半自走式ドローンによる俯瞰運転の実現 (PDF:2.6MB)

半自走式ドローンによる
俯瞰運転の実現
Kosuke Kuwahara
Kenta Wako
背景
交通事故件数
なぜ交差点で事故が多いのか?
警視庁交通局、”平成25年中の交通事故の発生状況”より
減少傾向にはあるが、いまだ多い
対車両交通事故原因
1位 出会い頭
2位 右折時衝突
3位 左折時衝突
対人交通事故原因
1位 横断歩道
2位 背面通行中
3位 対面通行中
車は視野が狭い
2次災害につながる恐れ
既存の技術では、
交
差
点
事
故
”シティエマージェンシーブレーキ”、フォルクスワーゲン
自動ブレーキシステム等の技術
しかし、センサの選別が一長一短
未来の車に求められることは?
~DENSOの取り組み~
• 安全(危険回避)
危険、渋滞回避の技術
• 快適な運転
自動走行技術
• ステレオ画像処理ECU
– 歩行者の検知
• ITSを用いた交通制御
– 渋滞緩和
• 出会い頭衝突防止支援
• 前周囲モニター
車内の快適
• 選択透過膜
– 花粉や埃を取り除く
• 眠気検出
危険回避に関するすべての技術は、
運転席からの一人称視点を
基準としていないだろうか?
提案
俯瞰運転の実現により、安全で快適な運転を!
子供の頃、運転しやすかったのは?
1人称視点(主観運転)
3人称視点(俯瞰運転)
“マリオカート”、 任天堂
“Ridge Racer”、 バンダイナムコゲームス
実際には、
• ボンネット
• フロントピラー
さらに視界が狭くなる
の存在がある
• 障害物が多いゲーム
• 攻撃・防御を行うゲーム
⇒周りの車を認識する必要あり
• さらに、以下の環境で有用
初めて走るコース
変則的なコース
現実にありうる状況
俯瞰視点での運転には何より、周りが把握しやすいメリットがある!
俯瞰運転技術を実現するために
例えば…
~WLANネットワーク技術を使う場合~
・ 街頭や電柱にカメラを取り付け、リアルタイムで俯瞰映像を送信
・ 車周りに車載カメラを搭載し、周りと情報を共有し画像処理
実現するための、要素となる技術
・全周囲モニター
・GPSを使った位置取得による処理
・フロントガラスの一部に画像投影
・ITSスポットサービス
ダイナミックルートガイダンス
安全運転支援
ETCサービス
“全周囲モニタ”、 デンソー
“カロッツェリア”、 Pioneer
WLANネットワークでの問題点
・ 取得情報を、ネットワークで伝送する必要がある
⇒通信失敗や情報の遅延と言った危険性がある
・ また、インフラが整備されないと実現できない
⇒すべての車がこれらの技術を積むことが前提となる
つまり、これらの情報は自分で取得し、損失の少ない有線で処理する必要がある
提案:車上から運転補助しよう!!
半自走式ドローンとヘッドマウントディスレイを使う
半自走式ドローン
ワイヤ牽引モジュール
ヘッドマウントディスプレイ接続
運転席
俯瞰運転に関する特許(約200件)
俯瞰運転システム
発明の名称
公報番号
出願者
側面鏡を有さない自動車
特許公開2014-015191
逸見 喬
車外視認装置
特許公開2013-193712
株式会社村上開明堂
ダンプトラック
特許公開2012-252675
株式会社小松製作所
障害物検知装置
特許公開2008-227646
クラリオン株式会社
車両周囲画像生成装置
特許公開2012-040883
パナソニック株式会社
これらの中に、
マルチコプターにカメラを載せた
出願例は出ていない。
仕組み1
半自走式ドローン
主翼
プロペラ
側面
カメラ
ミリ波レーダ(前方、後方、上面、下面)
ドローン外観
•
(市販のマルチコプターを改良) •
機体下部に取り付けられたカメラにより撮影、ワイヤを介して車に送信
各方面に取り付けられたセンサによって障害物を感知&回避
ドローンワイヤ牽引用モジュール
エンコーダ(ピッチ角測定)
ワイヤ駆動
マーカー
ワイヤはフレキシブルに回転
ワイヤ牽引用アクチュエータ
INNO HPより
ルーフトップ
マーカーを設置し、ドローンは
マーカーに追従するように飛行
を行うことで旋回制御などを行う
モジュール外観
(市販のルーフキャリアと
同様に車上に取り付け)
車上2箇所からワイヤを牽引し
ドローンの位置を制御する
ワイヤ材料:CFRP(鉄より軽く、強い!)
→ペイロードの少ないマルチコプターに最適!
使い方
4.ヘッドマウントディスプレイ(HMD)装着
1.エンジン起動時
参考:SONY
ドローンは車と一体化
2.走行開始
HMD装着イメージ
市販のHMDを
運転用に改良
俯瞰運転を行いたい時は座席と一体化された
ヘッドマウントディスプレイをボタン操作で装着
5.俯瞰運転開始
ドローンを展開、ワイヤを開放
3.撮影開始
フロントガラスにワ
イプ表示も可能
走行中イメージ
撮影開始、画像を車へ送信
広い視野を確保
想定される外乱と制御方法1
旋回時(遠心力)
一時停車時・低速時移動時(重力)
プロペラ回転数制御
揚力
マーカー追従ワイヤ長制御
重力
マーカー
低速時はドローンのプロペラによって制御可能
制御なし軌跡
走行時・加速時(空気抵抗・慣性力)
主翼傾き制御
上昇時↗
ワイヤで牽引
↙下降時
制御あり軌跡
高速走行時はプロペラの揚力は期待できない
→主翼の傾きを変えることでドローン高さを制御
旋回時、遠心力によってドローンの軌道が車
の中心からずれる。マーカーに追従するよう
にワイヤ長を制御することで車線逸脱を回避
想定される外乱と制御方法2
障害物回避時
主翼傾き制御
障害物回避行動
障害物発見時
減速時・急制動(慣性力)
ワイヤ長制御
減速時、慣性力によってドローンが前方に移動し危険
→ワイヤ長と角度をセンシング後、制御することで安全
に減速
慣性力
制御なし軌跡
前の車両
ワイヤが長いと前の車両と衝突するリスク
制御あり軌跡
ワイヤで牽引
走行時
減速開始
シーン:曲がり角
• 視界の狭い交差点
• 塀やフェンス等によって、曲がり先が見にくい場合
主観時
右折先の視界が悪い
俯瞰時
フェンスの上から右折先の
状況が予測できる
塀が高い場合、ドローンのみを先に送り、
視界を確保するといった手法も考えられる
トラックなど、車長が長い車の場合、ドローンを交差点上空に送り、
内輪差を確認しながら右左折することも
シーン:駐車
主観時
俯瞰時
真上から見ると、
前後左右の間隔
が直感的に分か
る
視界が狭く、完全に後ろを見る
ことは難しい
既存の技術はあるが、
・カメラを多数使う
・画像処理が必要
・後付けが不可能
ドローンによる俯瞰運転では、
これらの課題をすべてクリア
ドローンを任意の位置に移動さ
せて自分にあった視野を確保
することも!!
参考:日産/アラウンドビューモニター
シーン:視界不明瞭時
•
前方を車高が高い車(トラック)が走る場合、
前方の視野が確保しにくい
→信号・標識が確認できず危険
→不快な運転
主観時
通常視野
•
ドローンを展開することで前方の視野を
簡単に確保できる
→運転の快適性の向上
→重大事故の回避
ドローン展開時視野
見えにくい
俯瞰時
見える!
将来的にはWLANネットワークの信頼性が高まり、
より鮮明かつ高速に情報を共有
より軽くて強い繊維の開発
ドローンを高く伸ばせば伸ばすほど
より俯瞰的な運転ができる!
運転手はHMDを被った際、首や眼球の
動きでドローンを操縦
他にも…
二輪車への適応
自動運転補助
渋滞予知
事故検地
夜間運転時は
ナイトビジョン
新幹線に取り付けて
景色を楽しむ
など…
将来的に…
•
•
•
マルチコプターの性能向上
無線給電の実用化
WLAN技術の進化
もしこれらの技術が実用化されれば
• ワイヤを切り離しドローンを自動駆動
• WLANを利用し他のドローンとの視野の共有
も可能に!
本当に空を飛んでいる感覚!!
市場
本提案のマーケット戦略上での最大のメリット
ほぼすべての車に後付けで俯瞰運転を実装できる
ターゲット;先進国~発展途上国でも可
• 要素技術の組み合わせで実現可能
→低コストで実現
• 有線通信なので給電、信号損失が
少ない→事故リスクの最小化
• 有線接続であるためITインフラが整っていな
い途上国でも俯瞰運転可能
• 新車~中古車まで車種を選ばない
車の形状を選ばず俯瞰運転可能
→時代・環境適応性が高い
• 新しい車の乗り方の提案によって車離れに
歯止めがかかる!?
• 車載カメラだとこれまでに車体ごとに画像信
号処理系を設計する必要があったが不要に
FOURIN世界自動車統計年刊 2009より
発展途上国を中心に
車の需要はこれからも増大
まとめ
・新しい自動車の乗り方によって、車の需要が増える!!
・しかし、交通事故は増えない未来に!!