外来患者での採血受付から結果報告に至る経過時間 Turnaround Time (TAT) の解析 1) ○照屋 絵美 1)・山内 恵 1)・仲宗根 勇 1)・宮城 郁乃 1) 名護 珠美 1)・東上里 康司 1)・山根 誠久 1) 2) 琉球大学医学部附属病院検査部・2) 同 大学院医学研究科先進検査医学講座 【はじめに】Evidence-based medicine (EBM) への認識が高まるにつれ、診療に際して必要 な臨床検査の結果報告、検査の迅速化、24 時間対応への要求が高まっている。平成 19 年度 の診療報酬改定で採用された「外来迅速検体検査加算」も漸次、算定条件が整備され、平 成 22 年度には 10 点(最大 5 項目)に増点されている。今回、検査部の機能評価の一貫と して、新たに導入した外来採血・検体搬送システムでの外来患者受付から検査結果報告に 至る経過時間 turnaround time (TAT) の解析を行ったので報告する。 【対象と方法】システム構成: 外来採血システムは自動患者受付機 2 台、自動採血管準備 装置 BC-ROBO 1 台、採血台 6 台、検体 1 本搬送システムで構成した。採血された検体は採 血者が搬送システムに投入することで、仕分け搬出ユニットに収集される。生化学・血清 検査システムは、IDS-880 検体 1 本搬送システムに、JCA BM6070 2 台、モジュラーアナリ ティクス E、ARCHITECT i2000SR、ルミパルス Presto II の 5 台を接続した。血液凝固検査 (CS-2100i)、HbA1c (HA-8160)、赤血球沈降速度 (ESR, Electa lab) はオフラインとし、末梢血 液一般検査も併せて解析した。解析対象は、平成 22 年 10 月~平成 23 年 5 月の各月 10 日 間とし、外来迅速検体検査加算対象項目の依頼があった外来患者とした。 【結果】患者自身での採血の受付から採血完了までの所要時間は平均 11 分、90%-tile 22 分、 最短 2 分、最長 59 分 (解析対象患者数 13,038 人) であった。また、採血の受付から検査結 果報告までの所要時間は以下のように算出され、内分泌学検査(D008)と腫瘍マーカー (D009)の免疫測定項目が最も長い TAT にあった。 外来迅速検体検査加算対象 (区分番号) 検査項目 件数 報告時間(min) 90%-tile 最短 最長 血液化学検査 (D007) AST 等 12,898 94 40 136 血漿蛋白免疫学的検査 (CRP 含) (D015) TSH, FT4, FT3 2,756 56 102 162 内分泌学検査(D008) (PSA 含) CEA, AFP 2,047 60 128 155 腫瘍マーカー(D009) CA19-9 PT, DD, FDP 3,433 72 30 109 出血・凝固検査(D006) CBC 11,715 48 7 102 血液形態・機能検査(D005) ESR 2,574 76 38 119 HbA1c 3,703 48 8 101 【考察】今回の解析から、immunoassay を測定原理とする検査項目が「外来迅速検体検査加 算」算定にあたっての律速検査項目であり、抗原・抗体反応、プローブ特性、シグナル検 出といった測定原理を含めた革新的な技術開発が強く求められる。
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