14b 染色体の尺度 染色体の尺度 遺伝病の遺伝子を顕微鏡で見ようとして染色体 モノソミー モノソミー 21 になると個体として生存できません 。 分析をする医師がいます。 分析をする医師がいます 。遺伝子をみつけようとし 遺伝子の分布は染色体ごとに違い、 22 番染色体は ないまでも、 ないまでも、なんとなく染色体分析することもあり 21 番とほぼ同じ大きさですが、 番とほぼ同じ大きさですが 、遺伝子の数は2倍以 ます。 ます。こんなことが起きるのは、 こんなことが起きるのは 、染色体の尺度の概 上です。 上です。染色体の部分によっても違い、 染色体の部分によっても違い 、G-バンド陽 G-バンド陽 念がないからです。遺伝子中で最大の DMD 遺伝子 性領域より陰性領域に多く、 性領域より陰性領域に多く 、染色体末端の G-バンド (2.3 Mb)でも顕微鏡下で見ることはできません Mb)でも顕微鏡下で見ることはできません 。 陰性領域に特に多い傾向があります 。顕微鏡下でみ 念のために書いておきますが、 念のために書いておきますが 、遺伝子が同定され つけられる程度の増減でも機能的に重要な遺伝子 ていない常染色体優性( ていない常染色体優性 (またはX染色体劣性) またはX染色体劣性 )遺伝 がなければ表現型異常を伴わないこともあり 、正常 する遺伝病で染色体分析して de novo(新生)均衡 変異に入ります。 変異に入ります 。このような微細重複、 このような微細重複 、微細欠失が 型構造異常をみつけ、 型構造異常をみつけ 、それを手がかりにして遺伝子 多数報告されています [01a 正常変異] 正常変異]。ヘテロクロ を同定する研究方法があります。 マチン( マチン(C-バンドで濃染 C-バンドで濃染) バンドで濃染)やアクロセントリック染 G-バンド分析で染色体領域の増減を検出できる G- バンド分析で染色体領域の増減を検出できる 色体の短腕には遺伝子はありません 。染色体上で遺 限界は 3 Mb だとされています。これはバンドやそ 伝子の占める領域は 5%前後に過ぎず、相互転座 5%前後に過ぎず、相互転座、 前後に過ぎず、相互転座 、逆 の周囲に状況によっても違い、 5~10 Mb でも検出で 位などの染色体構造異常に伴う切断の大部分は遺 きないこともあります。8 きないこともあります。 8 番染色体の p23.2 バンド 伝子以外の領域の切断です。 伝子以外の領域の切断です 。ただし、 ただし、遺伝子の同定 は 2 Mb ですが重複として検出できるので、これが されていない奇形症候群で de novo 均衡型構造異常 検出限界だと言えましょう。 検出限界だと言えましょう 。[01d 8p23.2 8p23.2 の重複] の重複] を をみつけたら転座切断点に遺伝子がある可能性が 参照。 あるので、 あるので、奇形症候群の遺伝子同定の専門家に連絡 すべきです。 すべきです。遺伝子の大きさは 200~300 bp から 2.3 Mb (DMD 遺伝子) 遺伝子) に至るまでの幅があり、大きい遺 1.バンドと遺伝子数(表1) 1~22 番の常染色体、 番の常染色体、X、Y染色体を一列に並べて 伝子は切断・部分欠失の機会も多くなります。 できるハプロイドセット( haploid set)のバンド set)のバンド Duchenne DMDD 遺 Duchenne 型筋ジストロフィー症のほぼ半数 が DM 総数をバンドレベルと呼びます 。G-バンドで濃染す G-バンドで濃染す 伝子の部分欠失によるのは、 伝子の部分欠失によるのは 、遺伝子が大きいからで るバンドと淡染するバンドを、 るバンドと淡染するバンドを 、どちらも 1 バンドと す。 して数えます。 して数えます。末梢血リンパ球の G-バンドレベル G-バンドレベルは バンドレベルは 550、 550、白血病骨髄細胞のバンドレベルは 300、 300、末梢血 2.ハプロイド常染色体長 リンパ球の高精度分染でのバンドレベル は 850 850 が標 1~22 番の常染色体を一列に並べた長さをハプロ イド常染色体長(haploid イド常染色体長( haploid autosome length: HAL) HAL) 準です。 と呼びます( と呼びます(表2) 表2)。HAL を分母とし、 を分母とし、特定の染色体 ヒトのゲノム( ヒトのゲノム(ハプロイドセットに相当) ハプロイドセットに相当 )あたり の遺伝子の数は の遺伝子の数 は 20,000~25,000 20,000~25,000 の間にあり確定して 部分を分子として% 部分を分子として %で表します。 で表します。不均衡型相互転座、 不均衡型相互転座 、 いませんが、便宜的に 25,000 としておきます。ハ 欠失、 欠失、重複、 重複、挿入、 挿入、腕間逆位の組換え体、 腕間逆位の組換え体 、過剰マー プロイドセットのバンドが 550 だとすると、 だとすると、1バン カー染色体などの子が生まれる可能性を判定する ドあたりの遺伝子数は平均 45 です(表 1)。バンド ときに使います (Daniel, 1979) 1979)。不均衡型転座で 分析で検出できる限界が1バンドだとすると 、少な 生じる染色体欠失(部分モノソミー)が HAL の 2% くとも 45 の遺伝子の増減を見ていることになりま 以下、重複(部分トリソミー)が 4%以下であれば 4%以下であれば、 以下であれば、 す。 生まれる可能性があります。 生まれる可能性があります 。22 番染色体の HAL はほ 常染色体1個の増減は 常染色体1個の増減 は 225~ 225~2,500 2,500 の遺伝子の増減 ぼ 2%なので、欠失が 2%なので、欠失が 22 番染色体の長さ以下、重複 に相当します。 21 番染色体は に相当します 。 番染色体は 225 225 個の遺伝子を含み、 個の遺伝子を含み 、 が 22 番の2倍以下なら、生まれる可能性があるこ 1 14b 染色体の尺度 とになります。 本では1バンドあたり 5.5 Mb を含むことになりま す(表1) 。 す(表1) 染色体部分の長さの HAL に対する比を得るには、 に対する比を得るには 、 染色体に物差しをあて、 染色体に物差しをあて 、その長さと全長の比を出し、 4.組み換えを指標とする尺度(生物学的距離; 表2に従って計算します。 biological distance) distance) 生物学的距離は家系調査・ 生物学的距離は家系調査 ・マッピングなどに重要 表1.分染法と物理的距離 (Mb)・遺伝子数 (Mb)・遺伝子数 分染法 (バンド数) バンド数) バンド当た ですが、 ですが、読者は概念のあらましを理解し 、物理学的 り 距離との換算ができればよいと思います。 G-バンド G-バンド (300) Mb 遺伝子数 第一減数分裂で相同染色体は対合し 、相同染色体 10 83 間で染色分体を交換します。これを乗換え G-バンド G-バンド (550) 5.5 45 ( crossing over)と呼び、乗換えより遠位のセグ over)と呼び、乗換えより遠位のセグ 高精度分染法 (850) 3.5 29 メントの交換を組換え(recombination メントの交換を組換え( recombination)と呼びま recombination)と呼びま す。染色体上の2点間で組換えの起こる率 表2.HAL 表2.HAL と各常染色体の長さ (Daniel, 1979) 1979) ( recombination fraction:θ fraction:θ ) は2点間の距離に 染色体 HAL に 染色体 HAL に ほぼ比例するので、 ほぼ比例するので 、染色体の尺度として使うことが 番号 番号 対する% できます。 できます。減数分裂を1回経るごとに1回組換えの 対する% 1 8.44 12 4.66 起こる距離( 起こる距離(θ=1) =1)を、ショウジョウバエ細胞遺伝 2 8.02 13 3.74 学の開祖である Thomas Hunt Morgan にちなんで 1 3 6.83 14 3.56 Morgan (M) と呼び、これを単位とする距離を生物 4 6.30 15 3.46 学的距離と呼びます。 学的距離と呼びます 。1回減数分裂を経るとほぼ 30 5 6.08 16 3.36 ヶ所で乗換えが起きるので、 ヶ所で乗換えが起きるので 、ハプロイドセットはほ 6 5.90 17 3.25 ぼ 30 M に相当します。 に相当します。(乗換え率は男性の減数分裂 7 5.36 18 2.93 よりも女性の減数分裂のほうが高く 、染色体のセン 8 4.93 19 2.67 トロメアよりも末端近くに多い傾向があります 。) 9 4.80 20 2.56 各染色体について少なくとも1ヶ所は乗換えが起 10 4.59 21 1.90 きます。1 きます。1 M の 1/100 は 1 cM で、物理的距離の 1 Mb 11 4.61 22 2.04 に相当します。 3.塩基対を指標とする尺度(物理的距離; 物理的距離;physical 文献 distance) distance) Daniel A: Structural differences in reciprocal translocations. Potential for a model of risk ヒトのゲノム(genome; ヒトのゲノム( genome; ハプロイドセットと同 9 じ)は 30 億塩基対(3 bp)の DNA 二重鎖で、 二重鎖で、 億塩基対(3 × 10 bp)の in rcp. Hum Genet 51:171−182, 1979. 伸ばすとほぼ身長に等しくなり 、これが染色体の中 で幾重にも畳まれています。 Mb( bp) Mb(megabase; megabase; 106 bp) 梶井 [2005. 7. 1.] で表すと 3,000 Mb で、550 バンドレベルの染色体標 2
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