身体拘束廃止への取組み

身体拘束
身体拘束廃止
拘束廃止へ
廃止への取組み
取組み
[ 活動の
活動の目的 ]
病気や障害を抱えながら入院している患者さんに対し、私たちは、一人一人が安全な
生活環境の下で診療を継続することができるように、やむを得ず抑制という手段を選択
する場合があります。しかし、その方の尊厳および苦痛を考えると、漫然と抑制するこ
とは厳に避けなければなりません。そこで、当委員会では抑制の必要性や方法の適切性、
廃止に向けた取り組み等に関し、個別に評価・検討を実施して身体抑制解除に向けた活
動を展開しています。
[ 抑制の
抑制の方法 ]
介護保険法では、「緊急・やむを得ない場合に限り、複数の職員の判断に基づいて実
施する」と定められています。
「緊急・やむを
緊急・やむを得
ない場合」
該当する3つの要
・やむを得ない場合
場合」に該当する3つの
する3つの要件とは
○切 迫 性:患者または他の患者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著
しく高い場合
○非代替性:患者本人または他の患者の生命または身体が危険にさらされる可能性
が著しく高い場合
○一 時 性:身体抑制は一時的なものであること
厚労省の身体拘束ゼロ推進会議では、10 種類の抑制方法を示しています。当院ではア
セスメントシートを用いて抑制の必要性を判断した上で、下記の 4 種類だけの適用を認
めています。また、方法の選択に当たっては、できるだけ拘束感の少ない方法を検討し
ます。
★当院
当院における
当院における身体抑制
における身体抑制の
身体抑制の種類
・ミトン型手袋・・・爪で皮膚を傷つける恐れや、点滴や酸素ライン・栄養チューブ等
を触り、抜く行為がある方の安全確保のために使用します。
・つなぎ服・・・おむつに手を入れるような不潔行為や衣服を脱いでしまう、排尿チュ
ーブを引っ張るなどの危険な行動がみられる場合に使用します。
・4 本 柵・・・ベッド上で激しく身体を動かし、ベッドから転落する危険がある方に
適用します。ベットからの転落防止については「セーフティ部会」の取
り組みをご参照ください。
・抑制帯・・・激しく手が動き、そのことで確実な治療・処置が行えなかったり、患者
さん自身の身体に危険が生じたりする場合で、ミトン型手袋で対応困難
な状況のケースに使用します。(経管栄養者の誤嚥や窒息防止など)
[ 抑制せずに安全
せずに安全を
安全を確保する
確保する対策
する対策の
対策の紹介 ]
身体抑制廃止委員会メンバーが中心となって複数の職員で話し合い、実際に取り組ん
でいる事例をすこし紹介します。
激しく左手が動き点滴ルートを触られ
る方です。抑制帯はせずに円座マクラ
を腕に抱えてもらい、点滴ルートに手
が触れたり引っかかったりしないよう
にします。
点滴のルートを襟元から這わせること
で、患者さんの視界に入らないようにし
ます。
さらにルートの保護が必要な場合は、首
元にタオルを巻いて、点滴のルートを触
らないようにしています。
*定期的な「身体抑制パトロール」を行い、身体抑制の必要性や解除に向けて積極的
に取り組まれているかなどを多職種で評価しています。
また、抑制廃止に向けて「離床お知らせセンサーマット」「立ち上がりお知らせセン
サー」
「離院お知らせセンサー」
「衝撃緩衝マット」などを活用するため、当委員会が管
理し提供しています。
[ 身体抑制に
身体抑制に関する課題
する課題 ]
高齢者が利用する施設は病院や介護保険施設(老健、特養・グループホームなど)、
サービス付高齢者向け住宅など様々です。
これらの施設全体に対して行った実態調査(全国抑制廃止研究会)によると、平均で
12.7%の患者(利用者)が身体抑制をされているという報告がありました。単純計算で
100 人の患者(利用者)がいれば、そのうち 12 人の患者(利用者)が何らかの抑制を
されていることになります。決して少ない数ではありません。
(当院の抑制率および解除例については、臨床指標「身体抑制」をご参照ください。)
私達は、「身体抑制は基本的人権や尊厳を守ることを妨げる行為である」との認識を
高め、職員が一丸となって抑制廃止に向けての工夫の提案と活動を継続していきます。
平成 27 年 6 月
ふくの若葉病院
身体抑制廃止委員会