∼それぞれの老い支度

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<年度
第 回定例研究会>
∼それぞれの老い支度
シンポジスト 峰平あけみ (在宅ホスピスボランティアの会 「手と手」
濱
和子 (託麻原校区社会福祉協議会会長)
富永健次郎 (看取りを経験したご家族)
コーディネーター 黒木 邦弘 (熊本学園大学社会福祉学部准教授)
日
副代表)
時 年 月 日(土) 時 分∼時 分
はじめに在宅ホスピスボランティアの会 「手と手」 の峰平副代表より、 在宅ホスピス・ボランティ
ア活動の実際についてご報告いただいた。 さらに、 ご家族の看取りを経験された富永さんから、 託麻
原校区社会福祉協議会の濱会長から、 家族による看取りや地域活動からの問題提起を受けた。
峰平さんは、 「住み慣れた家で暮らしたい」 という患者の願いに、 「大丈夫、 安心して帰って来て」
と言えるチームづくりをすすめられていることを話された。 福岡市での在宅ホスピスボランティアの
会 「手と手」 は、 年 月に始まった。 療養中の人やその家族によりそい、 チームでその人らし
さを支えようというものです。 介護に疲れている人たちに、 月 度でも、 週 度でも、 「一人でがん
ばらなくても大丈夫、 みなで応援します」 と。 患者さんには、 「家族が外出している間、 おしゃべり
をしながら留守番中」 といえる。 このことを可能にされているのです。 それが可能になるのは柔軟に
対応できるボランティアだからだと峰平さんは言われます。 自宅で寝て過ごす人が多いなかで身近に
ディホスピスがあることがどんなに患者や家族に大切なことであるかも話されました。 夫や母の看取
り体験を通じて、 峰平さんは、 在宅ボランティアフェスタ、 在宅ホスピスを語る会、 在宅ホスピスボ
ランティア養成講座に参加され、 そこで学んだ人たちの活動拠点として、 「手と手」 を結成されてい
きました。 ボランティアと医療拠点をつなぐコーディネータの重要性も強調されました。 「隣る人
(
)」 がいてこそ 「いつものくらしのなかで自分らしい最期」 を迎えることができると訴えられ
ました。
富永さんは天草にお住まいで、 月から ヵ月間にわたる看取り経験を赤裸々に話された。 歳の
母が一人暮らしは無理とわかったとき、 「入院しなければ」 ということに 「助かったと思った」 こと。
さらに 「入院はいや」 といわれるお母さんに 「私は泣く泣く、 仕方なく」 応じたこと。 「天真爛漫
(わがまま)」 な母と、 「やさしさを欠くけど、 いやといえない」 息子のやりとりを話されました。 そ
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社 会 福 祉 研 究 所 報
第 号
の富永さんを、 在宅クリニックの院長先生と婦長さんが週 日、 看護師が毎日、 介護士が午前・午後、
歯科医、 ヘルパー、 調剤薬局の人など の組織 名が相当な在宅支援をされていたのだそうです。
しかし、 先生への応対・駐車場係 (台しか止められない) など 「私の独り相撲」 で、 お母さんの
「死期が近付くと心細い、 だれかにそばにいてほしい」 という思い、 「それに気付けなかった」 自分で
あったと話されました。 その時に (月) 「元気だけど、 今のうちに合わせる人がいたら呼んで」 と院
長先生が話されたのです。 富永さんは話の終わりに 「親子でなく、 第三者でなければできないことを
研究してほしい」 と言われました。
濱和子さんは、 校区においても 「支援を待っている人の増加」 のなか、 「道であいさつできる生活」
「やすらぎ」 が切に求められていると話されました。 そして、 「高齢者保護ネットワーク」 を立ち上げ
られました。 ①発見と声掛け、 ②保護と通報が可能になるよう、 医療と各団体をつなぐ、 救急医療情
報の普及、 小学生も含めたみまもり支援等に取り組まれています。 「終末期をもう一歩先にどのよう
に支え合うか」、 デスカンファレンスの研修を始められました。 「入口に立ったばかり」 何から手をつ
けたらいいか、 医療、 介護施設、 各団体でのネットワーク強化をすすめたいと話されました。
黒木先生は日本の家族による看取りと、 峰平さんのふれられたオランダの地域による看取りを紹介
されました。 さらに、 濱さんの実践から高齢期をめぐる つの入口を図を用いて説明されました。 ま
ず 「元気な高齢期」、 次に 「外出を控える高齢期」、 そして 「介護が必要な高齢期」 であるとのこと。
「元気」 「外出できず」 「介護必要」 その三段階に応じた取り組みを地域の支えでどのようにかたちづ
くるかが、 「寿ぐ死へ」 につながっていくことを示されました。 以下にその図を載せておきます。
(研究会報告担当者 井上弘人)
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