「せいび」誌 2010 年 1 月号掲載 米国視察(の仕方)と希釈器情報 (株 )ア ム テック 矢部 要 今回がこの連載の最後の稿になりました。この稿では 11 月に行ってきました、米国 ISSA( International Sanitary Supply Association)での視察について、お話して参りましょう。 ISSA は日本のビルメン協会の様なものとお考えください。今年の ISSA の大会は米国フロ リダ州の Orlando(オーランド)で行われました。オーランドはディズニーワールドやシ ーワールドなど、大型アミューズメント施設がある観光地として名が知られている場所に なります。フロリダ州と言う日本からは遠い場所ですので、最初に驚いた事は、従来に比 べ、圧倒的に日本人が少ない事でした。遠いだけでなく、昨今の不景気も関係しているの かもしれません。見かけたのは殆ど輸入業者だけでした。 我がスパルタンケミカル社ではコンピューターによる清掃システム管理のコンピュクリ ーンのバージョンがアップされた事と教育システムのクリーンチェックをコンピュクリー ンと合体させ、教育システムの合理化や使い易さを追求したものを発表していました。コ ンピュクリーンは清掃面積や清掃仕様から清掃時間や清掃資材の量、機械類のメンテナン ススケジュールまで管理出来る大変便利で安価な物ですが、全編英語である事、単位がス クエアフィート(㎡ではなく)、ガロン(ℓではない)なので日本では使いにくい為、導入 を見送っている商品になります。 同じく弊社と提携している機械メーカーの老舗 NSS(National Super Service)社は来春発売予定の 15 インチと小型で驚くほど静音の自動洗浄機と 搭乗型自動洗浄機の前面にバキューム機能の付いたものを発表しています。 その他では或る大手ケミカルメーカーはケミカル製品よりも機械に力を入れた展示方法に 切り替えたり、大手モップメーカー達はマイクロモップの新製品と言うよりも、マイクロ モップのシステム化や使い勝手の良さを追求したもの(両面が使えるマイクロモップやカ ートとのシステム化)が多かったようでした。今回の展示会ではビックリするような新製 品は殆ど見当たらず、各社ともに従来の製品のシステム化や使い易さをアピールする方向 に向かっていました。 バイオボウル ナバック そうした中で、今回は弊社では自動希釈のメーカー探しと言う命題がありました。弊社 ではお陰さまでバイオボウルが非常に好調で、それにつられNABC(ナバック)も売れて います。これらの製品は RTU(Ready to Use=希釈しないでそのまま使える製品)になってい ます。弊社には何度かご紹介した、過酸化水素配合ハイブリッド型万能洗剤「ピロキシー」 や除菌バイオ洗剤で悪臭の除去に圧倒的な効果を示す「エコライザー」など優秀な商品が 揃っているのですが、これらの商品は希釈をして使う為、お客様の使用勝手を更に良くす るために簡単な希釈器が必要と考えているからです。弊社では既に何種類かの自動希釈器 を持っていますが、我が日本のお客様は壁に穴を空ける事を嫌うケースが多く、壁に穴を 空けないで済むような希釈器を探していました。安価である事も重要な要素です。何社か の候補が出来ましたのでそのうち皆さまにご紹介出来るものと思っております。 自動希釈器は私自身、非常に重要なものと考えています。プロ用の洗剤は総じて薄めて 使用するものが多く、その際に希釈率も厳密に定められています。そうした際に希釈がい い加減になってしまうと、折角の洗剤も力を充分に発揮する事が不可能になってしまいま す。清掃の効率化はどこでも求められており、10 現場あるうちの1つの現場で希釈方法が 軽視されると、全体に洗剤自体の評価が低くなってしまう事が良く起きるからです。 一方、使用者側にとっても、いつも希釈に神経をとがらせることが無くなると、関心を 他の部分に集中する事が出来るのです。また、正しい希釈器を使用すれば、洗剤の無駄も 省けますし、液漏れなどの心配もなくなります。清掃のシステム化を考えた場合、希釈が ブレテしまうと結果は惨憺たるものになってしまいますので、希釈器はそのうち必須のも のとなると考えています。希釈器のメリットを纏めると以下の様になります。 1. 希釈が正しくなる事で、洗剤の力を充分に発揮でき、作業効率が上がる。 2. 希釈に対するストレスが無くなるので、他の作業に神経を集中できる。 3. 誰が希釈しても、いつも正しい希釈が出来る。 4. 希釈に対する教育が必要なくなる。 5. 正しい希釈器を使用すれば、液漏れや洗剤の無駄がなくなる。 などです。 例えて言えば、コーヒーのチェーン店で各店がそれぞれ独自にコーヒーを煎れていたら、 とても同じ品質の物をお客様に提供する事は不可能でしょう。コーヒーメーカーの発達と その活用によって、チェーン展開が可能になったと言えます。自動希釈器は、コーヒーメ ーカーと同様に、洗剤の基(濃縮タイプの洗剤の事)を水道につなぎ、ボタン一つで正し い洗剤を作り出してくれます。メンテナンス業もコーヒーチェーンと同様に現場の数が多 いケースが殆どですので、品質の均一化には不可欠と考えます。 「様々な自動希釈器」 さて、先に述べたように低調とは言わないまでも、新製品と言う面白みには欠けた展示 会でしたが、同行した社員には非常に衝撃を与えたようでした。「やっぱり、米国(外国) に実際に来てみなければダメだ」と言っていました。米国での視察方法を少し述べましょ う。 来年はラスベガスで開催されることから、既に弊社へも何社か問い合わせが来ています が多くの日本の方が来場する事でしょう。その際に 30 年近く毎年出席している経験から申 し上げると、少しでも興味をもたれたブースの人間と話をする事が最も重要です。彼らは プロが揃っており、メンテナンスに対する考え方や取り組み方が非常に参考になると思い ます。メンテナンスの論理性や分かり易さ、システム化とはどういうものかなど、参考に なる部分が数多くあるでしょう。カタコトでも良いのです。自分で話してみると意外に通 じる事が実感できるでしょう。またどうしても英語が苦手と言う方は、通訳を付ける事を お薦めします。その際の通訳は 10 年以上の滞在期間がある人が良いでしょう。通訳の付け 方等で不慣れな方や、現地での案内等がございましたら、ご遠慮なく当社にご連絡下さい。 ここにきて、他社のシステム作りのお手伝いなどをするケースが増えてきましたが、そ の際につくづく思う事は、例えばモップの使い方、清掃器具の使い方、動作、仕事に対す る誠実性など、日本は世界的にみて最高レベルなのではないかと思うのです。しかし、そ の作業者が使用している洗剤を見ると、非常にもったいないと思います。洗剤に対する正 しい知識がない為、効率が上がらず苦労をされているケースをよく見受けます。そうした 方たちが正しい洗剤の使用方法やメンテナンス方法を身につければ、名実ともに世界の最 高峰になる事も可能でしょう。余談ですが、弊社社員が驚いていた事のもう一つは、日本 であれだけ多い「折りたたみ式の携帯電話」が殆ど見られなかった事です。携帯電話と同 じように、ガラパゴス化しないよう、(特に若い方には)世界を見ることをお薦めして、今 回の稿を終わらせたいと思います。また、どこかでお会いしましょう。 [ 連絡先 ] ㈱アムテック 営業担当 原 繁利 ℡ :03-5469-6667 E-mail:[email protected]
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