[8.運営妨害(掲示板荒らし)] 1.全体の傾向 掲示板あらし行為を受けた掲示板管理人は、今後の掲示板運営に支障をきたすと判断した場合には、発 言者の属する事業者に対し苦情が発生する場合がある。本年は2件の事例が上げられた。注意勧告して ほしい旨の要請はままあるが、本年は発信者情報開示要求もあった。 2.対応の方向性等 掲示板の運営管理者は、円滑な掲示板運営を行うために、明らかに運営続行を妨害するような類の荒ら し行為となる書き込みは速やかに削除した上で、次の行動として荒らし行為を行なった者の接続元のプ ロバイダに注意勧告の要請を行うのが一般的であろう。従って、プロバイダは申告者が通報に添付する 書き込み記録などを参考にして書き込みの事実確認を行い、書込みを行なったユーザを正確に特定した 上で、申告者からの要請をユーザに伝えることが望ましい。また、事業者の会員規約、約款などで、他 者のサービス運営を妨げる行為なども禁止する条項を設け、警告を行うことが望ましい。 また、発信者情報開示請求については、申告者に開示請求権の要件を理解してもらうことが重要であ り、開示請求に必要な書面が提出された場合でも、開示用件に合致しているかどうかを慎重に検討する 必要がある。 3.関連事項 (1)迷惑行為、運営妨害行為に関する通報を受けたときの対応の方向性については、以下のガイドラ インを参照されたい。また、契約約款において禁止事項、禁止事項が行なわれたときの制裁措置を予め 明確に定めておくことが望ましい。約款類の整備には、以下のサイトを参考にされたい。 ・インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン http://www.telesa.or.jp/guide/guide01.html ・インターネット接続サービス契約約款モデル条項(α版) http://www.telesa.or.jp/guideline/model/index.htm (2)通報元がプロバイダ責任制限法に関する知識が十分でない場合や、「侵害情報の 通知書兼送信 防止措置依頼書」あるいは「発信者情報開示依頼書」を使用した申し入れを求める場合は、以下のサイ トを参考にされたい。 ・プロバイダ責任法ガイドライン等検討協議会 http://211.0.28.19/01provider/index_provider.html ・総務省が公表した同法の解説 http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020524_1.html 4.事 例 No.1 当社会員による掲示板荒らし行為(1) 苦情などの内容 :他プロバイダを利用して掲示板を運営している方より、当社のアクセスポイントを利 用している会員から掲示板荒らし行為を受け、運営が極めて困難になり緊急状況なので 対応してほしいという旨の相談が寄せられた。 苦情元の属性 :一般利用者(非会員) 関係する自社サービス :インターネット接続 対応の方向性 :申告者である運営者から書き込み内容及び書き込み日時とIPアドレスの情報をいただ き、事実関係を確認した上で該当会員に対し利用状況についてのヒヤリングを実施。契 約者の子供が荒らし行為を行っていた可能性があり、注意勧告を行った。 No.2 当社会員による掲示板荒らし行為(2) 苦情などの内容 >:他プロバイダを利用してホームページを開設し、当該ページで電子掲示板を運営して いるインターネット利用者からの苦情。掲示板上で荒らし行為をくりかえす者のリモー トホストが当社会員のものであったため、当社に苦情が寄せられた。再三の荒らし行為 により運営を妨害され、掲示板の利用者も迷惑しているとして、プロバイダ責任制限法 を根拠に該当する当社会員にかかわる発信者情報の開示を求められた。 苦情元の属性 :一般利用者(非会員) 関係する自社サービス :インターネット接続 対応の方向性 :当社の立場は一応「特定電気通信役務提供者」にあたると考えられるが苦情内容が抽象 的であり、発信者情報開示請求権の用件を説明し、用件が満たされているかどうかが不 明なので、用件が満たされていることの根拠を具体的に書面で提示してほしい旨を伝え た。該当の会員が特定できれば、会員規約に基づき警告の措置もとることも可能なので、 特定に必要な情報を送ってほしい旨を併せて伝えた。その後、コンタクトはない。
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