この世に残すメッセージ「遺言制度」

行政書士おとみち法務事務所
この世に残すメッセージ「遺言制度」
「遺言」という言葉はほとんどの人が知っていると思います。死ぬ前に特に言い残してお
きたいことがある人や、財産のある人が書くものだと考える人も少なくないようです。とこ
ろで、遺言の具体的な内容や遺言の実現がどのようにされるのかご存知でしょうか?
遺言とは、自らする最後の意思表明です。残された遺族や関係のあった人々に自分の想い
を伝え残す(遺という漢字は伝えるとか残るという意味があります)言葉です。
「自分が死ん
だあとはどうぞご自由に、家族に伝えておきたいことは何にもないわ。」という方は、これか
らするお話は参考程度にお読み下さい。仮に 100 円の現金が残れば、仮に 100 円の借金が残
れば、遺産は法律上当然に相続人に引き継がれます。遺産分けは財産がいっぱいある人だけ
のお話ではないのです。ご自分の想いを残しておきたい、愛する家族へメッセージを残した
い、自ら希望する遺産分けを伝えて遺族間のトラブルを避けたいという方は、その想いを実
現させる一助としてお読み下さい。
‡‡ ①
遺言がないときの遺産の分け方
‡‡
亡くなった人が遺言を残しておられない場合は、家族や身内が相続人になり、法律で
定められた順位と割合で遺産が引き継がれます。これを「法定相続」といいます。
相続人とは、法律上相続権のある人のことです。誰が相続人になるのかは民法という法
律で定められています。
まず、亡くなった人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人となります。
配偶者が相続人になるのに加えて、以下の人も相続人になります。
(配偶者がいない場合
は、以下の人だけが相続人になります。
)ただし、これらの相続人には優先順位がありま
す。
亡くなった人に、
第①順位 子がいる場合は、子(子が他界している時は孫)
第②順位 子がいない場合は、父母(父母が他界している時は祖父母)
第③順位 亡くなった人に子も父母もいない場合は、兄弟姉妹
また各相続人がそれぞれどのくらいの割合で相続するのかも民法で定め
られています。これを法定相続分といいます。
法定相続分
①相続人が 配偶者と子 の場合
配偶者 ――1/2
(子全員で)
――1/2
②相続人が 配偶者と父母 の場合
配偶者 ――2/3
(父母全員で)
――1/3
③相続人が 配偶者と兄弟姉妹 の場合
配偶者 ――3/4
(兄弟姉妹全員で)――1/4
ただし、法定相続分は強制されるものではなく、相続人の間で協議をしてお互いの納得が
得られれば法定相続分と異なる割合で遺産を分けることができます。亡くなった人が生前に
意思表示されていない場合でも、相続人の間で仲良く円満に遺産分けができるなら何より幸
せですよね。
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‡‡ ②
遺言があるときの遺産の分け方
「遺言制度のメリット」‡‡
遺言①は遺言がないときの遺産の分け方についてお話しました。今回は遺言があるときの
遺産の別け方からはじめましょう。
遺言の内容は決まっていません。訓辞や願い等どんな内容を遺言しても構わないのです
が,法的に有効な遺言と認められるためには,法律で決められた遺言の事項を,法律で定
められた方式に従って作らなければなりません。
法的に有効な遺言があれば,原則として遺言の内容に従って遺産を別けることになりま
す。遺言とは,自分が死んだ後,様々な物事についてどうして欲しいかを明らかにしたも
のですから,遺言は前回お話をした「法定相続」よりも優先して実現されます。
このように遺言は亡くなった方の遺志を実現するための強力な方法なのです。では他の
制度と比較しながら,遺言制度のメリットをみていきましょう。
①「法定相続」よりも優先されます
すでにお話したように,遺言は法定相続よりも優先して実現されま
すので,相続人の間で遺産分割協議をすることもなく,原則として遺
言の内容通りの遺産別けをすることができ,特定の財産の名義変更手
続きを単独で進めることができます。
②遺産の別け方を指定できる・・・推定相続人の廃除制度との比較
遺言がなく「法定相続」をすると,例えば自宅の土地建物は相続人全員がその相続分
に従って相続することになります。つまり土地と建物は相続人全員の共有になるのです。
そこで自宅の土地建物は妻一人に引き継ぎたいという場合は,遺言でそのように指定す
ることができます。特定の財産を特定の相続人に遺したいと指定することができるので
す。
また,子供のA子さんには遺産を継がせたくないという場合,遺言でA子さんに遺産
を継がせない(遺留分にふれない限度において)と指定することができます。推定相続
人の廃除制度を利用する方法がありますが,その要件は厳しく申立てても実現は難しい
のが実情です。
③相続人以外の人にも財産を遺すことができる・・・養子縁組制度との比較
「法定相続」のお話でふれたように,遺された財産は法律で相続する権利を保証され
ている相続人でなければ引き継ぐことができません。けれど,遺言をすることによって,
法的に相続人に当らない人にも,財産を遺すことができます。
相続人以外の人に財産を遺したい場合は,その人と養子縁組をする方法もありますが,
養子縁組をするには当人同士の合意はもちろん,配偶者の同意も必要となりますが,遺
言では遺言者が単独で自由に財産を分け与えることができます。
④遺言は自由に取り消すことができる・・・死因贈与契約との比較
遺言は遺言者が単独でできますし,自由にその内容を取り消すこともできます。似た
方法に「自分の死後,財産をあげます」と生前に相手と約束をする死因贈与契約があり
ます。しかし死因贈与契約は相手が同意しなければ撤回できません。
⑤遺産のすべてが明らかにされるので,遺産調査が円滑
遺言では遺言者の財産すべてが明らかにされるのが一般的なので,相続人が遺産の調
査をする手間が省けるだけでなく,遺産隠匿など遺産争いを回避することもできます。
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‡‡ ③
法律で定められている遺言事項
‡‡
これまでは遺言の有る無しによって遺産の別け方が異なるお話しをしました。今回は遺言
を遺すことで有効になる法律事項についてご説明しましょう。
☆☆遺言の内容
遺言の内容は決まっていません。訓辞や願い等どんな内容を遺言しても基本的には構わ
ないのですが,公序良俗(国や社会の一般的利益,社会の一般的倫理)に反することを書
いてはいけません。故人の遺志である遺言の内容は尊重すべきものではありますが,遺言
に書いたすべての内容が法律的に強制力をもつとは限りません。例えば「相続人
は故人の好きだったお酒を毎日仏前に供えること」と書いたとしても,それ
に従うかどうかは相続人の意思に任されます。
ところが,遺言を遺すことで,法律上有効と認められる「遺言事項」
があるのです。故人の遺志に法律的な強制力をもたせるこの「遺言事項」
の内容について遺言を遺すことが遺言の最大のメリットなのです。それでは
「遺言事項」の内容をみていきましょう。
‹ 「身分」に関するもの
① 子の認知・・・婚姻関係にない相手との間に生まれた子(胎児も含む)と,法律上の親
子関係があると認めることができます。
② 未成年者の後見人および後見監督人の指定・・・残される未成年者の子に,親権者が
いない場合に,その子の後見人や後見監督人を指定することができます。
‹ 「相続」に関するもの
③ 相続分の指定および指定の委託・・・相続人の相続分(相続割合)を具体的に指定する
ことができます(ただし遺留分規定に注意)。また,相続分の指定を第三者に委託す
ることも可能です。
④ 遺産分割方法の指定および指定の委託・・・遺産の分割方法を具体的に指定すること
ができます。また,分割方法の指定を第三者に委託することができます。
⑤ 遺産分割の一定期間禁止・・・相続が開始してから 5 年の期間以内で,遺産の分割を禁
止することができます。
⑥ 推定相続人の廃除および排除の取り消し・・・相続人になるだろう人(推定相続人)
が法律で定められた一定の理由に当てはまる場合に,相続人の地位を剥奪したり,剥
奪を取り消したりすることができます。
⑦ 遺言執行者の指定および指定の委託・・・遺産を引き渡したり,登記をしたりと,遺
言の内容を実現するために具体的に執り行う人を指定できます。また遺言執行者の指
定を第三者に委託することも可能です。
⑧ 特別受益の持ち戻しの免除・・・特定の相続人が故人から法定相続分を超えて特別の
贈与を受けている場合でも,その超過分を戻さなくて良いと意思表示できます。
⑨ 相続財産について相続人間の担保責任の定め・・・特定の相続人が引き継いだ遺産の
価値が下落した場合などに,他の相続人に負担してもらう割合を定めることができま
す。
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⑩ 遺贈の減殺の方法・・・遺留分を侵害するいくつかの遺贈に対して侵害額を取り戻す
(減殺)方法を指定することができます。
‹ 「財産分与」に関するもの (番号は前回からの連番です)
⑪ 遺贈・・・法律で定められた相続人以外の人や団体に財産を贈ることができます(ただ
し遺留分規定に注意)。
⑫ 寄付行為・・・相続財産をある特定の公益団体の設立のために贈ることができます(た
だし遺留分規定に注意)
)。
⑬ 遺言信託・・・信託法上の信託の一種。ある特定の人に財産の譲渡や担保権の設定,そ
の他財産の処分等をすることを受託者に託す内容の遺言をすることができます。
‹ その他
⑭ 祭祀承継者の指定・・・先祖のお墓や仏壇などを引き継ぐ人を指定することができま
す。
‡‡ ④
遺言を遺す必要性が高いケース
‡‡
次に遺言が特に必要なケースをお話ししましょう。
☆☆遺言を遺す必要性が高い人とは
遺言を遺すことで,自身の死後の意思が明らかになるだけでなく,相続人間での調整や,
相続人が公的機関等で行う諸手続きの負担が軽減されることもあります。そこで,次に遺
言作成の必要性が高いケースをご説明しましょう。
A) 子供のいない夫婦
子供や孫,親がいない場合の法定相続人は,配偶者と兄弟姉妹(甥姪)です。亡く
なられた方の相続人の数が多い場合は一般的に遺産分割の意見調整は面倒ですし,普
段からあまり行き来のない者同士が話し合うにも住んでいる場所が遠方だと大変手
間がかかり,その結果,話し合いがうまくいかないといった事態も起こりえます。夫
が亡くなった場合,妻は夫の兄弟姉妹と遺産分割協議が整わない限り,財産の名義変
更や解約ができません。兄弟姉妹には遺留分がないので,「配偶者に全財産を相続さ
せる」と遺言を遺していれば,兄弟姉妹との協議は必要ありません。
B) 内縁関係にある夫婦
相続権に関して,民法は厳格な規定を置いています。実態はど
うであれ,戸籍上他人である内縁関係にある夫婦間に相続権はあ
りません。つまり,残された内縁の配偶者に遺産を遺すには遺言
を使う方法があります。但し遺留分規定に配慮すべきでしょう。
C) 独身高齢者
配偶者や子,親がいない場合の法定相続人は,兄弟姉妹(甥姪)です。亡くなった
人を誰が世話してきたか等,いろいろな理由で遺産分割協議がうまくいかないケース
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が多いです。また法定相続人がいない場合には,法律上遺産は国庫に帰属することに
なるので,葬儀や死後の後始末等を特定の人に依頼する場合に遺言を残すことが重要
になります。
D) 事業・家業を特定の相続人に承継させたい場合
事業経営や農業をしている場合,その事業を行うための工場や農地,財産的な基盤
を複数の相続人に分割して相続させてしまうと事業が成り立たなくなることが多い
です。後継者をきちんと選んで,その人に対して事業に必要な試算を確実に遺せるよ
う,遺言でその旨を明らかにしておく必要があります。またこのような場合は,生前
贈与による事業承継対策や,相続人の遺留分規定も考慮すべきですね。
E) 子供の配偶者にも遺産を分けたい場合
同居して献身的に尽くしてくれる子供のお嫁さんに財産を遺したい,そう思ったと
して残念ながら,子供の嫁との立場は「法定相続人」ではありません。この場合は,
「子供の嫁の A 子にも X 財産を遺す」と遺言書を遺しておけばよいのです。
F) 再婚して,先妻(夫)の子供にも財産を分けたい場合(家族関係が複雑な場合)
再婚した場合には,子供が先妻(夫)または後妻(夫)との間に生まれた子供なの
か,いわゆる連れ子なのかどうかで,相続権が異なります。また,連れ子であっても
養子縁組をしているかどうかで相続権が異なってきます。相続権のない連れ子にも財
産を遺したいのであれば,遺言でその旨を意思表示しておかなければなりません。
また,子供の一人が障害者である場合に,将来のためにその子に多めの財産を遺した
いなど,自分の死後気がかりな事情を考慮してきちんとした遺言書を遺すことで,相
続人を遺産分割協議の苦労から開放する事も可能となります。
以上,遺言を遺す必要性が高い人として,6つのケースをご説明しました。その他個人お
一人お一人の身分関係,生活環境によって遺言を遺す必要性のある場合がございます。疑問
をお持ちの方,またご心配事がお有りの場合は,当事務所へお気軽にご相談下さい。
☆☆遺言で自分の気持ちを形にして遺す
以前にもふれましたが,法律としての拘束力はありませんが,遺言に自分の
希望を書くことは可能です。遺族への感謝の気持ちはもちろん,家族仲良く暮
らして欲しい,葬儀は身内だけでこういう方法で行って欲しい,遺骨は散骨し
て欲しい等等・・・
遺言で自分の気持ちを伝える,形にして遺すことは,家族が行う様々な死亡
後の手続きの中で大切な指針となるわけで,遺された家族や大切な人への,最
後の愛情でもあるのです。
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‡‡ ⑤
遺言書の種類と作り方,メリット・デメリット‡‡
いよいよ,遺言を実際に作成する方法について説明しましょう。遺言には手続きや作成方
法によっていくつかの種類がありますが,ここでは一般的で身近な遺言の種類をご紹介しま
す。
遺言は法律で定められた厳格な要式に従って作成されていないと,有効な遺言とは認めら
れません。
☆☆遺言の種類と作り方(要式)
A) 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは,その名の通り遺言者がその全文と日付,
氏名を自筆で書いて作成する遺言です。遺言者が簡単に作れる
反面,民法に厳しい作成方式が定められています。例えば遺言の最後に
自筆で署名し,押印する必要があり,出来上がった遺言は封筒に入れて封印しなけれ
ばなりません。日付は正確に記載しなければなりませんし,文面を訂正,加除すると
きの方法も規定があります。遺言者が亡くなった時は,相続人が家庭裁判所に検認と
いう申立てをして,遺言書の開封を検認の際に行います。封印のある遺言書を検認の
前に開封した場合は過料に処せられます。
B) 公正証書遺言
公正証書遺言とは,公証役場まで出向いて,公証人に遺言書を作成してもらう遺言
です。公証人が自宅や病院へ出張してくれる場合もあります。印鑑証明書や戸籍謄本
などを揃えて公証人へ提出します。証人2人の立ち会いのもと,公証人に遺言の趣旨
や内容を説明して書類を作ってもらい,公証役場で遺言書を保管してもらいます。遺
言者が亡くなった時は,自筆証書遺言のような検認手続きは必要ありません。
☆☆遺言のメリット・デメリット
自筆証書遺言と公正証書遺言の主なメリット・デメリットを表にまとめてみました。
【自筆証書遺言】
メリット
手軽に作成できる
作り直しが簡単にできる
誰にも知られずに作成できる
費用がかからない
立会い証人は不要
デメリット
方式の不備などで遺言が無効になるおそれがある
遺言の内容が不明瞭な場合にトラブルになりうる
偽造・変造・隠蔽・紛失のおそれがある
検認の手間がかかる
【公正証書遺言】
メリット
方式不備で遺言が無効になる心配がない
公証役場に原本があるので偽造・変造・隠
蔽・紛失がない
検認の手続きは不要
デメリット
公証役場へ行く手間がかかる
証人が2人必要
作成費用がかかる
遺言の内容が漏れてしまうおそれがある
どちらも一長一短ありますね。
遺言を遺すにあたって何に重点を置くか,そしてより実現可能な方法などを総合的に検討
して,作成する遺言方法を選択なさって下さい。
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‡‡
⑥ 遺
言
の
執
行
‡‡
さて、最後に遺された遺言の内容が実行される手順をご説明しましょう。相続が発生する
と同時に,遺言に書かれた法定の遺言事項(遺言③をご参照下さい)はその効力を生じます。
遺言の執行とは遺言の内容を実行することをいいます。
①遺言書の「検認」
すでにお話したように,公正証書遺言以外の遺言の場合,遺言書の保管者や遺言書を発
見した相続人は,相続の開始を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,検認
を受けなければなりません。「検認」は,遺言書の存在を確認して,間違いなく亡くなっ
たご本人が作成した遺言書であるということの確認作業です。遺言書の内容やその有効性
を保証する作業ではありません。遺言書の提出を怠ったり,検認を経ずに遺言を執行した
場合は,過料に処せられます。検認は家庭裁判所で相続人の立会いのもとで行われます。
②「遺言執行者」の決定
遺言の内容はほとんどの事項が相続人によって執行することができますので,遺言があ
るからといって,必ず遺言執行者を決めなければならないわけではありません。但し,遺
言事項に遺言執行者の指定がなされている場合は,その指定の効力も相続発生によって効
力が生じます。
また,遺言の中には,遺言執行者でなければ執行でき
ない事項があります。その遺言で遺言執行者の指定が <遺言執行者が必要な遺言事項>
ない場合は,家庭裁判所で遺言執行者を選任してもら
・ 推定相続人の廃除または取消し
う必要があります。
実は,執行が必要な事項が含まれない遺言であって ・ 遺贈
も遺言執行者を遺言で決めておくことにメリットがあ
・ 財団法人の設立
ります。相続人の数が多かったり,相続人同士の人間
関係が複雑だったりすると,それぞれの思惑が交錯し ・ 信託の設定
て各人が勝手なことを言い合うこともあります。遺言 ・ 認知
執行者はその権限によって,遺言の内容と異なる登記
・ 祭祀承継者の指定
がされてしまった場合には,遺言の内容に合致させる
ための法的手段を講じることもできる,「遺言の番人」 ・ 生命保険受取人の指定変更
です。中心になって遺言の執行を進めてくれる者を遺
言で決めておくことは,とても有効です。
③遺言書の検討「要式と内容の有効・無効」
遺言の執行は,遺言が法律上有効でなければできま
せん。以前お話したように,遺言は法律で定められた
要式(遺言⑤をご参照下さい)に従って作成されてい
なければ,有効とは認められません。
加えて遺言の内容が実質的に有効なものでなければ
なりません。内容が法律的に違反したものであれば,
遺言は無効になります。
<遺言内容の無効原因(例)>
・ 遺言が実行不可能な内容
・ 遺言の内容が公序良俗に反する
・ 遺言能力を欠く者がした遺言
・ 遺言の内容が特定できない
遺言が要式と内容ともに有効であれば,相
続人や遺言執行者は,その遺言の内容を実現すべく,必要な手続きを具体的に進
めます。
以上
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