「助産師としての子育て支援~自身の子育て体験・小児科外来勤務から感じたこと~」 仙台市 高野 花 2011 年の大震災より、4 年の歳月が経過しました。 私は同年 5 月に、生後 1 ヶ月の息子を連れて、福島市より仙台市 に自主避難をして来ました。振り返ると、友人、知人がいない土地 で、初めての育児に奮闘してきたこの 4 年間は、今までの人生の中 でも、もっとも楽しく、そして辛く、大変濃厚な時間です。 仙台に引っ越してからの最初の数ヶ月は、産後間もないこともあり、 子どもと2人でアパートにこもりきりの、孤独なものでした。たわいの ない日常会話もできない、孤独の中での子育ては、「孤育て」と言わ れる様に、精神的に辛いものでした。 その生活の突破口となったのが、乳児健診とベビーマッサージ教室 でした。子どもを介して、同じ境遇の同志と出会い、仲間が出来たこ とで、生活が一変しました。仲間と試行錯誤しながら、協力して過ご すことは、自分にとって、大きな支えになりました。 病院勤務時代は、妊産婦さんとは妊婦健診から 1 ヶ月健診までの関わりしかなく、出産がゴールのよ うな感覚がありました。しかし実際は、子育てはその後も続き、母親として、支えが必要な状況が沢山 あるのだということを、身をもって知ることができました。 少しでも自分が助けになれば…と、昨年より、小児科クリニックで外来勤務をしています。乳児健診で お会いする母親達は、育児ストレス、離乳食や卒乳、次の妊娠や避妊のこと、自分の心に関する悩み など、沢山胸に抱え込みながら、皆、育児を「頑張っている」ように感じます。 「頑張る」子育てではなく、時には鼻歌を歌いながら、笑顔で子育て出来るには、何が必要なのだろ う?私自身は、育児は一人でしなくて良い、自分は孤独ではないのだと思えた時、とても楽になりまし た。 そこがまさに、「助産師=女性のそばにいる人(midwife)」の出番なのだと思います。母親のそばにい て話を聴き、共に考え、仲間作りを促し、必要時に他職種と連携することは、助産師ならではの役割で す。電話・メール相談事業や、助産師サロンなどは、沢山の方々の支えになっていると日々感じていま す。助産師という素晴らしい職業を誇りに思い、一人でも多くの笑顔の母親、笑顔の子どもが増えます ように、活動していきたいと思っています。 編集後記 紫陽花の候になりました。皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。 さて、思春期保健講演事業はお蔭様で問い合わせや依頼が続いております。支援センター会 員では、間に合わずに四苦八苦しております。勤務部や開業部の方もどうぞセンター会長ま でお声掛け下さいますよう、お願い致します。会員登録して頂ければ幸いです。
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