大統領令2014年第39号(投資ネガティブリスト・外資出資上限)改正

大統領令2014年第39号(投資ネガティブリスト・外資出資上限)改正
JJC意見書(日本語仮訳)
はじめに、投資ネガティブリストに関する大統領令2014年第39号改訂に向け、外
国投資企業から意見を申し上げる機会を与えていただいたことに感謝を申し上げます。
日本企業の投資は過去5年、常に1位か2位にランキングしており、これからも投資は
増加していくと見られます。日系企業の数も年々増え続けており、現在インドネシアに1,
700事業所以上存在すると言われております。
また、JJC会員企業48社による輸出額は、インドネシアの製造業輸出の約8%を占
めるに至っています。投資・輸出両面からインドネシアに貢献していくために、外資企業
が進出しやすい環境づくりにご協力をお願いいたします。
同時に、インドネシアの雇用・輸出に貢献の大きい業界に対しては、投資インセンティ
ブをご検討いただくよう、関係業界との建設的な対話の機会を設けていただきたいと存じ
ます。
次期投資ネガティブリスト改訂に向けて、JJCの意見を下記のとおり申し上げます。
1. 新たな制限的な措置の回避
1) 大統領令2014年第39号では、「卸売業・倉庫業」の外資上限を99%から3
3%にまで制限することになりました。投資判断で重要なのは予見可能性であり、
突然の制限的な措置の導入は、新規投資に影響します。外資上限については、一旦
開放したレベルは維持し、外資上限を下げないようにしていただくことを望みます。
2) 同様に、前回の投資ネガティブリストでは、新たに小規模な小売業(化粧品、履物、
電化製品、インターネット通販、食品・飲料など)が内資100%に制限されまし
た。これまで投資ネガティブリストに含まれていなかった事業分野は、引き続き外
資に開放していただくことを望みます。
3) 既進出企業に与えられている既得権は、事業の拡張や吸収合併など資本構成の変更
がある場合でも継続的に権利が続くようにしていただくことを望みます。企業の吸
収・合併などをしやすくすることにより、企業活動のダイナミズムを高める効果を
もたらします。
2. 各省庁の規制との整合性
1) 投資ネガティブリストに含まれていない事業分野は外資に開放されているはずで
す。しかし、関連省庁の発行する規則がそれらの事業分野に外資規制を課している
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ことがあります。そのような関連省庁の規則が投資ネガティブリストと整合してい
れば、それらの事業分野への投資を希望するより多くの投資家がいると考えます。
2) 運輸大臣令2015年第74号では、外資フレートフォワーディング業の最低払込
資本金が250万ドルまで引き上げられました。
フレートフォワーディング業は、投資ネガティブリスト上では外資上限が49%と
なっています。投資ネガティブリストに関する大統領令と運輸大臣令の双方の条件
を満たすためには、現地パートナー側の増資も必要となり、非常にハードルが高い
ことから、関連する規程を調整していただくことを望みます。
3) 公共事業大臣令2011年第8号及び建設業振興委員会(LPJK)機関令201
4年第5号、第10号において、外国建設会社(外資上限67%)が建設業ライセ
ンスを取得・更新する際に最低資本金の条件が設定されました。外国建設会社が建
設業ライセンスを更新する目的で必要な増資をする際には、外資比率の適用除外を
認めていただくことを望みます。
4) 本年初、35GWの新規電源開発プログラムが発表されました。電力供給を安定化
させ、急速に伸長する電力需要を充足すること、さらにはそれにより外資の投資を
促 進 さ せ る こ と が 目 的 で あ る と 理 解 し て お り ま す 。 一 方 、 工 業 省 令 No.
54/M-IND/PER/3/2012 では、現実的と思われない高レベルの現地調達率を求められ
ており、当該新規電源開発プログラムの遂行を妨げていると危惧しています。上記
から当該省令に関しては、現実に即し、ご再考頂くことを要望致します。これによ
り、外国投資の促進が期待されます。
5) 公共事業大臣令2014年第10号では下記のような規制が出されております。

外国建設駐在事務所は 100%現地出資の建設企業と共同で受注しなければなら
ない。

50%の業務はインドネシアで行われなければならない。

30%の業務はローカルパートナーが受注しなければならない。
当該規制は現在のネガティブリストで定められる規制よりもさらに厳しいものと
なっております。インドネシアに於ける各公共事業促進の為、関係省庁と協議を頂
き、再考頂くことを要望致します。
3. 事業分野の記載の明確化
投資ネガティブリストで規制される事業分野は、より記載を明確化していただくこと
を期待します。例えば、商業セクションの「distributor」という記載にはKBLI番
号も付されておらず、「distributor」の定義は明らかではありません。投資ネガティ
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ブリストにおける事業分野の記載をより明確にして頂ければ、投資家は投資予定の事
業分野に適用される規制の有無を事前に知ることができ、より積極的に投資判断を行
うことができます。
4. 主要業務と付帯的業務
主要業務のための事業許可を取得した投資家は、主要業務に含まれるか、主要業務に
付随する付随業務を行うことができることを明文で規定すべきと考えます。例えば、
ホテル業の事業許可を保有する外国投資会社は、ホテルの宿泊客のためにレストラン
を開業しクリーニングサービスを提供できると理解しています。このような原則が明
文で規定されていれば、投資家はより安心して投資判断を行うことができます。
5. 適用される規制の公表
投資ネガティブリストに明文で記載されていないBKPM内の規制がある場合、かか
る規制は投資ネガティブリストに明文で追記されるか、ガイドラインとして公表され
るべきと考えます。投資への非公式な規制は投資家が積極的な投資判断を行うことを
抑制します。全ての規制が投資ネガティブリストに明文で包括的に記載されていれば、
投資家はより安全にかつ自信をもって投資判断を行うことができます。
6. 複数事業の実施
投資ネガティブリストの規制を遵守している限り、一つのPMAで複数の事業を行う
ことも可能と理解しています。しかし、一つのPMAで複数の事業を行うための原則
的承認の申請が認められないことがあります。一つのPMAで複数の事業を行うこと
が可能であると明文で定めるとともに、そのための要件があるのであれば当該要件を
明文で定めるべきと考えます。それにより投資家はより広い事業範囲で投資判断を行
うことができるようになります。
7. ポートフォリオ投資の定義の明確化
投資ネガティブリストに関する大統領令2014年第39号の第5条のもと、投資ネ
ガティブリストの規制はポートフォリオ投資には適用されません。かかるポートフォ
リオ投資への適用除外は投資ネガティブリストに関する新大統領令でも維持され、ま
たポートフォリオ投資はより明確に定義されるべきと考えます。ポートフォリオ投資
の定義が明確になれば、投資家はインドネシアにおけるポートフォリオへの投資をよ
り安心して行うことができ、かかるポートフォリオ投資の増加が期待できます。
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8. 子会社の法的地位の変更
この点はBKPM長官令の問題かもしれませんが、親会社が法的地位を内資会社から
外資会社に変更した場合、その子会社は内資会社から外資会社に法的地位を変更する
必要がないことを確認したいと考えます。新投資ネガティブリストの適用に関する前
記の点の確認により投資家の懸念を除くことができます。
9. 新投資ネガティブリストの施行までのリードタイム
新投資ネガティブリストは十分なリードタイムをもって施行されるべきと考えます。
2014年に投資ネガティブリストが改正された際には、新たに規制が導入された事
業分野への投資を計画していた投資家は、投資の準備に多くの時間と労力を既に費や
していたにもかかわらず、投資を断念しなければなりませんでした。新投資ネガティ
ブリストが十分なリードタイムをもって施行されれば、投資家は(必要に応じて)投
資計画を調整し、投資計画を進めることができます。
10.
ディストリビューター・倉庫業の外資上限の緩和
1) 大統領令2014年第39号では、「卸売業・倉庫業」の外資上限を99%から3
3%にまで制限することになりました。「卸売業・倉庫業」の外資上限が緩和され
れば、3つの点でジョコウィ大統領の政策に貢献することができます。すなわち「地
方の農業・漁業の発展」
「外資製造業の誘致」
「国内調達率の強化」が実現できます。
2) 第一に、冷蔵物流業は「地方の農業・漁業の高付加価値化」にとって重要です。ジ
ャカルタでさえ冷蔵物流ネットワークは不足しており、地方の新鮮な農産品・水産
品をジャカルタの消費者まで届けることができません。冷蔵物流ネットワークの構
築に外資はもっと貢献できます。
3) 第二に、外資製造業への投資を増やすためには、販売現地法人を誘致するのが近道
です。外資製造業は、販売現地法人を通じてマーケットリサーチし、製造拠点設立
の投資判断を行います。しかし現在は卸売業に外資上限があるために、販売現地法
人をあきらめ、今後の製造業の進出に影響を与える可能性があります。
4) 第三に、製造業の進出が進むことで、ジョコウィ大統領の目標である「国内調達率
の強化」を実現できます。
5) 卸売業・倉庫業の外資制限を緩和してくれれば、外資企業がもっと進出し、「地方
の農業・漁業の発展」「外資製造業の誘致」「国内調達率の強化」に貢献できます。
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11.
小売業の外資上限の緩和
原則内資100%とされている小売業、特にミニマーケット、Eコマース、2,00
0㎡未満のデパートメントストア業(立地の確保、及び経済性の確保が困難)の外資
への開放を期待します。
12.
タバコ産業の外資制限の緩和
1) 現在の投資ネガティブリストでは、タバコ製造業は工業省からの推薦の影響を受け、
規制されています。
2) 拡張投資は同一の産業分野ライセンス(IUI)を有している既設のタバコ製造業
によってのみ許可されるか、または新規投資は中小規模のタバコ製造業によって許
可され、同一の産業分野ライセンスを有する大手タバコ産業の参入はこれら中小規
模のタバコ製造業とのパートナーシップによってのみ認められます。
3) タバコ製造業は雇用や国家財政への貢献の面からインドネシアの基幹産業のひと
つであり続けており、インドネシア政府にとってこの産業を更なる投資のために開
放することは重要です。タバコ産業への更なる投資はこの国に国家財政を呼び起こ
し、同時に雇用も生むことから、外資制限の緩和を提案します。
以上
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