XPOSE 4 による視野展開と Deep Pericardial Suture (DPS) による心膜吊り上げの血行動態の観察 (Aklog et al. 2001 CTT ‘’Cardiac Positioning Using an Apical Suction Device Maintains Beating Heart Hemodynamics”) 目的 XPOSE 4 によって心臓を牽引したときと DPS を用いた心膜吊り上げ法による後壁と側壁の視 野展開を行ったときの血行動態への影響を比較する。 仮説 XPOSE 4 ハートポジショナーでの心尖部吸引による視野展開は、右開胸せずに心膜吊り上に よって生じる右心房の圧迫が起きないために血行動態は安定した優れた結果を得られると予測 される。 方法 5 頭の体重 50~60kg 台の豚を用意し、正中切開を行う。体位はややトレンデレンブルグ体位 気味にする。右側の心膜への糸掛けはせず左側のみの DPS を行った。XPOSE 4 は心尖部に当 てて吸引を行った。測定は Cardiac Output (CO) 、 Mean Arterial Pressure (MAP) 、 Stroke Volume (SV) 、Peak LV Pressure (LV) 、LV End-diastolic Pressure (LVEDP) 、 RA Pressure(RAP)の 6 項目に分けて XPOSE 4 を用いたときと DPS を行ったときのそれぞれ の数値を記録した。 結果 (1) PDA への視野展開時 毎分拍出量(CO)はベースラインを 100%とすると DPS による吊り上げ時は 22%低下した のに対し XPOSE 4 を使用した時は-11%だった。一方大動脈圧(MAP)は DPS 時は-18%、 XPOSE 4 使用時はわずか-4%だった。一回拍出量(SV)は DPS では-16%、XPOSE 4 では-4%、 左室拡張末期圧(LVEDP)は DPS 時は 59%低下したのに対し、XPOSE 4 では+6%だった。 右房圧(RAP)は DPS、XPOSE 4、それぞれ+17%、-11%であった。 Percentage of Baseline PDA exposure ( % 140 ) 120 100 80 60 40 20 0 CO MAP SV Pericardials SW Xpose LVEDP RAP (2) OM への視野展開時 側壁の OM においてもベースラインを 100%として DPS を用いたときと XPOSE 4 を使用した ときとの血行動態の変化を測定した。CO では DPS が-30%、XPOSE 4 が-18%、MAP は DPS が-26%、XPOSE 4 が-8%、SV では DPS-19%に対し XPOSE 4 は-7%と拍出量の変化は少 なかった。LVEDP は DPS 時-51%に対して XPOSE 4 ではわずか 7%、RAP は DPS 時は+16%、 XPOSE 4 を使用中は逆に-2%だった。 Percentage of Baseline OM exposure 140 120 100 80 60 40 20 0 CO MAP SV Pericardials SW LVEDP RAP Xpose 結論 XPOSE 4 による心尖部吸引は従来の Deep Pericardial Suture に比べるとはるかに血行動態への 影響が少なく、心臓の後壁や下壁といったエリアへの吻合に必要な視野展開を行うことが可能 であった。 資料提供 GUIDANT Cardiac Surgery (2004) 資料要約 株式会社バイタル
© Copyright 2024 ExpyDoc