論 文 内 容 の 要 約 論 文 名 Ability of NT-pro-BNP to Diagnose Cardioembolic Etiology in Patients with Acute Ischemic Stroke 氏 岡田 名 由実子 【目的】心原性脳塞栓症(CE)の約 70%が非弁膜症性心房細動(AF)を誘因とするが、約 30%は入院時心電図で AF を認めないため初期診断が困難である。我々は心不全のマ ーカーとして知られる血清脳性利尿ペプチド(NT-pro-BNP)値を測定し、心原性脳塞栓 症の初期診断における有用性を検討した。 【対象】2009 年 1 月から 2011 年 12 月までに脳梗塞の診断で発症 48 時間以内に入院 加療を行った症例。 【方法】病歴、神経学的所見、画像所見(CT, MRI 拡散強調画像, MRA)に基づいて急 性期脳梗塞の診断を行い、National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS)にもとづいて病型分類を行い、CE 群とそれ以外の病型群(non-CE 群)の 2 群に 分けた。入院 24 時間以内に血清 NT-pro-BNP 値、 Thrombin-Antithrombin III Complex (TAT)値、D-dimer 値を測定し、2 群間で血清 NT-pro-BNP 値、TAT 値、D-dimer 値につ いて比較検討を行った。CE の初期診断における NT-pro-BNP 値の有用性について検討 した。 【結果】急性期脳梗塞 279 例は CE 群 60 例、non-CE 群 219 例。年齢と入院時 National Institute of Health Stroke Scale (NIHSS)は CE 群で有意に高く、入院時 AF は CE 群で有意に多かった。血清 TAT 値と血清 D-dimer 値は 2 群間で有意差はなく、血清 NT-pro-BNP 値は CE 群で有意に高く、カットオフ値 332 pg/mL、感度 98.3%特異度 75.8% であった。 【結論】NT-pro-BNP は、急性期脳梗塞における CE の初期診断に有用なバイオマーカ ーである。
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