暮らし向き、世帯収入は改善するも - 株式会社しがぎん経済文化センター

2015年夏季「物価と消費に関するアンケート」
県 内 経 済 情 報
暮らし向き、
世帯収入は改善するも、
物価の実感は高止まりで支出抑制が続く
【調査概要】
●調査名:
「物価と消費に関するアンケート」
●調査時期:2015年6月11日
(木)、12日
(金)、15日
(月)
●調査対象先:滋賀県内の滋賀銀行本支店にご来店の女性
(有効回答数:702人)
ネルギー価格の上昇など、物価の影響は続いている。このような
状況が家計や消費行動にどのような影響を及ぼしているのか。滋
賀銀行の店頭にご来店の女性を対象に、2015年夏季の「物価と消
や「食料費」
(54.0%)で5割を超えた。それ以下の項目でも
3割 前 後 の 回 答 が多く、節 約 意 識は幅 広 い 項 目にわたって
現在の「物価DI」
(「かなり上がった」
「やや上がった」と回答し
いる。
た割合から「かなり下がった」
「やや下がった」と回答した割合を
一方「増やしたいもの」では「特になし」が55.3%と最も多く、回
引いた値)
は+86.0となり、前回(14年12月:+86.5)
から−0.5ポイ
答者の約半数を占めた。次いで「旅行・レジャー費」
(24.5%)、
「趣
ントと横ばい。
3期連続で+85を超えて高止まりし、依然、物価上
味・自己啓発費(習い事、英会話等)」
「(子どもや孫の)教育費」
(いずれも18.9%)
が2割前後となった。
昇への意識は強い。
text by しがぎん経済文化センター 長山 真由美
昨年4月の消費増税から一年余り。円安による食品の値上げやエ
くなり、次いで「携帯電話・インターネット等通信費」
( 54.6%)
物価DI…
高止まり、今後も高い水準が続く見通し
半年後の「物価DI」は+85.8で、現在(+86.0)
とほぼ変わらず、
なお、
「特になし」を除いて「増やしたいもの」の回答割合が「減
高い水準が続く見通しである。
らしたいもの」を上回ったのは「旅行・レジャー費」
「趣味・自己啓
発費(習い事、英会話等)」
「(子どもや孫の)教育費」の3項目で
あった。
値上がり実感、
「野菜、果物」で8割、
「乳製品」
「光熱・水道費」
7割
費に関するアンケート」
を行った。
「物価DI」が高止まりしていることからも、依然として物価上昇
まとめ
を強く実感する状況が続いている。
「現在、値上がりを実感して
暮らし向きDI…
3期ぶりに改善、今後は再び悪化の見通し
世帯収入DI…
3期連続で改善し、
「もちあい」に近づく
現在の「暮らし向きDI」
(「良くなった」
「やや良くなった」
と回答
現在の「世帯収入DI」
(「増えた」
「やや増えた」
と回答した割合
した割合から
「悪くなった」
「やや悪くなった」
と回答した割合を引
から「減った」
「やや減った」と回答した割合を引いた値)は−2.9
いた値)
は−12.6となり、前回(14年12月:−20.3)
から+7.7ポイン
で、前回(14年12月:−7.7)から4.8ポイント上昇し「もちあい
今回の調査では、マイナス水準ながら暮らし向きはやや改善
と最も高く、次いで「乳製品」
(68.9%)、
「光熱・水道費」
(68.7%)
し、世帯収入は「もちあい」に近づいた。
しかし、当社が例年5月
が7割近くと、
この3項目で特に高くなった
(図3)。また、
「特にな
に実施する
「県内企業の賃上げ動向」に関する調査結果では、昨
し」
と回答する割合は1.1%で、
ほとんどの家庭で何らかの値上が
年、今年とも「賃上げをする
(定期昇給、ベースアップの両方)」
りを実感している。
と回答した企業は約2割。賃上げ効果はまだまだ限定的と思わ
れる。
「水道・光熱」
「携帯・ネット費」
「食料費」を中心に、
節約意識は幅広く根強い
(=0)」に近づいた。現在の形式で調査を開始した2009年6月か
トと、
3期ぶりに改善した
(図1)。
いるもの」
(複数回答)
をたずねたところ、
「野菜、果物」が77.9%
半年後については、4.6ポイント低下の−17.2と、再び悪化に転
らの長期時系列でみると、
回復傾向にあるといえる
(図2)。
じる見通しである。
しかし従来、見通しをやや厳しく判断する傾向
半年後は−12.5で、現在から9.6ポイント低下し大きく悪化する
6月以降の支出について「増やしたいもの」
「減らしたいもの」
があるため、
先行きは不透明だ。
見通しであるが、従来、見通しをかなり厳しく判断する傾向があ
をたずねた
(複数回答)
(図4)。
り、
実際はこれほどの悪化にはならない可能性がある。
「減らしたいもの」では「光熱・水道費」
(69.3%)が最も多
図1 暮らし向きDIの推移
図2 世帯収入DIの推移
やや良くなった
(やや良くなる)
悪くなった
(悪くなる)
良くなった
(良くなる)
やや悪くなった
(やや悪くなる)
増えた
(増える)
やや減った
(やや減る)
DI
(%ポイント)
20
10
0.6
0
3.8
1.3
0.3
3.5
6.2
1.7
6.1
1.0
3.7
1.7
5.8
1.1
0.5
4.6
7.6
‒20.2 ‒18.6 ‒18.8
‒10
‒22.9 ‒23.9 ‒23.4
‒30.7 ‒30.8
‒20.6 ‒21.0
‒20
‒5.2
‒30
‒17.9
‒24.8 ‒5.2
‒4.9
‒17.7
‒4.2
‒15.3
‒5.2
1.5
6.8
‒14.4
1.5
7.7
1.0
0.8
7.4
‒6.6
‒9.2 ‒13.7
‒3.1
1.2
‒19.8
3.3
‒20.6
‒14.3
7.4
7.0
10
1.4
8.1
0
‒17.2
‒12.6
‒2.1
‒20.3
‒3.1
‒3.8
1.1
‒3.8
‒21.1
‒17.2
‒4.2
‒6.1
‒33.4 ‒35.3
‒40 ‒7.1 ‒8.3
1.0
6.8
‒10
1.1
1.6
1.3
1.9
1.5
10.2
9.6
9.6
10.5
11.2
‒22.8 ‒21.1
1.6
15.0
1.6
13.2
0.8
2.2
11.2
‒20.8 ‒19.0 ‒20.2
17.2 13.8
‒15.5
‒42.9
1.7
17.7
11.0
‒2.9
‒18.5
‒7.8 ‒7.7
‒18.1
‒16.3
‒7.1
‒6.4
‒25.4 ‒23.7 ‒26.5
‒11.6 ‒11.6
‒13.9
‒34.4
‒36.7
‒20
‒17.9 ‒18.0
‒24.6
‒22.2
‒24.6
‒7.4 ‒7.1 ‒7.7
‒30
‒7.4
‒7.4 ‒9.6
‒9.8
‒9.2
‒10.5
‒40
‒38.4
‒50
1.1
‒12.5
6月 12月 6月 12月 6月 12月 6月 12月
09年
10年
11年
12年
18 かけはし 2015.9
6月 12月 6月 12月 6月 12月
13年
14年
15年(見込み)
‒60
6月 12月 6月 12月 6月 12月 6月 12月
09年
10年
11年
12年
日用品
(洗剤、
トイレットペーパー、雑貨等)
調理食品
(弁当、
インスタント食品含む)
6月 12月 6月 12月 6月 12月
13年
14年
15年(見込み)
日用品
(洗剤、
トイレットペーパー、雑貨等)
20.6
54.0
28.6
2.8
27.7
27.6
交通費 1.7
(自動車等購入・維持費、ガソリン代含む)
6.5
38.5
1.5
住居費
23.2
携帯電話・インターネット等 1.1
通信費
1.4
特になし 1.1
光熱・水道費
その他 0.8
その他
0
37.8
31.4
2.6
家具・家電
12.8
住居費
18.9
3.9
保険・医療費
13.6
衣服・履物費
6.2
食料費
23.1
旅行・レジャー費
8.2
交際費
25.2
13.3
10
20
30
40
50
60
70
80
90
(%)
24.5
8.4
衣服・履物費
25.5
外食など飲食費
9.0
外食など飲食費
35.3
油脂・調味料
10.4
趣味・自己啓発費
(習い事、英会話等)
39.0
55.3
15.3
18.9
(子どもや孫の)
教育費
41.8
減らしたいもの
6.8
旅行・レジャー費
39.7
魚介類、肉類、卵
その他食品
‒11.8
‒15.7
‒50
交通費
(自動車等購入・維持費、ガソリン代含む)
菓子類
‒6.7
増やしたいもの
特になし
68.7
光熱・水道費
2.1
http://www.keibun.co.jp/economy/business-report/
図4 6月以降支出を「増やしたいもの」
「減らしたいもの」
(複数回答)
68.9
乳製品
20
一層の改善が不可欠であろう。今後の動向に注目したい。
77.9
野菜、果物
(%ポイント)
30
占めるなど慎重姿勢は根強く、消費行動の改善には所得環境の
調査結果の詳細は当社ホームページの「滋賀ビジネスレポート」
に掲載予定。
図3 現在、値上がりを実感しているもの
(複数回答)
やや増えた
(やや増える)
DI
減った
(減る)
物価に対する実感は高止まりしており、
「節約」モードが大勢を
54.6
0.3
69.3
0.0
0.6
0
10
20
30
40
50
60
70
80
(%)
2015.9 かけはし
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