視点・提言 社会福祉法人 恵徳会 理事長 中野 登喜夫

視点・提言
社会福祉法人
恵徳会
理事長
中野
登喜夫
その10(2015.7.7)これからの社会福祉法人としての使命
日本国は先進国の中での貧困率は世界で第2位である。全世界での統計参加国の中
でも貧困率は第5位である。六人に一人が貧困者とみなされる。
世界大学ランキングでは、東京大学が第15位、他、上位に入っている日本の大学
はゼロである。
教育、人の育成、就職支援、生活支援、保護、困窮者の励まし、などなど、人間と
してできること、社会福祉としてできること、は大変に多岐にわたりたくさん、たくさ
ん、ある。
私自身、数年間、生活困窮者であった。
食べるだけで精いっぱいだった。お医者さんに行くお金もなく体も病んでいました。
だから、少しだけ、わかります。生活も、職も、体も、苦しみのルツボに入ってしまっ
ている方々のお気持ちを。
未来へ向かって、子供たち、青年達を、育成し、支援し、見守ることや、
生活ができない貧困の方々への支援、病気だがお医者さんへかかれない方々、夢も希望
も捨てた方々、一人きりで話し相手もいない方々、苦しみを相談したり、解決方法を寄
り添って考えてくれる人がいない方々。。。
基本は、特養、居宅介護、居宅医療をしっかり経営し、社会福祉としての幅広い活
動を展開していきたい!!
その8(2015.7.6)世界の中の日本の介護・医療
私は、米国に5年間、中近東に2年間住んだことがあり、フランス、デンマーク、
スコットランド、イギリス、タイ、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、台湾、
中国、香港、カナダなどにも滞在した。
学生時代だったアメリカでは、治安の悪い地域での安アパート暮らしだった。
貧困や差別、犯罪にあふれた危険な日常にあって、医療や介護などを受けられる金銭的
な資格のある住民はほとんど居ない。
その後就職し実感したことは、中級層以上の米国人では、お金がある人ほど健康で
あり、寿命が長い。
ダウンタウンで販売される飲食や食料品は殆どが、肉、ポテト、卵ばかりが売れ筋、
値段も野菜や果物は高価である。お金がない人ほど肥満者が多く、老齢者(いや、中年
者も)は道路際で街行く人にお金をせびる。
救急はドラッグや覚せい剤専門の救急病院が多く、前科者には無料での治療が受け
られる。
フィリピンのマニラ市、ダウンタウン、鉄格子で覆われたコンビニの前に散弾銃
を持つ警備員、道路の路肩はゴミで排水も機能しない。市内を流れる小川や運河は汚染
がひどく、悪臭とともに、異様な色をして流れも澱んでいる様子。
衛生状態は言うまでもない。近くには年端もいかない子供や幼児たちが裸足で遊び、真
っ黒に汚れた手でパンかお菓子のようなものをほおばっている。
老人たちは、電気も通らない木造の集合住宅の奥の暗がりに、顔も識別できないほどの
闇の中から何かを手招きし指示している様子だった。
この町に、介護や医療制度など、この住民たちには無縁であることを直感できる。
サウジアラビアの紅海に面した小都市、首都であるリヤド(ペルシャ湾側方面)、
聖地メッカ周辺等、ここで1年以上を過ごした。
サウジアラビア王国は高福祉国である。特に医療は、日本はじめ多くの医療先進国か
ら医療機器、技術、機械を輸入している。医療制度も福祉も多額の国家予算を投じてい
る。
国内を車で走る度に出会うのは、ラクダ、そして、ベドウィンや、多くの異民族、ほ
とんどがラクダや家畜とともに砂漠を異動生活している。この人たちに介護や医療の手
が差し伸べられる機会はない。
近くの郵便局で切手を買いに行った。人口の少ないサウジアラビアでは、例えば、郵
便局長以外はすべて他国人か、異教徒で産業の現場は営まれている。郵便局長さんはサ
ウジ王族の血縁だそうだ。単純に考えると、この国の医療や福祉の恩恵を受けるのは、
それぞれの事業や仕事に携わる一般住民の中のごく一部であると推察した。
デンマークのコペンハーゲンに居た。高福祉国であり、高税金の国である。
隣国スウェーデンはじめ、北欧は昔から福祉や医療には国民の関心は超高い、輸出する
製造品も関連したものが大変に多い。他のヨーロッパの国々の先進国の中では、日本も
学ぶ点はとても多いと思う。また、イギリスやフランス以外は、『公共意識』が強いと
感じる。歴史的背景や移民を極力受けいれないことなどが影響しているとは思うが、市
民一人一人が、ゴミや汚染に対する強い排除意識があると思う。よって、町の道もゴミ
は少ないし、自然も管理されている。医療施設、介護施設、老人ホームやデイサービス
も充実していると聞く。
日本は財政難だと報道され、社会保障費や2025年問題が大問題だと報道され
ている。また、北欧と比べると『公共、公益、福祉』への意識は
さほど
ではない。
よって、財源とみなされる付加価値税率も低いが、個人所得も決して高くない。
しかし、年齢別人口構成率の
いびつさ は大変な状況であり(少子高齢化)、世界経
済競争に巻き込まれた低経済成長国日本は、福祉・医療と経済を両立するには、優れた
知恵と行動が不可欠だが、介護・医療の、
『技術』もさることながら、
『心』も大変に重
要な位置を占めているように感じる。人は 『人に寄り添う心』によって、温かい思い
やりの言葉によって包まれ、心と命の元気さを復活させることができる。
その9(2015.7.6)学憧クラブ、有料老人ホーム
特養の増床移転計画は、資金もぎりぎりなので、入札が心配であるが、仮に特養が
移転した後は、現在の東逸見の施設を利用して、重度の介護・医療、看取りまでの有料
老人ホーム
と
地域の共働き世帯を支援できる
学童クラブ
を開設したいと考え
てます。
現在まで36年を耐えた建物を改修するにあたり、最大の障害は磨滅度が激しい給
水配管です。近年のライニング工法(更生工法)が施工できるか否か。。。それが全ての
鍵を握っている。
。
。
その1(2015.7.3)
『内部留保』について
そもそも平成23年で新会計基準が導入された際に、大幅な『引当金経理』が制度
上削除された。それにより、内部留保=ため込んだ金額が表面上多額となり、一部の人
たちの背任行為が火種となってバッシングされ、結果、介護報酬の引き下げにつながっ
た要因の一つになった。然しながら、老朽化した建物は改修や建て直しされるし、介護
職員への待遇改善や福利厚生の充実、不可抗力的な災害などに備える為の一定の蓄財
(引当金)は必要である。厚生労働省や国は種々の引当金経理を復活し、更に充実を目
指すべきである。
その2(2015.7.3)
『教育現場での進路指導の公平性や公益事業の説明』
先日、とある県立高校教論と議論をした。介護施設への進路指導や斡旋についてであ
る。他の知り合いからも聞いた話しも合わせて話し込んだ。
教育現場での、公益性や福祉のある事業での就職についての浅識を感じたばかりか、特
に介護現場への就職に対して、大変に社会的意義と価値が高く、やりがいのある職業で
あるにも関わらず、一部の進路の指導に関わる方々には偏見と無認識があり、また、そ
のような発言があったとも聞いた。私どもとしては、そのような人たちへの批判ではな
く、まさに私ども介護や医療に携わる人間こそ、公益性の高い事業の良さと大切さを社
会に訴える行動が必要とされている。
その3(2015.7.3)
『これからの福祉施設経営の困難さ』
介護報酬は将来に向けて常に下落する傾向、2025年問題、若年層の人口減少と介
護職への(景気上昇による)就職希望者減少、バッシング他の福祉法人に対する偏見、
地域地域における物価・人件費・家賃・土地代の異なる環境を無視した(報酬)地域加
算や処遇改善加算、縦割り行政や sectionalism による対応の一貫性のなさ、建設費、
労賃等の急上昇(オリンピック、震災復興)や人手不足、等々
挑戦課題が山のような
社会福祉法人の経営である。
その4(2015.7.3)
『山積みの紙書類』
一般営利企業では、税法上でも簡素化されてきている証票書類、帳簿、業務書類等々
は完全電子保存化されるべきである。
『紙』は『悪』であり、時間、労力、場所=お金
等々を浪費させる鬼である。
収益性が落ちた現在の社会福祉法人では、『紙書類』の保存義務を過度に課せる制度は
撤廃させるべきである。
(完全デジタル保存化)
その5(2015.7.3)『社会福祉会計制度』
外資系であり、一般の営利企業に長年勤務した私にとって、また、会計学を学校で学
んだ者として、率直に福祉会計制度を評したい。
1. 現金主義的な経理制度であり、経営管理が困難である。
2. 引当金制度が不足している。
3. 帳票の様式が経営管理していくのに使いにくい。
4. 一般の福祉会計ソフトが良いものが少ない。
5. 元帳、補助簿等、全面的な電子ファイル保存をお許しいただきたい。
6. その他(たくさん改善の余地あり)
その6(2015.7.3)
『理事.評議員に関する制度改正』
昨今、閣議決定も含む再来年度を目指した制度改正がおこなわれる為の審議内容を拝
見している。
現在までは代表理事や理事、評議員との関連性、などなど、非常にあいまいな制度で
あることは間違いない。また、だからこそ、一面では、社会福祉法人が今の形で経営さ
れているのだと思います。それには、良さも含まれている。また、安定性も、また、場
合によっては(一部ですが)不誠実性もあったと感じる。
今回の法改正・制度改正については、賛成です。然し、机上での制度設計はなるべく
避けてもらいたい。
なんらの形で、弁護士、公認会計士、行政、社会福祉法人の経営者
が集まった場所
を設けていただき、
本件を深く議論し、かりにその議論が横須賀市内で行われた場合は、
横須賀市議会として、国に提言を発していただきたい。
詳しくは、問題点をこの場で論ずることは差し控えますが。。
その7(2015.7.3)
『介護保険制度と措置』
一律な公平制度はかえって不公平さも生む
所得に応じた介護保険の負担費用を大幅に拡充し、また、寄付金を利用者から任意で募
った場合に福祉費用の支えとなり、公的な補助金等の経費削減ともなるのではないの
か。。などなど。
。考えるこのごろです。