東北の森林・林業の特徴 1)資源量の多さ 3)国有林率の高さ 2)林産

2015/6/29
東北市
町村別
東北の森林・林業の特徴
2)
)林産以外の資源の豊かさ
国有林率
人工林率
1980
1)
)資源量の多さ
資源量の多さ
・採集資源
採集資源 … 春の山菜
春の山菜(
山菜(積雪地),秋のキノコ
),秋のキノコ類
キノコ類
・伝統的林業地域
伝統的林業地域 … 秋田杉
秋田杉(米代川,太平山),
青森ヒバ
青森ヒバ(
ヒバ(下北),久慈川
),久慈川流域,
久慈川流域,金山
流域,金山杉
金山杉,津山杉
津山杉
南会津(南山
(南山御蔵入地
御蔵入地),
),阿武隈
阿武隈,
・林産地域 … 南会津
(南山
御蔵入地
),
阿武隈
北上(
北上(広葉樹林,
広葉樹林 木炭産地
木炭産地)
産地)
・狩猟資源
狩猟資源 … 大型獣(クマ,カモシカ) ⇒ またぎ
森林面積75%以上の市町村が対象
⇒ 山村の多様な収入源
またぎ集落
の分布 ↓
国有林率の高さ
3)
)国有林率
の高さ
・国有林事業の有無が林業
国有林事業の有無が林業
の生産量と
生産量と従事者数とを支え
従事者数とを支え
てきた地域が多い。
国有林の分布
Ajiki(1988)
人工林率,
間伐率
人工林率 1980
※林業計画対象森林
に占める比率
青森ヒバ産地
主な林業地
森林組合の事業量
1987
Ajiki(1989)
秋田スギ産地
北上山地
中・北部
4)
)民間林業経営の弱さ
・育成林比率,
育成林比率,人工林
比率,人工林率,
人工林率,
間伐施業率
間伐施業率の低さ
施業率の低さ
住田町・
気仙地方
・拡大造林期(1950・60年代),
,広葉樹
拡大造林期
林地が広かった
林地が広かった北上・阿武隈
が広かった北上・阿武隈では
北上・阿武隈では炭焼
では炭焼
きが存続しており,拡大造林の開始が
になった頃
遅れた。 そのため間伐期
そのため間伐期になった頃
間伐期
は林業環境は既に悪化しており,民営
林業は苦境に。
津山スギ
金山スギ
奥会津
・森林資源の豊かな東北の代表的林
業地では,天然更新
天然更新による「粗放的
による「粗放的」
粗放的」
業地では,天然更新による「
な経営が主流だった。
・しかし近年,この天然更新
しかし近年,この天然更新は,
天然更新は,皆伐
は,皆伐皆伐
植林の
植林の自然破壊的な
自然破壊的な人工林化 への
反省から,再評価されている。
阿武隈山地
奥久慈林業地域
間伐面積比
2015/6/29
吉野林業
5)
)地域産業連関の弱さ
・林業・木材関連産業が集積して
林業・木材関連産業が集積して地域連関
が集積して地域連関が形成され
地域連関が形成され
たのは,「木都
木都」と呼ばれたかつての能代
」と呼ばれたかつての能代ぐらい。
能代ぐらい。
たのは,「木都」と呼ばれたかつての
・他には,大工技能者
他には,大工技能者と
大工技能者と住田住宅で知られる
住田住宅で知られる住田町
で知られる住田町,
住田町,
それに伝統的林業地の奥久慈
それに伝統的林業地の奥久慈ぐらいか。
奥久慈ぐらいか。
九州
主要林業県のスギ
生産量の推移
「林業の聖地」吉野では,年輪のつまったまっすぐで
ふしのない「吉野スギ」が有名です。
1haあたり
あたり7,000~
~8,000本の苗を植えます(ふつうは
本の苗を植えます(ふつうは
あたり
3,000~
~6,000本)。密に植えると,苗木が太ることがで
本)。密に植えると,苗木が太ることがで
きずにスリムになります。細いままでは使えないので,
「間引き」の回数を増やして太くしていきます。ふつう
50年間に
年間に3~
回する間引きを,吉野では10回以上くり
年間に ~4回する間引きを,吉野では
回する間引きを,吉野では 回以上くり
かえし、100~
~120年で木を切り出します。
年で木を切り出します。
かえし、
吉野林業が始まったのは,享保年間(1716~
~36)で
)で
吉野林業が始まったのは,享保年間(
す。伊丹や灘の酒を運ぶための「酒樽」の需要が増え,
酒樽用の木は年輪がつまっていることが求められまし
た。スギには殺菌力があり,また,まん中の赤い部分
(心材部)に含まれるタンニンが酒に良い香りつけるの
で重宝されました。
「みんなの森」web
・他方,80年代に
他方, 年代に九州・愛媛
年代に九州・愛媛が
九州・愛媛が
林業生産を急増。その秘密
は?
・林家の自営
林家の自営志向の高さを
自営志向の高さを
基盤に,キノコ類,茶栽培
などと間伐作業とを複合
などと間伐作業とを複合し
複合し
た森林組合主導の
森林組合主導の地域産
主導の地域産
業化に成功。
)
業化に成功。(船越,1993)
(船越
・独自の「産直住宅
独自の「産直住宅」販売,
産直住宅」販売,
森林ツーリズム
森林ツーリズムにも展開す
ツーリズムにも展開す
る例も ⇒愛媛県久万町,
宮崎県諸塚町,綾町
東北
集約的林業地
★1998,
,国有林野事業を,
国有林野事業を,
木材生産から
木材生産から森林管理
から森林管理へ
森林管理へ
転換。営林署
転換。営林署は廃止され,
営林署は廃止され,
「産業」
産業」としての林産事業
としての林産事業は
林産事業は
終焉。
終焉。
こうした育成林業の技術は,
神社仏閣用の高級建材を生
む技術としても発展。
床の間用の「磨き丸太」は,
他産地の追随を許さない。
間伐スギ林
近世末の林業の地域性
藤田佳久『日本の山村』
枝打ちと
枝打ちと間伐が行き届いた
間伐が行き届いたスギ林
が行き届いたスギ林
(愛媛県久万町)
代表的林業地
「みんなの森」web
2015/6/29
林業の全国動向
<戦後の拡大造林
<戦後の拡大造林>
拡大造林>
林業生産の推移
・戦後復興の木材需要の増加に対応す
るため,戦時の乱伐で荒れた各地の山
にスギの植林を推進。
スギの植林を推進。
(森林・林業白書)
・もともと天然林
・もともと天然林(
天然林(多くは広葉樹林)や原野
だったところに針葉樹
だったところに針葉樹(
針葉樹(主にスギ
主にスギ)を植樹。
これを「拡大造林
これを「拡大造林」と呼ぶ。
拡大造林」と呼ぶ。
林業就業者の推移
・しかし,成木になるのは20・
年後のた
・しかし,成木になるのは ・30年後のた
め,木材輸入が増加。
(森林林業学習館
web)
)
⇒ 日本の林業は,拡大造林の成果を
待たずして苦境
苦境に。
待たずして
苦境に。
<高度経済成長期の変容>
・エネルギー革命 ⇒ 薪炭生産の崩壊
薪炭生産の崩壊
・外材輸入の急増(
輸入自由化)
外材輸入の急増(1964輸入自由化
⇒価格下落 ⇒山村の生業基盤崩壊
+都市の賃金上昇 ⇒ 労働力流出
⇒「過疎化」
通勤兼業が困難な奥地山村
通勤兼業が困難な奥地山村ほど
奥地山村ほど
価格-輸入
福島県の林業生産の推移
丸太・製材の
輸入量推移
→
↑スギの山元価格の推移
スギの山元価格の推移
価格の単位:円/㎥
物価デフレートは1980年=1
「森林・林業白書」2004
「図解 日本の森林・林業」
自
由
化↓