事前拒否者への勧誘禁止制度の導入を求める意見書全文

事前拒否者への勧誘禁止制度の導入を求める意見書
経済産業大臣
宮
沢
洋
一
殿
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)山
消費者庁長官
板
消費者委員会委員長
東
久美子
河
上
口
俊
一
殿
殿
正
二
殿
内閣総理大臣認定
適格消費者団体
認定特定非営利活動法人消費者支援ネット北海道
理事長
向
田
直
範
〒060-0004
札幌市中央区北 4 条西 12 丁目ほくろうビル 4 階
TEL:011-221-5884
FAX
011-221-5887
今般、特定商取引法の改正について検討している内閣府消費者委員会専門調査会
において、訪問販売及び電話勧誘販売に関する規制の強化が審議されていることを
受けて、当法人は、次のとおり意見を述べる。
【意見】
特定商取引法を改正するにあたり、あらかじめ訪問勧誘や電話勧誘を受けたくな
い旨の意思を表示した消費者に対して事業者がそれらの勧誘を行うことを禁止する
制度(事前拒否者への勧誘禁止制度)を導入することを強く求める。
【理由】
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全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)の相談データによ
れば、家庭訪問販売や電話勧誘販売によるものが近年、増加しており、こうした
不意打ち的な販売行為によるトラブルが後を絶たない状態である。
現行の特定商取引法は、何らの要請がなくても事業者が訪問勧誘や電話勧誘を
行うことを許容しており、消費者から具体的な拒否の意思表示があった場合に勧
誘の継続や再勧誘を禁止するものにすぎないため、勧誘を受けた消費者は無防備
に、事業者の巧妙な話術による勧誘に晒され、その途中では拒否することができ
ずに、不本意な契約や不当な契約の締結に至るケースが多いと考えられる。
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また、消費者庁の「消費者の訪問勧誘・電話勧誘・FAX勧誘に関する意識調
査」
(2015年5月)によると、消費者の96%以上が訪問勧誘、電話勧誘を「全
く受けたくない」と回答している。
消費者は、住居等や電話に関する管理権や私生活の平穏を求める権利を有して
おり、事前拒否者に対する事業者の勧誘活動は、被勧誘者の住居等の管理権や私
生活の平穏をその意思に反して侵害するものに他ならない。
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事業者にも営業の自由があるとはいえ、他者の権利との関係で一定の制約があ
り、勧誘を受けたくないとして、拒否の意思を示している消費者に対して、住居
等の管理権や私生活の平穏を侵害して勧誘活動を行うようなことは到底許される
ものではない。
また、事前拒否者に対する勧誘を禁止したとしても、勧誘を承諾した者や勧誘
を拒絶していない者に対する勧誘は禁止されないし、訪問と電話以外の方法によ
る勧誘も禁止される訳ではない。
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事前拒否者への勧誘禁止制度は、既に多くの諸外国でも導入されている。
そもそも私生活の平穏を求める権利などを持ち出すまでもなく、勧誘を拒絶す
る者に対して勧誘すべきでないのは当たり前のことであり、消費者が意に沿わな
い勧誘を甘受しなければならない何らの理由もない上に、わが国では、これが消
費者トラブル、悪質商法の温床となっているのであるから、そうした現状への対
策は急務である。
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よって、当法人は、先の意見のとおり、今般の特定商取引法の改正において、
事前拒否者への勧誘禁止制度を導入することを強く求めるものである。
以上
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