平成27年度通常総会及び記念講演会が 開催されました。 集 特

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平成27年度通常総会及び記念講演会が
開催されました。
東北情報通信懇談会は、5月21日(木)に仙台市において通常総会を開催しました。
総会では、平成26年度事業報告、会計報告及び監査報告が承認され、平成27年度事業計画
(案)及び予算(案)等
が満場一致で決定されました。
また、総会に引き続き記念講演会を開催しましたのでその概要を報告します。
会長挨拶要旨
この一年、災害に強い情報通信基盤の復旧復興、ICT を活用し
た復興まちづくりの支援を行ってきた。また、3 月の国連世界防
災会議では、会員の皆様にフォーラムや展示会で ICT と防災減
災に関し震災で得た知見や進んだ技術を世界へアピールして頂い
た。世界最先端 IT 国家創造宣言では課題解決の重要なツールと
して、2020 年度までに世界最高水準の IT 利活用の実現と展開が
目標として掲げられている。情報通信の発展に強い使命感を持っ
た東北地方の産官学の力を結集し、震災と原発事故からの復興、
安全な活力ある社会の実現を目指し積極的に活動していきたいの
で、会員の皆様には、引き続きご支援とご協力をお願いする。
▲鎌田会長
来賓挨拶要旨
情報通信行政に対するご理解とご支援に御礼申し上げる。東北
総合通信局では、
「ICT で活気ある東北のまちづくり」をスローガ
ンに掲げ、4 つの重点施策に取り組むこととしており、総合的に
推進することで、ICT による復興の加速と地方創生に貢献してい
きたいと考えている。これを推進していくうえで、産学官連携団
体である当懇談会との連携協力を強化して様々な動きを具体化し
ていきたいので、ご協力をよろしくお願いしたい。
▲竹内東北総合通信局長
平成26年度の事業報告
東北 6 県で 39 事業を実施、災害に強く活力ある街づくりを進めるために有用な情報を発信した ICT 推進フェアの開催、
地域の魅力を再認識しインバウンド観光の増加や周辺産業に経済効果が期待できる地域コンテンツの海外展開を進めるセミ
ナーの実施、災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドラインを各県の地域情報化推進会議等で自治体を中心に周知啓発
活動を行ってきたことなどの報告を行い、満場一致により承認されました。
1 ● Mercato 91
平成27年度の事業計画
復興の着実な推進、災害に強い街づくり、地域の活性化・発展、ひと・まち・しごと創生に繋がる事業に取り組む、ICT
で創る新しい東北をテーマに ICT 推進フェアを 6 月に開催、
NICT 耐災害 ICT 研究センターと連携し災害に強い情報通信ネッ
トワークの研究成果を早期・確実に社会実装させるための周知啓発活動を行うことなどの事業計画を提案し、満場一致によ
り決定されました。
東北情報通信懇談会 平成 27 年度役員
会 長 鎌田 宏
副会長 藤﨑 三郎助
東北六県商工会議所連合会 会長
一般社団法人 東北経済連合会 副会長
〃 一力 雅彦
株式会社河北新報社 代表取締役社長
運営委員長 根元 義章
国立研究開発法人情報通信研究機構
耐災害 ICT 研究センター長
監 事 青山 幸二
株式会社NTTドコモ 東北支社長
〃 大江 修
一般社団法人東北経済連合会 専務理事
事務局長 大宮 恭
株式会社インテリジェント・コスモス研究機構 参与
記念講演会
「ビジネスを革新するビッグデータ活用~ M2M/IoT 活用がもたらす持続的イノベーション~」
講師:東京大学先端科学技術研究センター 特任教授 稲田修一 氏
講演では、農林水産分野のイノベーションにより、農産物輸出額世界 2
位に躍り出たオランダ農業が紹介され、
「光透過率の高いハウスで CO2 濃
度を制御して光合成能力を増大し、赤外線カメラで植物体温を測定して
室温を制御することで大きな寒暖の差を人工的に作り糖の転流を促進す
るなど、様々な生育データに基づき育成条件の最適化を人工的に実現し
た農業に変革している。さらに、これにより収穫時期や品質の制御が可
能になり、消費者サイドのデータ分析による市場価値の高い時期と場所
に出荷、生産主体の農業から市場重視の農業に変化し「価値の源泉変化
と創出」をした」イノベーション事例が話されました。
▲東京大学先端科学技術研究センター
特任教授 稲田修一 氏
また、ICT の進化により、デジタル化からコミュニケーションの高度化、さらにコンピュータシステムの認識・理解・
判断の高度化へ第 3 の流れが誕生しており、M2M/IoT の発展と人工知能技術の活用により、事象の把握から、認識・
理解・判断が可能になっている事がのべられ、
「既に大規模な工場では、多数のセンサーからデータを収集・集積、
人工知能による分析評価により正常稼動時モデルを自動的に導入し、リアルタイムの稼動データと比較することで、
人間が気付かなかった「異常の予兆」を検出し安全性の向上に貢献している。
」事例が紹介されました。さらに製造
業では企業間をまたがってデータを一元管理し対比することで、プロセス管理による製品の品質管理によって検査の
簡素化、PDCA サイクルのスピードアップ、さらに、市場ニーズの変化をリアルタイムでフィードバックできること
などの紹介があり、マーケティングの分野でも、データ活用によるヒット商品の事前予知や、データ分析し改善した
店舗のほうが勘と経験により対策した店舗よりも売上高を増加させている事が述べられました。
最後に、「データの活用は価値の「発見」を支援する、データの活用も含め経営者のリーダーシップと失敗を許容
する組織風土の醸成による「迅速な判断」と「NiceTry!」の考え方が重要である。」そして、ヘンリー・チェスブロウ
氏の「多くのイノベーションは失敗する。でも、イノベーションしない企業は死ぬ」の言葉が紹介され、東北地方の
一層の発展のためエールを送りたいとまとめられました。
ICT 利活用により東北地方における産業イノベーションの成功事例や、その鍵となる考え方について、多くの示唆
が得られた、有意義な講演をいただきました。
Mercato 91 ● 2