人体から取得された試料及び情報等の保管に関する

平成28年2月19日改訂
九州大学
人体から取得された試料及び情報等の保管に関する標準業務手順書
1.総則
本手順書は、九州大学病院、九州大学大学院医学研究院、大学院歯学研究院、大学
院薬学研究院及び生体防御医学研究所等 (以下「各研究院等医系地区部局」という。)
において、人を対象とする医学系研究が「人を対象とする医学系研究に関する倫理
指針」(文部科学省・厚生労働省告示第3号)を遵守して実施される上で、人体か
ら取得された試料及び情報等の保管に関して必要な事項を定めるものである。
2.定義
本手順書における用語を以下のように定める。
2.1.試料・情報等
人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいい、死者に係るものを含む
ものとする。
(1) 人体から取得された試料とは、血液、体液、組織、細胞、排泄せつ物及びこれら
から抽出したDNA等、人の体の一部であって研究に用いられるものをいう。
(2) 研究に用いられる情報等とは、研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病
名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であ
って研究に用いられるものをいい、症例報告書や研究対象者が作成する記録、修
正履歴 (日付、氏名含む。)なども含まれるものとする。
2.2.保管期間
(1)「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省・厚生労働省告示
第3号)第19において、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入
を行うものを実施する場合、当該研究に用いられる情報等の保管期間は、少な
くとも当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日又は当該研
究の結果の最終の公表について報告された日(それまでに公表した以上に研究
結果を公表する見込みがなくなった場合)から3年を経過した日のいずれか遅い
日までとする旨が規定されている。一方、九州大学「研究データの保存等に関
するガイドライン」においては、原則、当該研究に用いられた情報等は論文発
表後10年間、人体取得試料については論文発表後5年間とする旨が定められてい
ることに留意するものとする。
(2)(1)の規程をふまえ、本手順書では、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究
であって介入を行うものを実施する場合、当該研究に用いられる情報等の保管
期間は、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」で規定される保管期
間、又は、九州大学「研究データの保存等に関するガイドライン」で定められ
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る保管期間のいずれかの遅い日までの期間を遵守するものする。
(3)侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うもの以外の医学系研
究を実施する場合、当該研究に用いられる情報等は、原則、九州大学「研究デー
タの保存等に関するガイドライン」で定められる保管期間、すなわち、論文発表
後10年間保管する旨を遵守するものとする。
3. 研究者の責務
(1) 研究者は、研究に用いられる情報等を正確なものとするように注意を払うものと
する。
(2) 研究者自らが作成しない情報(研究対象者が作成する記録)等が正確に作成され
たことを確認する。
(3) 研究者は、自らの転出や退職に際して、自身の研究活動に関わる資料のうち保存
すべきものに係る対象論文名、研究データの保存場所及び後日確認が必要となっ
た場合の連絡方法等について、当該研究責任者と確認を行い、その内容を記載し
たものが保管され、追跡可能となるように協力すること。
(4) 研究者は、論文等の形で発表した研究成果について、求めに応じ、研究 活動の
適正性について科学的根拠をもって説明するとともに、必要に応じ、研究データ
等を開示しなければならない。なお、転出や退職後もその責を負うものとする。
4. 研究責任者の責務
(1) 研究責任者は、人体から取得された試料及び情報等を保管するときは、研究計画
書にその方法を記載するとともに、研究者等が情報等を正確なものにするよう指
導・管理し、人体から取得された試料及び情報等の漏えい、混交、盗難、紛失等
が起こらないよう必要な管理を行う。
(2) 研究責任者は、(1)の規定による管理の状況について、年1回、研究実施報告書に
記載の上、倫理審査委員会事務局を通して研究機関の長へ報告しなければならな
い。なお、研究を終了ないし中止するときも同様に、倫理審査委員会事務局を通
して研究機関の長へ報告しなければならない。なお、「人を対象とする医学系研
究に関する倫理指針」(文部科学省・厚生労働省告示第3号)第9の2の規程に則
り、当該研究の結果の最終の公表について報告された日(それまでに公表した以
上に研究結果を公表する見込みがなくなった場合)の後、さらに研究結果の公表
を行うこととなった場合は、速やかにその旨を研究機関の長に報告するものとす
る。
(3) 研究責任者は、自らのグループの研究者の転出や退職に際して、当該研究者の研
究活動に関わる資料のうち保存すべきものに係る対象論文名、研究データの保存
場所及び後日確認が必要となった場合の連絡方法等について、当該研究者と確認
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した内容を記載したものを保管し、追跡可能としておくこと。また、必要に応じ、
研究データ等のバックアップを保管するなどの措置を講ずるものとする。
(4) 研究責任者は、論文等の形で発表した研究成果について、求めに応じ、研究 活
動の適正性について科学的根拠をもって説明するとともに、必要に応じ、研究デ
ータ等を開示しなければならない。なお、転出や退職後もその責を負うものとす
る。
5. 研究機関の長の責務
(1)研究機関の長は、当該研究機関が実施する研究に係る人体から取得された試料及
び情報等が適切に保管されるよう必要な監督を行うものとする。
(2)研究機関の長は、(1)の規定における保管が電子媒体等に記録されたデータの場合
は、データを適切に保管するために、セキュリティシステムの保持、データのバ
ックアップの実施等の他、データの真正性、保存性、見読性の保持等に留意する
ものとする。
(3)研究機関の長は、当該研究に用いられる情報等について、可能な限り長期間保管
されるよう努めるものとする。
(4)研究機関の長は、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うも
のを実施する場合、当該研究に用いられる情報等について、「人を対象とする医
学系研究に関する倫理指針」で規定される保管期間、又は、九州大学「研究デー
タの保存等に関するガイドライン」で定められる保管期間のいずれか遅い日まで
の期間、適切に保管されるよう必要な監督を行う。なお、連結可能匿名化された
情報について、当該研究機関が対応表を保有する場合には、対応表の保管につい
ても同様とする。
(5)前項において、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日又は
当該研究の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいず
れか遅い日までの期間を経過したものであって、保管スペースの制約など止むを
得ない事情がある場合には、合理的な説明がつく範囲で廃棄することも可能とす
る。
(6)研究機関の長は、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うも
の以外の医学系研究を実施する場合、当該研究に用いられる情報等は、原則、九
州大学「研究データの保存等に関するガイドライン」で定められる期間、適切に
保管されるよう必要な監督を行う。なお、連結可能匿名化された情報について当
該研究機関が対応表を保有する場合には、対応表の保管についても同様とする。
(7) 研究機関の長は、人体から取得された試料については、九州大学「研究データの
保存等に関するガイドライン」に則り、少なくとも当該研究結果についての論文
等による最終公表日から5年間、適切に保管されるよう必要な監督を行うものとす
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る。ただし、保存・保管が本質的に困難なものや、保存に多大なコストがかかる
ものについてはこの限りではない。
(8)研究機関の長は、人体から取得された試料及び情報等を廃棄する場合には、匿
名化されるよう必要な監督を行うものとする。
(9) 研究機関の長は、研究責任者の転出や退職に際して、当該研究責任者の研究活動
に関わる資料のうち保存すべきもの及び後日確認が必要となった場合の連絡方法
等を記載したものを保管し、追跡可能としておくこととする。
6. その他
6.1. 人を対象とする医学系研究を実施するにあたっては、本手順書を遵守するほか、
関係法令、通達、ガイドライン並びに九州大学の規則・内規、他の手順書等も
遵守するものとする。
6.2. 本手順書の改訂にあたっては、医の倫理協議会の議を経て、各部局の長の承
認を得た後、研究担当理事に報告するものとする。
以上
附則 第1.0版(平成27年5月21日)
① 本手順書は平成27年6月1日より施行する。
② 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」施行に伴い初版制定。
附則 第2.0版(平成28年2月19日)
①
九州大学「研究データの保存等に関するガイドライン」施行に伴い第2.0版制定。