第5学年2組 国語科学習指導案 指導者 1.単元名 永嶌 裕美 堀越 千枝子 (読書指導員) 作者の思いを、ポップで紹介しよう ~「大造じいさんとがん」の学習を通して~ 2.単元について (1)題材観 本単元では、大きく変容する大造じいさんを中心人物とし、大造じいさんが、作 品 の 展 開 の 中 で 最 も 大 き く 変 わ る と こ ろ を 作 品 の 「 山 場 」 と し て 、「 山 場 」 を と ら える学習を展開する。 学習指導要領の C読むこと(1)エ 登場人物の相互関係や心情、場面についての描写をとらえ、優れた叙述について 自分の考えをまとめること 伝統的な言語文化に関する事項(1)イ(カ) 語感・言葉の使い方に対する感覚などについて関心をもつこと を指導する単元である。 本題材は、場面分けがわかりやすく展開され、大造じいさんの性格や気持ちの変 化、情景描写などについて、叙述をもとに想像して読むことができる。また、登場 人物の心情を想像させる効果的な表現を使った情景描写の工夫は、登場人物の気持 ちの変化を読み取る力をつけたり、直接文章に表現されていない内面にある深い心 情を想像を広げながら読み取る力をつけたりすることができる題材であると考え る。自然描写の中に、大造じいさんの気持ちが表されているところを見つけること を通して、自分の表現活動に取り入れることも考えられる。 読み取ったことを音読や朗読として声に出して読んだり、大造じいさんが残雪を 助けたことについて自分の考えを友だちと話し合ったりする言語活動も設定できる 題材である。 学 習 指 導 要 領 解 説 に は 、「 C 読 む こ と 」 の 言 語 活 動 例 「 エ 本 を 読 ん で 推 薦 の 文 章を書く言語活動」の推薦方法として、広告カード(ポップ)が挙げられている。 ポップとは一般的に「紙を広告媒体としてその上に商品名と価格、またはキャッチ コピーや説明文、イラストだけを手描きしたものであり、数ある広告媒体の中でも 単 純 な ツ ー ル の 一 つ で あ る 。」 と さ れ て い る 。 本 を 推 薦 す る た め に は 、 本 を よ く 読 み込み、作者の思いが相手に伝わるような構成や推薦するための言葉などの工夫が 必要である。多くの椋鳩十作品の中から、おすすめしたい本を選び、ポップで紹介 することは、登場人物の人物像や深い心情をとらえるとともに伝えたいことを自分 の言葉で表現するという点でも、大変有効な手段であると考える。本題材でも、作 者の思いをポップで紹介する活動を取り入れていきたい。 (2)児童の実態 本学級の児童は、4年生の『一つの花』で、登場人物の心情の変化をとらえる学 習 を し て き た 。『 五 月 に な れ ば 』 で は 、「 語 り 手 の 視 点 」 を 意 識 し た 読 み 方 を し て 、 場面の描写と関連づけて登場人物の心情の移り変わりを読む学習をした。 ・児童は、人物の気持ちについて自分なりの感想を持つことはできるが、細か 心情や場面の描写について豊かに読み味わうところまでは至っていない。 ・読書は嫌いではないが、読んでいる冊数は多くはない。 ・椋鳩十を知っている子は、ほとんどいない。作品を読んだことのある子もい い。 このような実態から、児童が興味を持ち、読むこと・表現することに意欲的に取 り組めるような指導法の工夫を行う必要があると考え、ポップ作りを取り上げるこ とにした。 ・「 ポ ッ プ 」 を 聞 い た こ と の あ る 子 は 、 1 /3 。 2 /3 の 児 童 は 、「 ポ ッ プ 」 を 知 ら な い 。 ・ 本 の 紹 介 の 方 法 と し て 知 っ て い る の は 、読 書 週 間 に 取 り 組 ん だ こ と の あ る「 読 書郵便」が半数で、ポスター・カード・新聞等をあげた子もいる。 取 り 組 ん で み た い も の も 、「 読 書 郵 便 」 が ほ と ん ど で あ る 。 ・紹介するときに気をつけた方がいいことは ・わかりやすく ・結末まで教えない ・読みたくなるように などをあげている。 - 国語 5年 1/4 - (3)指導観 本題材では、場面ごとの大造じいさんの作戦を整理させ、大造じいさんの思惑と 残雪のとった行動、大造じいさんの残雪に対する気持ちの変化についてしっかり考 えさせたい。ワークシートを活用することにより、大造じいさんの作戦をしっかり と理解させる。また、ワークシートに自分の考えをまとめることにより、自信を持 って自分の考えを発表できるようにさせていきたい。 椋鳩十の作品には、動物と人間のふれあいを描く心温まるものが多い。また、作 家独自の世界を作り出している色彩語や文語調の叙述など、どの作品にも共通する 雰囲気が存在する。しかし、今の子どもたちは椋鳩十の作品に触れることはあまり な い 。「 大 造 じ い さ ん と が ん 」 の 学 習 を き っ か け と し 、 椋 鳩 十 の 他 の 作 品 を 読 ん だ り、読み聞かせを聞いたりすることにより、子どもたちは読む楽しさを味わいなが ら自分の好きな作品を見つけることができるであろう。そのために、読書指導員と 連携した読書指導を充実させたい。子どもたちが手に取ることのできる椋鳩十の作 品を用意し、その中からお気に入りの本・おすすめの本を見つけることにより、こ の本を紹介したいという思いへつなげていきたい。今まで取り組んだことのないポ ップで作者の思いを紹介することは、自分なりの表現に取り組んだり、見た人から の反応も期待でき、これからの読書活動へもつながっていくと思われる。 3.目標 〈児童の活動目的〉 ○椋鳩十のおすすめの本のポップを作って、みんなに読んでもらおう。 〈教師の指導目標〉 ○椋鳩十の作品に関心を持ち、自分でポップを作ってみようとする。 (関心・意欲・態度) ○友だちの意見を自分の意見と比べるなどして考えをまとめることができる。 (話すこと・聞くこと) ○自分たちが作ったポップを見合い、表現の仕方に着目して助言し合うことがで きる。 (書くこと) ○大造じいさんと残雪の相互関係や心情、場面についての描写をとらえ、優れた 叙述について自分の考えをまとめることができる。 (読むこと) ○登場人物の心情につながるような情景描写の効果について関心をもつことがで きる。 ( 伝 統 的 な 言 語 文 化 と 国 語 の 特 質 に 関 す る 事 項) 4.指導計画 (9時間扱い) 次 学習内容 ○椋鳩十の作品紹介を聞く。 第 一 次 指導事項 学習材 ○ブックトークで椋鳩十の作品を ・椋鳩十の 紹 介 す る 。( 読 書 指 導 員 ) 作品 ○ 椋 鳩 十 の 作 品 を 、 ポ ッ プ を ○ ポ ッ プ と は ど ん な も の か 紹 介 す ・モデル 作って紹介することを知ら る 。( 読 書 指 導 員 ) ・写真 せる。 1 ○全文を通読する。 ○さし絵について、場面ごとに触 ・ワークシ れる。 ート ○新出漢字の読みや難しい言葉に つ い て は 、必 要 に 応 じ て 解 説 す る 。 ○登場人物、場面構成を確認 ○大造じいさん、残雪についてお ・ワークシ する。 さえる。 ート ○「~作戦」のように短く表現さ せる。 ○感想、心に残った情景描写 ○どの場面の感想であるかわかる を書き抜く。 ようにさせる。 ○「1」の場面を音読する。 ○大造じいさんの残雪に対す ○見つけられない児童には、個別 ・ワークシ る気持ちがわかる叙述を見 に対応する。 ート つけて、大造じいさんのい 2 まいましい思いや感嘆の気 持ちについて考える。 ○どんなふうに書いてよいかわか ・ワークシ ○大造じいさんの残雪やがん らない児童には、例文を示して ート に対する思いや気持ちの変 書きやすいようにする。 化について話し合い、自分 の考えを書く。 - 国語 5年 2/4 - 3 4 5 第 6 二 次 7 第 三 次 8 ・ 9 (本 時 ) ○「2」の場面を音読する。 ○大造じいさんの残雪に対す ○見つけられない児童には、個別 ・ワークシ る気持ちがわかる叙述を見 に対応する。 ート つけて、大造じいさんの意 気込みやくやしい思いにつ いて考える。 ○どんなふうに書いてよいかわか ・ワークシ ○大造じいさんの残雪やがん らない児童には、例文を示して ート に対する思いや気持ちの変 書きやすいようにする。 化について話し合い、自分 の考えを書く。 ○「3」の場面を音読する。 ○大造じいさんの残雪に対す ○見つけられない児童には、個別 ・ワークシ る気持ちがわかる叙述を見 に対応する。 ート つけて、大造じいさんの今 度こそという思いと残雪の 行動に心を打たれる気持ち ○なぜ、大造じいさんが銃をおろ ・ワークシ について考える。 してしまったのかを考えさせる 。 ート ○おとりのがんを助ける残雪 とはやぶさの戦いの様子を 読み、銃をおろした大造じ ○大造じいさんは、何に心を打た ・ワークシ いさんの気持ちを読み取る。 れ た の か 、 こ れ ま で 残 雪 を 捕 ら ート ○大造じいさんを目の前にし えるためにどれだけ努力してき た時の残雪の様子を読み、 たのかを考えさせる。 その時の大造じいさんの気 ○どんなふうに書いてよいかわか ・ワークシ 持ちを読み取る。 らない児童には、例文を示して ート ○大造じいさんの残雪に対す 書きやすいようにする。 る気持ちの変化について話 し 合 い 、自 分 の 考 え を 書 く 。 ○「4」の場面を音読する。 ○大造じいさんの残雪に対す ○見つけられない児童には、個別 ・ワークシ る気持ちがわかる叙述を見 に対応する。 ート つけて、残雪を放した大造 じいさんの心情を考える。 ○物語全体を通しての大造じ ○これまでの学習を振り返り、考 ・ワークシ いさんの残雪に対する気持 えるようにさせる。 ート ちの変化についてまとめ、 ○どんなふうに書いてよいかわか 残雪を話した大造じいさん らない児童には、例文を示して の気持ちを考える。 書きやすいようにする。 ○大造じいさんのとった行動 ・ワークシ について、大造じいさんの ート 心情の変化についてふれな がら自分の考えを書く。 ○新出漢字や読みかえ漢字に ○部首や書き順、画数、熟語等を ついて学習する。 確認する。 ○二つの「らしい」の意味の ○全員に国語辞典を準備させ、調 ・ワークシ 違いを自分なりに考えてか べさせる。 ート ら 辞 書 で 調 べ 、短 文 を 作 る 。 ○ 前 後 に つ く 言 葉 や 文 脈 も 意 識 し ・ ワ ー ク シ ○「漢語」について知る。 て考えさせる。 ート ○『大造じいさんとがん』の ○ページ担当を決めるなどして、 文章の中から、漢語を見つ 本文中から広く見つけさせる。 ける。 ○ 作 者 の 思 い を 考 え な が ら『 大 ○ 主 題 と お す す め の 場 面 を 考 え さ ・ モ デ ル 造じいさんとがん』のポッ せ、自分なりの表現でまとめさ ・ポップの プを作る。 せる。 用紙 ( T2読 書 指 導 員 ) ○ 椋 鳩 十 の 作 品 の 中 か ら 、 好 ○ 主 題 と お す す め の 場 面 を 考 え さ ・モデル きな本を選んで読み、ポッ せ 、 自 分 な り の 表 現 で ポ ッ プ に ・写真 プを作って紹介する。 まとめさせる。 ・ポップの ○読み手を意識させるようにする 。 用紙 ( T2読 書 指 導 員 ) - 国語 5年 3/4 - ○友だちのポップを見合う。 10 ○ お 互 い の 作 品 を 見 合 い 、 参 考 に ・ポップ したいところ、直した方がいい ところを考えさせる。 ( T2読 書 指 導 員 ) 5 . 本 時 の 指 導 ( 9/10) (1)目標 ○ ポ ッ プ 作 り に 関 心 を 持 っ て 、進 ん で 取 り 組 ん で い た か 。 ( 関 心 ・ 意 欲 ・ 態 度) ○作者の思いを自分なりに表現して、みんなに伝えるためのポップを作ること が で き た か 。( 書 く こ と ) (2)展開 学習活動と内容 ○指導上の留意点 ◎評価 資料 1.本時の学習について、確認す 3 る。 作者の思いをポップにして、紹介しよう。 ~みんなが読みたくなるようなポップを作ろう。~ 2 .「 作 者 の 思 い 」 に つ い て 確 認 ○ 前 時 ま で の 話 し 合 い を 振 り 返 り、 する。 作者の思いや自分の伝えたい思 ・残雪に心を打たれて、気持 いを確認させる。 ちが変わった大造じいさん ・動物に対する気持ち ・動物にも人間と対等のよう 5 な動物もいる 「みんなが読みたくなるような ○「大造じいさんとがん」で作っ ポップ」について確認する。 たポップを振り返り、ポップ作 ・本の内容がわかりやすい。 りのポイントを押さえる。 ・登場人物がよくわかる。 ・あまり視覚的な効果ばかりに ・山場がわかる。 とらわれないように助言す ・続きが読みたくなる感じ。 る。 ・目立つ。 ・目を引く。 ・手に取りたくなる。 ・学習の流 れ(掲示 物) ・モデル ・写真 ・大造じい さんとが んのポッ プ 3 . 計 画 書 に し た が っ て 、 ポ ッ プ ○ 各 自 の 計 画 書 に し た が っ て 、 ポ ・計画書 作りをする。 ップ作りを進めさせる。 ・用紙 ○担任・読書指導員が机間巡視し、 ・動物の絵を入れたい。 助言する。 ・登場人物の台詞を入れよう。 ・構成 ・自分の感想を入れるよ。 ・文章表現 ・動物の形にしようかな。 ・文字の大きさ 35 ・あらすじも必要だよね。 ・引用の仕方 ・めだつキャッチコピーを入 ・絵 れたい。 ○なかなか取りかかれない児童に ・迫力のある山場の文章を書 は、個別に見本を見せて参考に こう。 させたり、何を知らせたいのか ・結末までは書かないで、読 聞きポイントをはっきりさせる。 みたくなるようにするよ。 ○ 工 夫 し て い る 児 童 の 作 品 を 提 示 し、どんなところがよいか考え させ、参考にさせる。 ◎作者の伝えたい思いを表現して、 ポップをつくることができたか。 ( 観 察 、作 品 ) 4.本時の活動について振り返ら ◎進んでポップ作りに取り組んで ・振り返り 2 せる。 いるか。 カード ( 観 察 、振 り 返 り カ ー ド ) 5.次時の予告をする。 ○次時は、お互いのポップを見合 うことを知らせる。 - 国語 5年 4/4 -
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