【2015 年上半期:地中海を渡る難民、移民が過去最高に

【2015 年上半期:地中海を渡る難民、移民が過去最高に】
2015 年 7 月 1 日
2015 年上半期、地中海を渡って欧州に辿りついた難民、移民の数は 13 万 7000 人に上
ったことがわかった。その多くが紛争や迫害から逃れている事から、危機的状況に陥
っている難民が増えているといえる。
地中海を渡ってイタリアやギリシャに辿りついた人の 3 人に 1 人が難民として保護を
必要としているシリア出身者である。次に多い出身国はアフガニスタンやエリトリア
など多くの難民が出ている国である。
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は「地中海での危険な航海にどのように
対応すべきかが議論されているが、海路で欧州に辿りつく人々の多くが紛争や迫害を
逃れ、他国に庇護を求めてる難民であるということを明確に伝えたい」と訴えた。
今年 1 月から 6 月の間に地中海を渡ってギリシャ、イタリア、マルタ、スペインに到
着した人数は 13 万 7000 人であり、昨年の同期間(7 万 5000 人)に比べて 84%増加し
た。
海路での避難は年の後半に増加する傾向がある。特に夏が多く、2014 年も下半期は上
半期の倍に膨れあがった。2015 年は 4 月に死亡した人数が増加し、5 月と 6 月に激減
した。1 月から 3 月の間は 479 人の難民、移民が海で溺死したり、行方不明となった。
これは 1 年前の同期間が 15 人だったのと比べると大幅に増加していると言える。
4 月は特に多数の遭難事故が重なり、1308 人の難民、移民が溺死したり、行方不明に
なった。5 月はこの数が 68 人となり、6 月は 12 人となるなど減る傾向が続いた。
(2014 年は 6 月だけで 305 人が溺死、もしくは行方不明)
グテーレス高等弁務官は「ここ 2 ヶ月、溺死したり行方不明となる人数が減っている
のは良い兆候だ。様々な対応策が功を奏し、海上での事故死は減らせることを証明し
ている。しかし一方で、何千人もの難民、移民が海路での避難を続けており、危機的
状況は変わっていない」と語った。
国連難民高等弁務官(UNHCR) 駐日事務所 広報室
107-0062 東京都港区南青山6-10-11 ウェスレーセンター
Tel 03-3499-2310 Fax 03-3499-2272
www.unhcr.or.jp
UNHCR の支援活動は皆様のご寄付に支えられています。ご寄付はUNHCR の公式
支援窓口である国連UNHCR 協会を通じてお願いします。国連UNHCR 協会
フリーダイヤル:0120-540-732 (平日10時~18時)www.japanforunhcr.org
移動する人々は、従来は北アフリカを発ち、イタリアを目指すルートを主に使ってい
たが、最近はトルコを発ち、ギリシャを目指す東部のルートを通る人の方が増えたこ
ともわかった。ギリシャに辿りつく人の多くがシリア難民である。多くがまずトルコ
やレバノンなどシリア周辺国へと逃れるが、受け入れ国での経済の逼迫や公共サービ
スの不足などの影響で、雇用機会やシェルター、教育機会などを見つけられないなど
の困難に直面する。人道支援への資金が大幅に不足するなか、周辺国に避難している
シリア難民の多くが別の国へと移動せざるを得なくなっている。
ギリシャでは 2000 ヶ所で難民を受け入れているが、増え続ける難民に対応するのは難
しい状況である。難民の多くがマケドニア旧ユーゴスラビア共和国、セルビア、ハン
ガリーなどを経由し避難している。毎日平均 1000 人以上がギリシャからマケドニアに
流入しているが、数週間前その数は 200 ほどだった。避難の過程では密航業者や犯罪
組織による暴力も報告されている。
グテーレス高等弁務官は「欧州には紛争や迫害を逃れて庇護を求める人々を保護する
責任がある。その責任を放棄することは、これまで欧州が懸命に作り上げてきた人道
支援の枠組みが脅かされることを意味する。欧州各国はこの危機に対し、公平に負担
を共有すべきである」と訴えた。
▼プレスリリース(英語)はこちら http://www.unhcr.org/5592b9b36.html
▼地中海を渡って避難する人々に関するレポート(The sea route to Europe: The
Mediterranean passage in the age of refugees)はこちら
http://www.unhcr.org/5592bd059.html#_ga=1.154344762.369513870.1331226322
▼地中海での避難に関する写真やビデオのダウンロードはこちら
http://www.unhcr.org/medsea15
国連難民高等弁務官(UNHCR) 駐日事務所 広報室
107-0062 東京都港区南青山6-10-11 ウェスレーセンター
Tel 03-3499-2310 Fax 03-3499-2272
www.unhcr.or.jp
UNHCR の支援活動は皆様のご寄付に支えられています。ご寄付はUNHCR の公式
支援窓口である国連UNHCR 協会を通じてお願いします。国連UNHCR 協会
フリーダイヤル:0120-540-732 (平日10時~18時)www.japanforunhcr.org