NJP メンバーの宝物

NJP メンバーの宝物
―メンバーが大切にしている秘蔵の品、それにまつわる思い出を紹介するコーナー
写真中央:宝物②カッコウ笛/写真右:宝物①お嬢さんたちのスナップ
Vol.46
我が家の三姉妹―小島光(打楽器)
宝物といえば 10 歳と 6 歳になる二人の娘です。50 代で父親になったこともあり、本当に「目に入れ
て」みようかなと思うほどの愛情を注いでいます。いまのところ、まだ嫌がられていないようなので(笑)、
思いっきりべったり、スキンシップさせてもらっています。家内(注:第2ヴァイオリンの吉村知子さん)
を交えた三姉妹による、泣き笑い叫び歌声怒声の途切れることのない毎日。こういう人生を送ること
になろうとは、子どもができるまでは想像もしていませんでした。結婚式に出ると「花嫁の父」に我が
身を投影し、思わずもらい泣きしてしまったりしています。先のことながら、娘たちが巣立つときは果た
してどうなることやら、自分でも心配です。
宝物とはいえ娘二人を連れてくるわけにもいかず、代わりに最近の自慢作を持ってきました。小島
光製カッコウ笛です。
きっかけは今年のニューイヤーコンサートで「クラップフェンの森にて」を演奏したとき、練習で出来
合いのカッコウ笛を吹いたところ、指揮者の井上道義さんから「もっといい音出せないのぉ」と言われ
たことです。カーっと創作魂に火がつきました。もともと楽器を作るのは大好きで、特に人の作ってい
ない楽器を探りながら作るのが好きです。このカッコウ笛も閃きだけで設計図を書き、ほぼ狙い通り
の音程と音色が出来上がりました。後になってウィーン・フィルの奏者が吹いている映像を見てビック
リしました。ほとんど同じカッコウをしていたからです。天才の成せる技でしょう(笑)。
打楽器をやってきたことで学んだことはたくさんあります。繰り返し演奏する有名な作品でも、一回
として同じ演奏にはならないので、そのたびに学ぶことが出てきます。最近になってようやく、楽器の
音色を楽しむゆとりが少しは出てきたかなというところです。演奏に向かうときと同じように“いまこのと
き”の娘たちとの生活を1日1日大切に、そして NJP での卒業までの日々を大切に楽しみたいと思い
ます。
(2012 年 9 月号)