天候不順の影響が続く果菜類の需給・価格動向について

27.9.28
トピック ― 天候不順の影響が続く果菜類の需給・価格動向について ―
本年は、3月の西南暖地における曇天や
低温に続き、4月は関東近県も含めて記録
的な低温と曇雨天となり、さらにその後も
干ばつ、高温、低温、曇雨天が9月までの
間に断続的に続いた。
このため、本年4~9月期の指定野菜の
卸売価格は、すべての旬で平年を上回って
推移しており、これは、記録的な猛暑と
なった平成22年以来のことである。
旬別にみると、特に4月中旬から5月上
旬に高騰し、その後は一時好天となったも
のの、7月中旬から8月中旬にかけての干
ばつや高温など、各産地で天候不順となっ
たことから、引き続き卸売価格は高値で推
移した。さらに、8月中旬以降はそれまで
の猛暑から一転して低温、曇雨天が9月上
中旬まで続いたことから、9月上旬以降も
卸売価格は堅調に推移している。
このように断続的に続く天候不順の下で
は、日照不足による草勢低下や着色不良、
急激な気温変動に伴ういわやる花落ち現象
など、特に果菜類が影響を受けやすい傾向
がみられる。
例えば、きゅうりは4月の天候不順から
顕著な高値となり、5月以降は好天により
回復傾向となり、概ね平年並みで推移して
いたものの、8月中旬以降、猛暑から一転
した低温曇雨天により、卸売価格は上昇し
た。ピーマンもきゅうりと同様に、5月以
降は4月の高値から一時回復傾向となった
ものの、7月には夏場の主産地である東北
の産地において、干ばつ等の影響が卸売価
格に影響を与えた。8月中旬以降の天候不
順も、きゅうり同様に、トマトとなすも含
めた果菜類全体に影響を及ぼして卸売価格
が上昇した。
このように野菜の中で、果菜類は天候不
順が価格上昇を引き起こしやすく、かつそ
の影響が長引く傾向がみられ、そのこと
が、高値基調が続く最近の指定野菜全体の
価格水準にも影響をもたらしているとみら
れる。野菜産地では、これから夏秋野菜か
ら秋冬野菜へと産地が入れ替わる時期を迎
えることから、9月下旬の全国的な好天以
降の気象推移や需給・価格動向を注視して
いく必要がある。
平成27年の気象状況(福島県郡山市)
260
指定野菜の卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
(円/㎏)
(度)
30
240
日照時間
平均日照時間(昭和62年~平成22年)
平均気温
平均気温(昭和56年~平成22年)
(時間)
100
220
20
200
80
180
60
160
10
140
20
5カ年平均(平成22年~26年)
0
0
上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬
上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬
4月
600
40
平成27年
120
100
120
5月
6月
7月
8月
4月
9月
きゅうりの卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
(円/㎏)
700
5月
6月
7月
8月
9月
ピーマンの卸売価格の推移(東京都中央卸売市場)
(円/㎏)
600
500
500
400
400
300
300
200
200
平成27年
平成27年
100
100
5カ年平均(平成22年~26年)
0
上旬
中旬
4月
下旬
上旬
中旬
5月
下旬
上旬
中旬
6月
下旬
上旬
中旬
下旬
上旬
7月
中旬
8月
下旬
上旬
中旬
9月
下旬
5カ年平均(平成22年~26年)
0
上旬
中旬
4月
下旬
上旬
中旬
5月
下旬
上旬
中旬
下旬
上旬
6月
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:青果物情報センター、気象庁)
●問い合わせ先 独立行政法人農畜産業振興機構 野菜需給部 需給業務課 戸田、河原、斎藤、海老沼 TEL03-3583-9448、FAX03-3583-9484 ご意見、ご要望をお寄せください。
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中旬
7月
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中旬
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