INSIGHT 製造物安全規格 日本の規格 多くの国産および輸入製品は製品試験の対象となってお り、所定の基準に準拠しているという証明なく日本で販売 することはできません。日本の製品要件は、強制的なもの と任意的なものという2つのカテゴリに分かれます。 規制は、製品自体だけではなく、包装や記号、ラベルの要 件、試験、輸送、保管、設置にも適用される場合がありま す。日本工業標準調査会 (JISC) が、日本での工業標準化の 活動で中心的な役割を果たしています。たとえば、JISCは 日本工業規格の制定や維持、認証および認定の管理を支援 しています。 認定は、品質管理評価の検査結果を通して決定されます。 ここでは、認証または品質マークを認めるかどうかを判断 します。 自主的なJISマークの枠組みでは、経済産業省が認定した製 品証明機関が一連の試験を行い、製品がJISに準拠している ことを確認し、製品を製造する施設の品質管理システムを 監査します。この監査に合格して製造された製品は、JISマー クを付けることが認められます。 日本以外の地域に輸出する製造業者は、輸出先の地域で適 用される地域の法律の対象となります。 ヨーロッパの規格 ヨーロッパ内では、各加盟国に独自の規格設定組織があり ます。たとえば、英国では英国規格協会 (BSI) となります。 ヨーロッパのレベルでは、規格は「欧州規格」を表すEN規 格を定めるCENおよびCENELEC、ETSIが管理します。 統一された欧州規格がある場合、アプローチを共通のもの とするため、各加盟国の標準化機関が規格を国内規格とし て採用します。 また、国際的な標準化機構であるISOが管理する、国際的 な製造物安全規格もあります。一部のISO規格は、統一さ れた欧州規格として採用されています。 EC規格は、A規格およびB規格、C規格と呼ばれる3つのレ ベルで構成されます。この規格の構造は「宇宙」にたと えることができます。中心には、すべての製品に適用さ れ基本的な安全原則となる「A規格」があります。たとえ ば、EN 1050とは、その名の通り、機械の安全性について の「リスク評価の原則」の概要を定めるものです。 B規格は次のレベルでいわば「公転」しており、一度に1つ の安全関連の問題や機器を扱いますが、多くの異なる種類 の製品に適用される場合もあります。たとえば、EN 294で は、安全ガードの最低安全距離を扱います。 そのさらに外側を回るC規格は特定の種類の製品を扱いま す。ただし、多くの製品には関連するC規格がなく、規格 がある製品の場合、関連するA規格およびB規格を広範に 参照することが少なくありません。 欧州規格では、リスク評価 (または設計審査) は出願で黙示 的であり、いわゆるリスクベースのものとなっています。 規格は、開発プロセスにおいて判断をするのに役立つもの ですが、最終的には製造業者は、選択した安全性について の警告の種類とレベルについて責任を負う必要がありま す。簡単な参照図はありません。 ISO規格もリスクベースのもので、多くが欧州規格として 採用されています。 米国の規格 米国の製造物安全規格は、規格開発機関またはSDOと呼ば れる非政府組織を通じ策定されます。多くの業界には、独 自のSDOがあります。 ヨーロッパとは異なり、米国の安全規格には明確な構造は ありません。製品独自の、またはC規格相当の規格は、ヨ ーロッパのA規格またはB規格に相当するものや、製品独 自の指針を定めた自己完結的な文書である傾向にありま す。ヨーロッパではA規格またはB規格と見なされる規格 もあります。 製造物安全規格の役割 地域にかかわらず、大半の規格はコンセンサスアプローチ と呼ばれるものを通じて策定されます。委員会またはパネ ルが設置され、そこで安全性の問題を協議し、規格の内容 について同意します。 多くの異なる代表者からなる委員会での、このコンセンサ スアプローチでは、多くの場合、指針となるものが共通分 母となる最低限度のものになってしまうという点が重要で す。各メーカーからの代表が参加することも多く、異なる 意見がなかなかまとまらないために、基本的な規格以外の 点について合意することができないのが一般的です。 たとえば、米国には、多くの製品で使用される繊維につい ての難燃性規格があります。関連の規格では、素材に着火 源があっても1秒間火が付かないことを求めています。製 品がこの種の規格に合格していても、安全であるというこ とにはなりません。この例では、特に厳格な規格を課して おらず、規格に従っていても製品が合理的に安全であるこ とを証明するのに必ずしも十分でないことは明らかです。 第三者の研究所は通常、機械的、電気的、火災など、一連 の危険についての製品の適合を試験します。研究所の試験 の例としては、電気コードを何千回も引き出して耐久性を チェックするなど、部品を繰り返し使用することが含まれ ます。 いつものように、判断は製造業者に委ねられます。規格は 指針としては役立ちますが、指針は問題の具体的な製品の 想定される使用および誤用を広範に考慮するものでなけれ ばなりません。 製造物安全規格は有用ですが、一般的な範囲の危険しか対 象としていないため、問題の製品に固有の危険が対象とな らず、それによりそれらの危険をコントロールするための 試験がされない場合があることに留意が必要です。 研究所での試験の役割 製品が関連する規格に準拠しているかどうかの試験を行う サービスを製造業者に提供する、広範な独立した研究所が あります。この試験は、プロトタイプまたは早期のサンプ ルの市販前に、また生産開始後に継続的に行うことができ ます。 この点からも、製造物安全規格に準拠していることと、製 品が合理的に安全であると確認することは同じとは限らな いということがうかがえます。 電気部品の伝導限界状態を試験するなど、部品が破壊され ることもあります。 www.aig.co.jp 本文書は対象事項についての一般的な概要を提供するものであり、法律その他の具体的な助言を提供するものとして扱うことはできません。AIGは、 American International Group, Inc.の全世界での損害保険および生命保険・退職年金、一般保険業務のマーケティング名です。詳細については、当社の ウェブサイト www.aig.com および www.aig.co.jp をご覧ください。
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