. . 岡田 俊樹 信州大学大学院 September 3, 2015 . . .. . 研究紹介 『量子状態トモグラフィー』 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 Contents . . .1 研究概要 . . .2 量子状態, 観測について . . .3 線形量子状態トモグラフィー . . .4 今後の展望 2 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 目的 未知の量子状態 ȷ 2 Md (C) を観測により決定するときに, 何が最 適な観測であるかを考察することである. . . . . 最適であるための基準 .. 推定値との誤差が小さい観測ほど最適であると考える . . .. 3 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 量子状態, POVM の定義 量子状態 ȷ は Md (C) の密度行列によって表現され, ȷ は 以下の 条件を満たす. . . . 量子状態の定義 .. Tr(ȷ) =1 ; ȷ–0 . .. . また, POVM(positive operator valued measure) とは, 以 下を満たす正値演算子 fPi gN (ȷ Md (C)) である. i=1 . . POVM の条件 .. . .. Pi = I i=1 . . N X 4 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 量子状態の観測問題 . . . . . . . 前提 .. .量子状態 ȷ が未知であり, 量子状態 ȷ を知りたい. .. . 手段 .. N POVMfP i gi=1 を使った観測 . .. 5 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 観測について 状態 ȷ のもとで, POVMfPi g により, 観測を行うと 1 から N ま での整数のいずれかが観測される. さらに, 観測値 i を得る確率は, . . . . 観測値 i の確率 .. p . i = Tr(ȷPi ) .. . で定義される. 観測を繰り返すと, Tr(ȷPi ) の近似値が得られる. . . 量子トモグラフィーとは .. この Tr(ȷPi ) から, ȷ を決定する . .. . 6 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 定義 1 . . POVM fPi gN が IC(informationally complete) である i=1 とは, 異なる量子状態 ȷ; ff 2 Md (C) に対して, . . IC であることの条件 .. Tr(ȷPi ) 6= Tr(ffPi ) . .. . が成り立つ 1 » i » N が存在することである. . . 命題 1 .. が IC であることと, POVM fPi gN i=1 N = M spanfP g d (C) であることは同値である. i i=1 . .. . 7 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 POVMfPi g の命題 . . 命題 2 .. N N fPi gi=1 が IC であると仮定すると, fPi gi=1 のデュアルフレー ム fQi gN (ȷ Md (C)) で自己共役演算子からなるものが存在す i=1 る. すなわち, 量子状態 ȷ に対し, ȷ= N X Tr(ȷPi )Qi .が成り立つ. .. . . i=1 上記の命題より, Tr(ȷPi ) から ȷ を復元することができる. 8 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 フレーム作用素の定義 Md (C) 上のフレーム作用素 F を以下で定義する. . フレーム作用素 F .. PN 1 F := i=1 TrPi jPi i hPi j . .. . . . ここで Qi = 1 F `1 Pi TrPi は標準的デュアルフレームと呼ばれるデュアルフレームである. 9 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 ȷ の推定値 (M) . . p ^i は, 確率 pi の推定値である. ȷ の推定値は, 以下となる. . . ȷ の推定値の定義 .. PN (M) ^i Qi ȷ i=1 p .^ = .. . またこのときの誤差は, Hilbert ` Schmidt norm を用いて以 下が導きだすことができる. . . ȷ の推定値の誤差 .. P (M) (M) N ^i )(pj ` p ^j )Tr(Qi Qj ) jjȷ ` ȷ ^jj2 = ij (pi ` p . .. . 10 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 実際の観測 どの ȷ が選ばれるか全ての状態を集めた集合上の確率測度 — に よって, 決められている. また, 確率測度 — は . 1 I d . . . R . ȷd—(ȷ) = .. を満たすと仮定する. このときの誤差の平均は, . . .. E(jjȷ`^ ȷjj2 )d—(ȷ) = Z . 1 ( M n X pi Tr(Q2i )`Tr(ȷ2 ))d—(ȷ) i=1 . . Z となる. 11 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 IC-POVM の誤差について . 定理 3 .. IC ` POVMfPi gN に対して, 誤差の i=1 Z . n 1 X ( pi Tr(Q2i ) ` Tr(ȷ2 ))d—(ȷ) M が最小となるのは, fQi gN が標準的デュアルフレームのときで i=1 .ある. .. . . i=1 12 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 最適な POVM について . . 命題 4 .. fPi g を IC ` POVM, fQi g を標準的デュアルフレームとする とき 1 1 1 jIi hIj + (idMd ` jIi hIj) d d+1 d が成り立つならば , 誤差の期待値が最小になる. . .. . . F= 13 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 SIC-POVM について . 定理 5 .. N=d2 のとき, 等式 F= . 1 1 1 jIi hIj + (idMd ` jIi hIj) d d+1 d が成り立つことと, 以下の 3 条件 1 1 ; d2 Tr(Pi Pj ) = (i 6= j) : d d+1 .が成り立つことは同値である. .. . . rank Pi = 1 ; Tr(Pi ) = 14 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 SIC-POVM の定義 . 定義 6 .. POVMfPi g が, 3 条件 1 1 ; d2 Tr(Pi Pj ) = (i 6= j) : d d+1 .が成り立つとき, fPi g を SIC ` POVM という. .. . . rank Pi = 1 ; Tr(Pi ) = . 15 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 今後の研究で行いたい事 . . . 課題 .. ȷ の情報の一部が既知である場合, どのような観測が最適なのか研 究していく . . .. . 16 / 17 研究概要 量子状態, 観測について 線形量子状態トモグラフィー 今後の展望 参考文献 . . Hiromichi Ohno , Denes Pez : Example of conditional SIC-POVMs .Quantum Inf Process , to be published Petz, D., Ruppert, L., Szanto, A.: Conditional SIC POVMs. IEEE Trans. Inf. Theory 60. 351-356 (2014) . . . .. Scott, A.J.: Tight informationally complete quantum measurements. J. Phys. A Math. Gen. 39, 13507-13530 (2006) 17 / 17
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