シンポジウム No.63 タブレット端末による装用状態の正確な測定方法 ○大吉 健* * HOYA 株式会社 ビジョンケア部門 青山ビジョンセンター Accurate measurement of eyeglass fitting by the tablet device Ken Ooyoshi* *HOYA Corporation Vision Care section 1.はじめに Aoyama Vision Center ある. メガネの販売においてレンズ性能を最大限 視力補正用のフレームでは一般にそり角に に引き出すには設計で既定されている状態に フィッティングすることが重要である. よる大きな度数変化は起きにくい. 問題はスポーツ用などに多いハイカーブ系 しかし、最近ではヨロイ部分が堅牢で傾斜 角度の調整が困難なフレームがあり、既定に 合わせることが不可能な場合がある. のフレームでそり角が大きく度数変化やプリ ズムが発生する可能性が高い場合である. ある程度は調整可能であるが元のデザイン 近年、装用状態を測定しその情報により個別 性を損なうことがある. に補正するインディビジュアル設計の累進屈 2.3 フレーム頂点間距離 折力レンズが登場. 装用状態を値として測定するため普及して プラスティックフレームでパッドアーム付き は少なく、高さや頂点間距離の調整は極めて いるタブレット端末を利用したツールが開発 困難である. された. 2.4 測定ツール 今回はそのツールで正確、迅速に測定する タブレット端末に前述のフレーム装用 3 条 方法と注意点及び実際の補正結果等について 述べる. 2.フレームの現状と測定ツール 2.1 フレーム前傾角 智部にデコレーションが付いている、蝶番 部の縦幅が大きいなど前傾角の調整が不可能 なフレームが増え、その割合を当店での現状 件 を 測 定 す る HOYA 製 ア プ リ ケ ー シ ョ ン を調査した ーム装用条件に合わせて補正された度数の事 例を紹介する. 3.2 測定での注意点 「 Lens Layout Indicator ver.2」を使用 . 3.結果 3.1 装用条件を考慮するレンズの補正状態 装用状態のフレーム頂点間距離とフレーム 前傾角の分布を確認した. また、実際に発注したレンズの処方値とフレ 図1 図2 前傾角の調整が困難のフレームの形状例 フレーム前傾角はテンプルと成す角度では なく沿直線と成す角度を測定するため、注意 をしたのは自然な遠方視を観察し測定時にそ の状態を再現することである。顔の角度によ り±5°位の誤差が生じてしまう . 2.2 フレームそり角 既定はフレームそり角ではなくレンズそり 角が0°つまり第一 眼 位での遠方視線 とレン フレーム頂点間距離の測定において苦労す るのは角膜頂点が水平方向からでは太いテン プルやデコレーション等で見えないケースで ズ凸面の接線が直交し屈折が起きない状態で ある. 4.考察 見え方や装用感の性能は既定の装用条件で あることが本来の高いパフォーマンスが発揮 される. 従って、フレーム選択において眼鏡小売店 として顧客にデザインの好みは取り入れなが ら調整の可能なフレームに誘導することがま ず大事で、作成時そして最終的にお渡しした 後もずれ落ちないようにするフィッティング についてはますます重要性が増す. 装用状態をタブレット端末にて測定するこ とで顧客にオーダーメイドで作成する満足度 の向上だけではなく、正しい位置で装用する ことの大切さを伝えやすい. また、装用条件を考慮できるレンズだけで はなく本来は累進レンズ全てにおいて確認す べきプロセスであるのでその測定を正確、迅 速に行う習熟性を高めていく必要があ る.
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