現と異界のはざまで∼日本怪異譚∼

うつつ
現と異界のはざまで∼日本怪異譚∼
うつつ
2013 年初夏の一夜、日本音楽集団第 209 回定期演奏会は、
「現と異界のはざまで∼日本怪異譚∼」
と題してお送りします。
人間には、過去の経験や気持ちの影の部分・負の部分を、妖怪や幽霊・神話などに投影して心の
平安を保ってきた歴史があります。それらは単に恐怖の対象になるだけでは無く、愛着を持ったり折に触
れて思い出さずにはいられないものになっています。
古くから日本人の心に寄り添ってきた邦楽器による演奏、そして団内作曲家の高橋久美子・篠田大
介の二人による新曲もとても楽しみです。御来場をお待ち申し上げます。 (川崎絵都夫)
黒塚 -KUROZUKA-
組曲
「幻獣絵巻物」
Suite for “Genjyu- Emakimono”
KUROZUKA for Japanese Instruments Orchestra
作曲:高橋久美子 KUMIKO TAKAHASHI
「安達原の鬼婆」
と聞けば、旅
人の生き血を吸い、肉を食らって
いたといわれる身の 毛もよだつ
ような伝説がある。
が、能での「黒塚」(観世流は
「安達原」)では、ただ恐ろしい
だけの女ではなく、どこか 悲 哀
が感じられる。
ここでの「鬼」は
孤 独や悲しみ、そして生きるた
めに犯してしまった業に苦しん
だ末に「鬼」にならざるをえな
かったわけで、宿を貸した山伏
を最 初 から食らおうとは 思って
いない。むしろ自分が鬼だという秘密をあばかれた「怨」
が焔となり、ヒトの心が鬼へと変わってしまったのだ。
この
「黒塚 -KUROZUKA-」では、ともすれば鬼となりえるヒト
の心の二面性を音で表現できたらと思う。
作曲:篠田大介 DAISUKE SHINODA
この 度「現と異 界 のはざま
で」というタイトルの演 奏 会に
曲を書くということで、私がテー
マとして 選 んだ の は、日本 に
古くから言 い 伝えられ ている
「幻 獣」「妖 怪」といった架 空
の生き物達です。
調 べていくうちに様々なキャ
ラクターに出会い、とても興味
深く、愛着が湧いてきました。
そこで、それらの 個 性 的な
生き物たちを組曲にしてみよう
と考えました。
邦楽器で奏でる日本の珍獣たちを、どうぞお楽しみ下
さい。
日本音楽集団プロフィール
1964年創立。伝統的な日本の楽器である箏・尺八・三味線・琵琶・胡弓・笛、
小鼓などの打楽器、
笙・篳篥な
どの雅楽器による和楽器オーケストラです。和楽器奏者数十人と指揮者による大合奏は追力満点です。
現在では定期演奏会を中心に、
全国各地での公演や学校での音楽鑑賞会、
録音・放送・映画・演劇等さ
まざまな分野で演奏活動を行い、
これまでにヨーロッパ、
アメリカ、
旧ソ連、
中国、東南アジア、
オーストラリア
等、世界31カ国151都市で公演を行なって、
アイザック・スターン、
ヨー・ヨー・マやゲヴァントハウス・オーケスト
ラ、
ニューヨーク・フィルとの共演を実現し、
海外でも高い評価を得ています。
文化庁芸術祭大賞、
第2回音楽之友社賞、
レミー・マタン音楽賞をはじめ、
様々な賞を受賞。
賛助会員へのお誘い
1999年10月、特定非営利活動法人日本音楽集団が発足したのを契
機に、
賛助会員を募集しています。多くの方々からの支援を仰ぎ、
息の
長い活動の定着と発展を目指したく、
ご協力をお願い申し上げます。
年間
アクセス方法
個人会員10,000円
(一口以上) 法人会員30,000円
(一口以上)
詳細は日本音楽集団事務局までお問い合わせ下さい。
またホームペー
ジにおいても、
お申し込み方法など詳しくご案内しております。
︵楽器別・五十音順︶
日本音楽集団メンバー 事務局
中山美穂子
永久名誉団員
長澤勝俊
2013年 月現在 ︵※印は休団中︶
笛
打楽器
あかる潤
臼杵美智代
尾 崎 太一
遠藤悠紀
黒坂 昇
新保有生
島村聖香
竹井 誠
仙堂新太郎
西川浩平
多田恵子
篳篥
望月太喜之丞
西原祐二
山内利一
盧 慶順
尺八
大賀悠司
指揮
阪口夕山
稲田
康
田野村聡
田村拓男
原郷 隆
田村文生
藤崎重康
苫 米 地 英一
水川寿也
三橋貴風
作曲
宮田耕八朗
秋岸寛久
元永 拓
川崎絵都夫
米澤 浩
篠田大介
渡辺 淳
高橋久美子
福嶋頼秀
三味線
杵 家 七 三 楽器 舞
・台
穂積大志
中島 隆
簑田弘大
アートマネジメント
簑田司郎
大西愛子
守 啓伊子
山崎千鶴子
琵琶
久保田晶子
首藤久美子
田原順子
藤高理恵子
箏
伊藤麻衣子
久東寿子
熊沢栄利子
桜井智永
佐藤里美
島崎春美※
城ヶ崎美保
田村法子
彦坂恵美
久本桂子
前川美保子
丸岡映美
三宅礼子
宮越圭子 山田明美
渡辺正子
3
デザイン:佐々木達彦 イラスト
:長野美穂