ジェット機のエンジンの推力は約400キロ ニュートン、重さは約7t。それに

● ロ ケット の「 ゆ れ 」は どうし て る の?
(1)管を流れる時は“ おへそ” で吸収
ロケットの中を流れている大量の燃料や酸素
は、ちょっとした流れの変化がロケット本体に
影響して、ロケット全体をゆすることにもなり
かねない。この「ゆれ」を押さえるために、液体
酸素の通る管のエンジン近くには、気体を入
れた「ポゴ抑制装置」という、おへそのような
カタチの容器が取りつけられていて、ゆれを
吸収しているんだ。
(2)タンクの中の波は“ 板” で押さえる
タンクの中の燃料と液体酸素は、ロケットが飛んでいる時の
振動によって、
ドップンドップンと波打ってくることも考えら
れる。この波は放っておくとロケット全体をゆらしてしまう。
そこでタンクの中に、その波を押さえるような板を取りつけ
ているんだ。これを「スロッシング防止機構」というんだよ。
● ロ ケット エ ン ジン は 小 さくて 力 持 ち!
ジェット機のエンジンの推力は約400キロ
ニュートン、重さは約7t。それに対してH-Ⅱ
Aロケット第1段のLE-7Aエンジンは、推
力が約1,100キロニュートン、重さはなん
と約1.7tしかない。ギリギリまで軽くして、
しかも大きなパワーを出す、まさに限界に
近い技術をくししてつくられているんだ!
● 1 秒 間 にド ラ ム 缶 3 . 5 本 分!?
人工衛星の原理
ボールを投げたとき
速い速度で投げるほど遠くへ
飛ぶ
速度大
重力
投げたボールが人工衛星に
投げる速度が、秒速約7.9kmにな
ると地上に落ちないで地球を回り
始める
ロケットは、秒速約7.9km(時速28.440km)の速度を人工衛星に与えなければな
らない。これだけの速度を出すためにH-IIAロケットのメインエンジンは1秒間に合計
ドラム缶3.5本分(718リットル)の液体水素と液体酸素を消費します。
● ロ ケット の 本 体 は 、卵 や 缶 ジュー スと同 じ!?
ロケットの本体の重さは、全体の10%程度。この割り合いは、卵や缶ジュースと同じく
らいなんだ。どのようにして、こんなに軽くて、
しかも丈夫なロケットをつくるのだろう
か? ロケットの機体の材質は2cm程度の厚さのアルミニウム合金。これをけずって
2∼3mmの厚さにする。この時、高さ17mmくらいの
“すじ”
を残すんだ。できあがり
はまるでハチの巣の表面のよう。こうして、軽くて丈夫な機体をつくるんだ。
● タ ン ク から 燃 料 を 送 る の も 、
実 は む ず か し い!
燃料や酸素がエンジンに送られると、タンクの中がどんど
ん減っていく。でも、このままだと燃料や酸素の流れが止
まって、タンクから出てこなくなってしまう。タンクの中の
空いた部分に気体が入らないと、中身が出てこないんだ。
そのため、エンジンの熱で温められて気体になった燃料と
酸素を、それぞれのタンクの空いた部分に入れて燃料や
酸素を出やすくしているんだよ。真空を飛行するロケット
ならではのしくみだね!
● ロ ケット は 正 確 で 巨 大 な ロ ボット!
キミは指の上で鉛筆を立てることができる? なか
なかむずかしいと思うけど、50mもある巨大なロ
ケットは、ちゃんと立ったまま登っていくよね。そう
考えると、ロケットのコントロールがいかに正確に
行われているかが、よくわかると思う。たとえば、
H-ⅡAの第1段ロケットでは、エンジン全体をかた
むけてロケットの向きをコントロールしているん
だ。そして機体には、小さな補助エンジンもつけて
ある。これらによって倒れることなく、正確に飛行
できるんだ。ロケットはまさに超大型のロボットな
んだよ。
● ねらった ゴ ー ル は は ず さ な い!
ロケットが衛星を静止軌道に運ぶ場合、まず衛星を36,000kmまでとどくような軌道
に打ち上げる必要がある。H-ⅡAロケットに積まれている誘導装置は、なんと99.
7%
の確率で、
±約200kmのねらった範囲へ運ぶことができる。これをサッカーにたとえ
ると、フィールドの一番はしから1,000回ボールをけった時、たとえゴールが幅1.3m
くらいでも、997回もの確率でゴールに入るということなんだ。すごい命中率だね!