カーボン・マネジメントが始まる! ~ 実行計画(事務事業編)の取組強化 ~ 環境省の「平成 28 年度環境省概算要求 主要新規事項等の概要」が発表された。 地球温暖化対策としては、地方公共団体も対象となる公共施設等先進的 CO2 排出削減対 策モデル事業や地域における LED 照明導入促進事業など、様々な補助事業等が掲載されて いたが、その中でも、実行計画(事務事業編)関連の補助事業として、『地方公共団体カーボ ン・マネジメント強化事業』が主要新規事業のひとつに挙げられていた。予算規模でも 95 億円 と地方公共団体のみを対象とする事業としては大きい。 出所:http://www.env.go.jp/guide/budget/h28/h28-gaiyo/018.pdf 「カーボン・マネジメント強化事業」は、いよいよ、新たな温室効果ガス削減目標(現在のと ころ、「目標草案」)が策定され、これに基づく取組の強化が進めされることを暗示するものと 言えるだろう。 日本のCO2排出量は、民生部門(業務と家庭)での削減が進まず、取組強 化が必須になっており、その民生業務部門のCO2排出量の1割くらいが、地方公共団体と言 われているからだ。 一方、平成 26 年度の施行状況調査結果をみても、年間の平均温室効果ガス排出量の削 減量は 0.6%※程度であり、全体としてはまだまだ取組が十分とは言えない状況にあり、削減 の余地もあるからだ。もちろん、削減率の高い団体もある。同じ調査で、削減率のトップランキ ング団体の平均は 6.6%になっており、10 倍の開きがでている。 ※ 施行状況調査結果の中から、温室効果ガス排出量の削減数値の記載があり、かつ、 適正と判断できる団体(527 団体)を知識研が独自に選定し、その総平均を算定 概算要求資料によると、「カーボン・マネジメント強化事業」は、実行計画の策定や改定、 及びその関連業務に関する支援と、設備機器導入に関する支援の2つの事業で構成されて おり、今後の実行計画での取組強化には最適な組み合わせになっている。 ■事務事業編の策定・改定作業支援事業 ■事務事業編に基づく省エネ設備導入支援事業(設備更新の補助事業) 設備機器の導入補助のみならず、省エネのための FS 調査等も含む もちろん、これだけの支援事業が実施されるのは、実行計画(事務事業編)でのパフォーマ ンス改善が重視されているからだ。つ まり、実行計画(事務事業編)は、温対 法に示されている『計画の策定と公表、 及び年度ごとの成果の公表』だけでなく、 具体的な温室効果ガス排出量の削減 が重要になってきているということだ。 既に数次に渡り計画を策定して、取 組んでいるところでは、一般職員による 日常点検を強化するだけでは、これま で以上に温室効果ガスを削減できない。これからは、施設担当者が設備機器の点検整備や 管理運営委託業者と連携を図りながら、機械の運転制御に取り組んでいきながら、予防保全 の視点も含めた設備機器の適切な更新(省エネタイプ)が必要であり、カーボン・マネジメント 強化事業の2つめの支援事業が効果的だろう。 また、計画を策定していない団体、あるいは、計画期限を過ぎても改定していない団体は、 第一にエネルギーデータの集計等に基づく温室効果ガスの算定が煩雑だろうから、その点も 含めて、カーボン・マネジメント強化事業の1つめの支援を上手に活用して計画の策定と取組 の推進を目指す必要がある。 (平成 27 年 9 月 鈴木明彦) 株式会社 知識経営研究所 〒106-0045 東京都港区麻布十番 2-11-5 麻布新和ビル 4F TEL: 03-5442-8421 FAX: 03-5442-8422 E メール:[email protected]
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