The 60th Annual Meeting of the Japanese Society for Dialysis Therapy, Luncheon Seminar 19 第60回日本透析医学会学術集会・総会「ランチョンセミナー 19」 高リン血症治療最前線 ∼リン管理の発展が拓く未来∼ 開催日:2015年6月27日(土) 場所:パシフィコ横浜 第2会場(301、302) 司会:中山 昌明 先生(福島県立医科大学 腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学講座 教授) 平方 秀樹 先生(福岡赤十字病院 副院長) 演者:重松 隆 先生(和歌山県立医科大学 腎臓内科学講座 教授) 秋葉 隆 先生(東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター血液浄化療法科 教授) Masaaki NAKAYAMA Hideki HIRAKATA Takashi SHIGEMATSU Takashi AKIBA 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)に を迎えようとしている。 おいて、近 年、FGF23(Fibroblast Growth factor 23) 本セミナ ーでは、重 松 隆 先 生 からCKD-MBDにおける などの新たな因子の関与が同定され、 リン負荷と鉄代謝が FGF23の役割を中心にリンコントロールの流れについて、 密接に関連していることが明らかになってきた。 また2014 秋葉隆先生から鉄結合性糖タンパク質であるラクトフェリン 年にリン吸着薬として登場したクエン酸第二鉄水和物(製品 (Lf) を介した腸管からの新たな鉄吸収経路を踏まえたリオナ 名:リオナ ®錠 250mg)が鉄代謝を通じてFGF23に作用 処方のポイントと治療戦略について、それぞれお話しいた する可能性も示唆されるようになり、 リン管理は新たな局面 だいた。 リンコントロールの流れとその意味 リン負荷増大に応答して産生が亢進する FGF23はCKD-MBD治療の新たな標的 リンは生命にとって重要なミネラルである一方、過剰に摂取 すると腎機能の低下やカルシウムの吸収抑制等を招き生命予 後を悪化させる。 食道・胃・腸は体外であり、 そこから体内に取り 込まれた分子は尿中にしか排泄できないというのが腎臓内科 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 講演1 の世界観で、 慢性腎臓病 (CKD) ではこの尿中排泄機能が低下 する (図1)。余分なリンがコントロールできずリン負荷が増大 すると、同時にビタミンDの活性が低下し、それに応答して副甲 状腺ホルモン (PTH)分泌が増加し、二次性副甲状腺機能亢進 症が惹起される。 また近年、骨細胞で産生されるリン利尿ホル モンであるFGF23の発現がリン負荷の増大に応答して亢進 し、 ビタミンD 活 性をさらに低 下させることがわかってきた。 実際、CKD患者で経口リン吸着薬を中止してリン負荷を増大 させると、 FGF23の産生亢進が観察される (図2) 。 こうした機序は、 本来、 リン利尿を促進して高リン血症と低カル シウム血症を回避する適応現象のはずだが、 ステージが進行し たCKDや透析患者では尿中へのリン排泄ができないため、 この 向けると、 1970∼80年代にはリン吸着力が評価されアルミ 司 会 ニウム製剤が用いられていたが、 アルミニウム骨症や脳症な 福島県立医科大学 腎臓高血圧・糖尿病 内分泌代謝内科学講座 教授 どが問題となり、1992 年に透 析患 者での使 用が禁 忌と なった。19 9 9 年に沈降 炭 酸カルシウム製 剤が登 場した 中山 昌明 先生 が、胃内pH依存性である上、血中カルシウム濃度を上昇 Masaaki NAK AYAMA させることから、 異所性石灰化の促進が懸念されている2,3)。 演 者 図2 和歌山県立医科大学 腎臓内科学講座 教授 リン吸着薬OFFに伴う血清リンと血中FGF23濃度の変化 (pg/mL) 重松 隆 先生 Takashi SHIGEMATSU 50,000 ており、 血中FGF23高値の透析患者は生命予後が不良であ ることが報告されている 。 したがって、 FGF23を標的とした 1) FGF23 さらに最近、 FGF23そのものが心血管疾患と関連付けられ 治療の探求も臨床的に有用と考えられる。 栄養管理と十分な透析、 リン吸着薬の併用が有益な治療法である 6.0 30,000 5.0 20,000 4.0 10,000 3.0 0 図1 input 価数 強 3価 PTH リン結合力 2価 弱 リン利尿×2 FGF23 1価 提供:重松 隆氏 金属 リン酸塩 飽和溶液中の リン酸濃度 (mol/L PO4) クロム (緑) CrPO4 4.90×10−12 ランタン LaPO4 6.08×10−12 鉄(Ⅲ) FePO4 1.14×10−11 アルミニウム AlPO4 1.14×10−10 鉛 3 PO4) 2 Pb( 2.99×10−9 銅 3 PO4) 2 Cu( 3.29×10−8 3 PO4) 2 Fe( 4.95×10−8 カルシウム 3 PO4) 2 Ca( 2.28×10−7 カドミウム 3 PO4) 2 Cd( 2.37×10−7 ニッケル 3 PO4) 2 Ni( 6.83×10−7 マグネシウム 3 PO4) 2 Mg( 3.59×10−6 バリウム 3 PO4) 2 Ba( 2.52×10−5 ナトリウム Na3PO4 1.03 カリウム K3PO4 2.42 鉄(Ⅱ) 骨 便 2.0 各種金属のリン結合力の比較 リンは尿中にのみ 捨てられる ビタミンD活性化 (週) Shigematsu T, et al:Contrib Nephrol.185:42-55 2015 © 2015 Karger Publishers, Basel, Switzerland.The figure printed herein has been translated into Japanese from the original by Torii Pharmaceutical Co., Ltd..KARGER PUBLISHERS CANNOT BE HELD RESPONSIBLE FOR ANY ERRORS OR INACCURACIES THAT MAY HAVE OCCURRED DURING TRANSLATION. THIS FIGURE IS COPYRIGHT PROTECTED AND ANY FURTHER DISTRIBUTION REQUIRES A WRITTEN CONSENT FROM KARGER PUBLISHERS. 食道/胃/腸:ここは体外 副甲状腺 8 期間 表 リンの過剰対策:腎臓内科の世界観 4 経口的リン負荷の増大により、血清リン濃度の上昇と血中FGF23濃度 の上昇が観察できた。 では十分にリンを除去できないためリン吸着薬の併用が が多いほど強い傾向にある。 リン吸着薬の変遷(図3) に目を 7.0 40,000 0 リン負荷を軽減することが重要だが、食事介入や透析だけ 一般にリン吸着薬のリン結合力は、 含有金属のイオン価数 8.0 * 平均値±標準誤差 *:p<0.02 paired -test CKD-MBDの予後改善には、 不要なリンをしっかり除去し、 必要となる。 (mg/dL) 血清リン濃度 代償機構は破綻し、 CKD-MBDの病態が持続・進行する。 n=13 FGF23 血清リン 60,000 各種金属塩における飽和リン酸イオン濃度の比較(日本たばこ産業株式会社社内資料) The 60th Annual Meeting of the Japanese Society for Dialysis Therapy, Luncheon Seminar 19 2000年代に入って、3価の金属を含む炭酸ランタン製剤 食事介入・透析・リン吸着薬の併用でリンを 過不足なく調節することが重要 とクエン酸第二鉄製剤 (リオナ)が登 場した。1錠に含まれる イオン量をもとに算出すると、 現行の金属塩タイプのリン吸着 薬では、 これら2剤のリン吸着能が同程度であることが予想 リンの濃度は高すぎても低すぎても予後に悪影響を与える。 される (表) 。 低リン血症を伴う栄養障害は生命予後を悪化させることから、 今後、透析患者のリン管理では、PEW(Protein-Energy クエン酸第二鉄による保存期患者の高リン血症 への介入は、 FGF23への介入にもなりうる W a s t i n g:タンパク質・エネルギー 栄 養 失 調 症 )とM I A (Malnutrition, Inflammation, and Atherosclerosis:栄養障 保存期CKD患者では、高リン血症を呈するよりもかなり 害・慢性炎症状態・動脈硬化) 症候群に留意することが重要で 前から血中FGF23濃度の上昇が認められるため、 早期介入 あると考えられている。 臨床検査において、 これらの指標とな の点からもFGF23を指標とすることは一理ある。 リン吸着薬 るのは、低アルブミン血症、低リン血症、高CRP値、高フェリ のうち、 リオナは、 国内外の臨床試験で、透析前のCKD患者 チン値、 高BUN値、 低コレステロール血症である。 これらの指 において血中FGF23濃度を低下させたことが報告されて 標に注意しながら、 食事介入と透析、 リン吸着薬の適切な併用 いる。保存期CKD患者90例を対象とした国内臨床試験で により、リンを 過 不 足 なく適 正 範 囲 に 維 持 す ることが は、 リオナの12週間投与によりプラセボと比べFGF23が CKD-MBDの予後改善にとって不可欠である。 有意に低下した(図 4 )4)。 ステージ3∼5のCKD患者149例 を対象とした米国の多施設試験でも同様の結果が得られ ている5 )。 こうした知見に鑑みると、高リン 血 症を呈 する 引用文献 1)Gutiérrez, OM. et al.: N Engl J Med 359(6): 584-92 , 2008 2)Guérin, AP. et al.: Nephrol Dial Transplant 15(7): 1014-21, 2000 3)日本透析医学会「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」 4)Yokoyama, K. et al.: Clin J Am Soc Nephrol 9(3): 543-52, 2014 5)Block, GA. et al.: Am J Kidney Dis 65(5): 728-36, 2015 CKD患 者 へのリオナの投 与による、 リンそのものの低下 作用は、結果としてFGF23を標的とした介入にもなりうると 考えられる。 図3 リン吸着薬の変遷 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 アルミニウム製剤 1972年∼ カルシウム製剤 1992年 アルミニウムの蓄積 吸収判明 2010年代 1999年 透析患者への アルミニウム 製剤の使用禁忌 2003年 沈降炭酸カルシウムが 高リン血症治療薬として 製造承認を取得 セベラマー 塩酸塩 2009年 2014年 炭酸ランタン クエン酸第二鉄 2012年 ビキサロマー 提供:重松 隆氏 クエン酸第二鉄投与による血中FGF23:透析前CKD症例 (pg/mL) 1,200 1,000 FGF23 図4 対象:高リン血症を呈する透析導入前の保存期慢性腎 臓病患者 (CKDステージ3∼5) 90例 リオナ群 プラセボ群 中央値/第1四分位、第3四分位 方法:2∼4週間の観察期 (Wash Out期) 終了後、 リオナ またはプラセボを1日3回、 食直後に12週間投与し た。 リオナの投与量は1.5g/日から開始し、 2週観 察日に3g/日に増量した。 4週観察日以降は1.5∼ 6g/日の範囲で用量を調節 (1回の増減量は1.5g/ 日) 、 血清リン濃度低下効果および安全性を無作 為化二重盲検法により検討した。 800 600 400 200 0 2 4 6 8 0 リオナ群(n) 57 57 57 52 46 57 プラセボ群(n) 29 29 25 24 23 29 治療週数 10 12(週)治療 終了時 観察 開始時 Republished with permission of the American Society of Nephrology, from Ferric Citrate Hydrate for the Treatment of Hyperphosphatemia in Nondialysis-Dependent CKD, Yokoyama K,et al, Clin J Am Soc Nephrol 9(3),543-52,2014; permission conveyed through Copyright Clearance Center, Inc. 体内に取り込まれると考えられている。 すなわち、 従来の鉄吸 講演2 収経路では、3価の鉄は2価に還元されたのち、鉄トランス 透析患者をクエン酸第二鉄で 治療する∼処方のポイントと治療戦略∼ ポーターであるDMT1から腸管上皮内に取り込まれ、 フェロ ポーチンを介して血中に放出されるが、 Lfを介した経路では、 3価鉄と結合したLfがその受容体を介して腸管上皮内に取り 1) 込まれる (図1) 。 こうして取り込まれたLfは、 鉄代謝に関与す 司 会 るだけでなく、 免疫細胞の活性化や炎症の抑制に寄与するこ とが示唆されている (図2) 。 福岡赤十字病院 副院長 平方 秀樹 先生 鉄そのものが危険なのではなく、 吸収経路が重要である Hideki HIR AK ATA 鉄は生体に必須の元素だが、静脈内の経路で鉄が非生 演 者 理的に急速に血管内に取り込まれると、 Tfが一過性に飽和状 東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター 血液浄化療法科 教授 態となり、非Tf 結合鉄(NTBI)が血中に出現するリスクが 秋葉 隆 先生 ある2)。 一方、 クエン酸第二鉄 (リオナ) の経口投与では、生理 Takashi AKIBA 的な投 与 経 路であることからNTBIが発 生しないことが 図1 Lfは腸管からの鉄吸収の 新たなルートである 消化管における鉄吸収機構 Fe Fe Lf ラクトフェリン (Lf) は、 トランスフェリン (Tf) と共通 の 立 体 構 造を有 する鉄 結 合 性 の 糖タンパク質 Lumen Fe2+ Fe3+ Dcytb で、鉄イオンに対する親和性はTfの30倍である。 Fe Ferritin では膵液や胆汁の一成分として分泌される。 Lf1分 Fe Fe Fe 子には通常2個の3価鉄 (第二鉄) が結合するが、 中 Fe Fe Fe 内に分泌されたLf は3価鉄 (第二鉄) と結合し、 一般 ① ② FPN1 Hephaestin Fe Circulation Fe 的に知られている鉄吸収経路とは異なる機序により 図2 Fe Fe Fe Fe 性溶液 (pH6.5∼7.4) 中では、 70分子以上の鉄を 可溶化できることが明らかにされている1)。消化管 Lf receptor Pinocytotic Vesicles 成人の体内では好中球に最も多く存在するほか、 涙液や唾液などの外分泌液にも含まれ、消化管内 Fe Fe DMT1 ③ Fe Kawakami, H.: Milk Science 62(3): 85-104, 2013 免疫機能および炎症反応へのラクトフェリンの作用 Lactoferrin(Lf) Monocyte Macrophage Dendritic cell (Langerhans cell) LPS NF-κB TNF-α promoter Allergen CD14 IL-1β LPS TNF-α IL-6 LPS-CD14 Naïve T cell Endothelial cell Activate Th1 cell Inflammation Small intestinal epithelial cell IL-8 Inflammation TNF-α Migrate IL-18 Th1 cell Naïve T cell Activate Th1 cell Inflammation IFN-γ NK cell Systemic immunity 提供:川上 浩氏 The 60th Annual Meeting of the Japanese Society for Dialysis Therapy, Luncheon Seminar 19 ラットモデルにおいて示されている 3 )。 また、貧 血 傾 向 の 女 性にLf結合鉄を経口投与したところ、ヘモグロビン値が 改善した。注目すべきは、投与を継続してもヘモグロビン値は 血清フェリチン値については 測定方法の標準化が必要 正常域を維持し、鉄吸収が過剰に亢進されなかったことで 血清フェリチン値は、新ガイドラインでも鉄過剰および鉄 ある (図3)4)。 これらを総合すると、 鉄そのものが危険なので 不足のマーカーとして重視されているが、 血清フェリチンは鉄 はなく吸収経路が重要であり、経口鉄投与はNTBIを発生 欠乏性貧血を診断するマーカーにはなっても、炎症等により させずに安全に鉄を補給できると考えられる (表1) 。 値が大きく変動することから、 鉄過剰を診断する際の正確性に 2015年改訂予定の 「慢性腎臓病における腎性貧血治療の ついては疑問の声もある。 そもそも、 血清フェリチンの管理目標 ガイドライン」 では、 赤血球造血刺激因子製剤 (ESA) も鉄剤も 値を評価する介入試験はこれまでに実施されておらず、 現行の 投与されておらず、血清フェリチン値から鉄欠乏性貧血と診 鉄補充療法を開始する血清フェリチン値の基準値は観察研究 断される場合には、 ESAに先行して鉄補充療法が提案される の結果に基づくものである。 日本医師会が約1,200施設の協 予定である。鉄剤投与は経口投与を原則とするガイドライン 力を得て、 29の血清フェリチン測定キットについて施設間およ の姿勢を踏まえると、 生理的に鉄を補充する方法は、 今後さら び測定キット間での差を検討した結果、 同じ測定キットを用い に重 要となり注目されるだろう。経 口 投 与される鉄 含 有 た場合の施設間の血清フェリチン濃度の測定値の差は4.07 リン吸着薬であるリオナへの期待は高い。 ∼5.39%であったが、 測定キットの違いにより測定値に16.27 5) ∼18.03%と大きなばらつきが認められた (図4) 。 例えば、 あ 図3 ラクトフェリン可溶化鉄が成人女性の貧血指標に及ぼす影響 (g/dL) 0.5 n=11 平均値±標準誤差 *:p<0.01 paired -test * 0.4 Hb変動量 0.3 0.2 0.1 0 -0.1 摂取前 摂取6週 摂取12週 摂取終了6週 対象: Hb値13g/dL未満ある いはフェリチン濃度45 ng/dL 以下の貧血傾 向女性13例 方法: ラクトフェリン可溶 化 鉄3g (鉄量7.5mg)を 12週間摂 取させ、摂 取開始前、摂取6、 12 週 目および摂 取 終 了 6週 後 に空 腹 状 態で 採 血し血液 学 的 検 査 を行った。 元賣 睦美 他.: 日本食品科学工学会誌 54(10): 442-6, 2007 表1 る測定法で300ng/mLを示す試料が、別の測定法では 190ng/mLを示すといった具合である (表2) 。 測定値にこれほどの差がでる血清フェリチン値をマーカー として、 鉄と生命予後の関連性を論じることは疑問である。 血 清フェリチン濃度の適正値については、今後、測定方法の違 いを考慮した試験により再検証する必要がある。 引用文献 1)Kawakami, H.: Milk Science 62(3): 85-104 , 2013 2)Zanen, AL. et al.: Nephrol Dial Transplant 11 (5): 820-4, 1996 3)宮崎 章 他.: 日薬理誌 144(6): 294-304, 2014 4)元賣 睦美 他.: 日本食品科学工学会誌 54(10): 442-6, 2007 5)日本医師会「平成25年度(第47回)臨床検査精度管理調査結果報告書」 鉄製剤の吸収・分布 吸収部位 静注鉄 経口鉄 血管内 鉄の存在様式 NTBI フェリチン (非トランス フェリン結合鉄) 腸管粘膜 (網内系) 鉄の分布・利用 トランス フェリン 結合鉄 ヘモグロビン 酸素運搬 フェリチン 貯蔵鉄 組織鉄 各種酵素反応 全身循環 (各種組織) (血管内) トランスフェリン結合鉄 提供:秋葉 隆氏 図4 表2 フェリチンの双値図 535.0 フェリチン 試料13 478.0 421.0 試料13 399.46ng/mL 364.1 307.1 250.1 193.1 31.8 試料11 63.99ng/mL 43.0 54.3 65.5 76.7 フェリチン 試料11 88.0 99.2 ルミパルスプレストフェリチン[32] ルミパルスフェリチン-N(F)[18] ルミパルスフェリチン-N(G)[57] ビトロスフェリチン[15] STEテスト「TOSOH」Ⅱ (フェリチン)[44] スフィアライトフェリチン[10] HISCLフェリチン試薬[11] アーキテクト・ フェリチン[257] Centaur-フェリチンⅡ[50] LZテスト 栄研 FER[141] FER-ラテックスX2「生研」CN[244] N-アッセイLAフェリチンニットーボー[51] イアトロフェリチン[81] LTオートワコーフェリチン[41] エクルーシス試薬フェリチン[91] 日本医師会「平成25年度(第47回)臨床検査精度管理調査結果報告書」 ECLIA法とCLIA法でのフェリチン値換算 ECLIA法 50 100 200 300 CLIA法 32 CLIA法 50 100 200 300 ECLIA法 79 159 318 477 63 127 190 (ng/mL) 提供:秋葉 隆氏 **2015年5月改訂 (第4版 投与期間制限医薬品に関する情報の項削除) *2015年1月改訂 処方箋医薬品注1) クエン酸第二鉄水和物(Ferric Citrate Hydrate)錠 商品名 注1)注意−医師等の処方箋により使用すること 承 認 番 号 22600AMX00005000 洋 名 Riona ®Tab. 250mg 承 認 年 月 2014年1月 薬 価 収 載 2014年4月 販 売 開 始 2014年5月 クエン酸第二鉄水和物 (Ferric Citrate Hydrate) 87219 セルロース、 ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、 ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、 ヒドロキシプロ ピルセルロース、 クロスポビドン、 ステアリン酸Ca、 ヒプロメロース、酸化チタン、 タ ルク、 ポリエチレングリコール 白色のフィルムコーティング錠 サ イ ズ 識 別 コ ー ド キノロン系抗菌剤 シプロフロキサシン等 機序・危険因子 テトラサイクリン系抗生物質 テトラサイクリン等 セフジニル 抗パーキンソン剤 ベンセラジド・レボドパ等 経口アルミニウム製剤 注2 ) 水酸化アルミニウムゲル 合成ケイ酸アルミニウム 側面 4. 副作用 国内における本剤の主要な臨床試験において、 801例中204例 (25.5%) に副作用が認め られた。 主な副作用は、 下痢、 便秘、 腹部不快感、 血清フェリチン増加であった。 (承認時) その他の副作用 下記の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場 合は適切な処置を行うこと。 JTP 751 効能・効果 種類 用法・用量 通常、成人には、 クエン酸第二鉄として1回500mgを開始用量とし、1日3回食直後に経口 投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1日 6,000mgとする。 <用法・用量に関連する使用上の注意> ・本剤投与開始時又は用量変更時には、1∼2週間後に血清リン濃度の確認を行う ことが望ましい。 ・増量を行う場合は、 増量幅をクエン酸第二鉄として1日あたりの用量で1,500mgまで とし、 1週間以上の間隔をあけて行うこと。 使用上の注意 1.慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること) (1)消化性潰瘍、 炎症性腸疾患等の胃腸疾患のある患者[病態を悪化させるおそれが ある。] (2)ヘモクロマトーシス等の鉄過剰である患者[病態を悪化させるおそれがある。] (3)C型慢性肝炎等の肝炎患者[病態を悪化させるおそれがある。] (4) 血清フェリチン等から鉄過剰が疑われる患者[鉄過剰症を引き起こすおそれがあ る。] (5)他の鉄含有製剤投与中の患者[鉄過剰症を引き起こすおそれがある。] (6)発作性夜間血色素尿症の患者[溶血を誘発し病態を悪化させるおそれがある。] 2. 重要な基本的注意 (1)本剤は、血中リンの排泄を促進する薬剤ではないので、食事療法等によるリン摂取 制限を考慮すること。 (2)本剤は、定期的に血清リン、血清カルシウム及び血清PTH濃度を測定しながら投 与すること。血清リン、血清カルシウム及び血清PTH濃度の管理目標値及び測定 頻度は、学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。低カルシウム血症の 発現あるいは悪化がみられた場合には、活性型ビタミンD製剤やカルシウム製剤の 投与を考慮し、 カルシウム受容体作動薬が使用されている場合には、 カルシウム受 容体作動薬の減量等も考慮すること。 また、 二次性副甲状腺機能亢進症の発現あ るいは悪化がみられた場合には、 活性型ビタミンD製剤、 カルシウム製剤、 カルシウム 受容体作動薬の投与あるいは他の適切な治療法を考慮すること。 (3)本剤は消化管内で作用する薬剤であるが、 本剤の成分である鉄が一部吸収される ため、血清フェリチン等を定期的に測定し、鉄過剰に注意すること。 また、ヘモグロ ビン等を定期的に測定し、特に赤血球造血刺激因子製剤と併用する場合には、 過剰造血に注意すること。 販売元 東京都中央区日本橋本町3ー4ー1 他のクエン酸製剤との併用で血中アルミニ クエン酸との併用に ウム濃度が上昇したとの報告があるので、 より、 吸収が促進され 同時に服用させないなど注意すること。 るとの報告がある。 注2)透析療法を受けている患者へは投与禁忌である。 長径 約14.9mm、短径 約6.9mm、厚さ 約4.6mm 慢性腎臓病患者における高リン血症の改善 2015年10月作成 臨床症状・措置方法 これら薬剤の作用を減弱させるおそれが これら薬 剤と結 合 あるので、 併用する場合にはこれらの薬剤 し、吸収を減少させ の作用を観察すること。 るおそれがある。 エルトロンボパグ オラミン 形 上面 日本たばこ産業株式会社 甲状腺ホルモン剤 レボチロキシン等 有 効 成 分 クエン酸第二鉄水和物を無水物として (クエン酸第二鉄として)250mg含有 ( 1 錠 中 ) 性 状 ・ 剤 形 鳥居薬品株式会社 製 造 販 売 元 薬剤名等 組成・性状 物 販 売 元 3. 相互作用 併用注意 (併用に注意すること) 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 外 3年 (外箱等に表示の使用期限を参照のこと) リオナ®錠 250mg 日本標準商品分類番号 加 気密容器、室温保存 (「取扱い上の注意」参照) 使用期限 和 名 一 般 名 添 貯 法 製造販売元 頻度 2%以上 2%未満 胃腸障害 下痢(10.1%)、便秘(3.2%)、 腹部膨満、腹痛、十二指腸潰瘍、排便回数増 腹部不快感(2.5%) 加、 胃腸障害、 悪心、 嘔吐、 便通不規則 臨床検査 血清フェリチン増加(2.7%) 血中アルミニウム増加、 γ-グルタミルトランスフェ ラーゼ増加、 ヘマトクリッ ト増加、 ヘモグロビン増加 赤血球増加症、肝機能異常、食欲減退、 そう痒 症、 高血圧 その他 5. 高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に 投与すること。 6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、産婦及び授乳婦には、治療上の有益性 が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 [これら患者への投与に 関する安全性は確立していない。] 7. 小児等への投与 小児等に対する安全性は確立していない (使用経験がない)。 8. 適用上の注意 薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。 (PTPシートの誤飲により、 硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、 更には穿孔をおこして縦隔 洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。 ) 9. その他の注意 (1)本剤の投与により便が黒色を呈することがある。 腹部のX線又はMRI検査で、本剤が存在する胃腸管の画像に未消化錠が写る可能性がある。 (2) (3) イヌを用いた長期反復投与毒性試験において、最大臨床用量の鉄として約5倍に 相当する用量より、鉄の過剰蓄積に伴う肝臓の組織障害(慢性炎症巣、細胆管の 増生及び肝実質の線維化)が認められた。 これらの変化は休薬による回復性はな く、 休薬期間中に病態の進行が認められた。 *包 装 リオナ®錠250mg:100錠(10錠×10 PTP包装)、500錠(10錠×50 PTP包装)、1,000錠 (10錠×100 PTP包装) 取扱い上の注意 アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。 詳細は添付文書をご参照ください。 禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分にご留意ください。 資料請求先 鳥居薬品株式会社 お客様相談室 TEL 0120-316-834 FAX 0120-797-335 ® 登録商標 IF20-1510P RIO TJ010A
© Copyright 2024 ExpyDoc