
全体として、米国の法律は、州および連邦レベルの両方
で、ヨーロッパの法律と同じ基本的な原則に従っていま
す。安全性は通常、市場で発売するに際し、製品が安全で
ある場合、製造業者にリスクの評価を行い自身で定めるこ
とを求める、合理的に安全な基準と定義されます。
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