軌道上膜面展開実験結果の速報(第一報)

日本大学理工学部航空宇宙工学科
超小型人工衛星開発プロジェクト
E-mail: [email protected]
2015 年10月13日
URL: http://sat.aero.cst.nihon-u.ac.jp/sprout/
軌道上膜面展開実験結果の速報(第一報)
概要
日本大学が開発した 20cm 立方級の超小型人工衛星「SPROUT」は、2015 年 6 月 23 日(火)にメインミッ
ションである“複合膜面構造物の展開実験”を実施致しました。軌道上の膜面展開から 3 ヶ月半経過致しました
が、ようやく軌道上の膜面の様子を取得することが出来ました。カメラ MPU の動作不良により、膜面展開中の連
続カメラ撮影には失敗したため、展開後に改めてカメラ撮影を実施致しました。今回の報告では、軌道上の膜面
展開に関して、現在までに取得しているデータを公開致します。
軌道上データ
膜面展開時には、表1のデータを取得しています。
表1.膜展開時取得データ
計測データ
サンプリング間隔
HK データ
971[msec.]
姿勢(ジャイロ、地磁気、太陽センサ)データ
971[msec.]、100[msec.]の 2 通り
圧力データ
971[msec.]、13.3[msec.]の 2 通り
振動データ(ピエゾセンサ)
13.3[msec.]
膜面展開画像
300[msec.]間隔で 14 枚
撮影画像は膜面展開後に撮影したものです。それ以外のグラフデータは膜面展開時に衛星内部に保存したセンサ
データです。
図1.展開後撮影画像(128×96pixel [圧縮率 1/5])※フルサイズ:640×480pixel
(右図の灰色部分は未取得データ)
この画像は、日照/日陰の境となるタイミングで撮影を行ったものです。この画像から、チューブが大きく湾曲しており、
完全には開き切っていないことが分かります。
※カメラの搭載位置は付録をご参照ください。
-1-
次に、膜面展開時に取得したデータについて報告を致します。図 2 は圧力履歴です。チューブ内にガスを注入したこと
により、圧力が約 33kPa まで上昇していることが分かります。また、膜面展開後にリークによってチューブ内の圧力が低
下していることが分かります。
チューブ内圧力
配管内圧力
5.0
40
4.0
30
3.0
20
2.0
10
1.0
0
配管内圧力 [MPa]
チューブ内圧力 [kPa]
50
0.0
0
50
100
150
時間 [sec]
200
250
図2.圧力履歴
図 3 は角速度履歴です。ガス注入時に衛星が小さく振動し、すぐに元の状態に戻っていることが分かります。
※衛星の軸の定義は付録をご参照ください。
50
X-axis
Y-axis
Z-axis
40
角速度 [deg/sec]
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
70
75
80
85
90
時間 [sec]
図3.角速度の変化
-2-
図 4 はピエゾセンサによるチューブの振動履歴です。ガス注入時に振動し、約 1 秒程度で振動が減衰していることが
分かります。
※ピエゾセンサの搭載位置は付録をご参照ください。
2.5
Piezo_right
Piezo_left
2
1.5
電圧 [V]
1
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
-2
-2.5
75
80
時間 [sec]
85
図4.ピエゾデータ
今後について
膜面の展開画像をよりフルサイズに近いものをダウンリンクすることにより、膜面展開後の形状をより詳細に把握し、
軌道上データを用いた膜面展開率の測定を行っていく予定です。
-3-
<付録>
SPROUT の X,Y,Z 軸の座標系定義は以下の図 5 の通りとなっております。
210
.0[m
Monopole antenna (x4)
m]
Sun sensor (x6)
C
Camera (x2)
1500[mm]
x
y
2
]
[m m
14.8
Before Membrane Deployment
m
]
60deg
00
[m
y
x
Membrane
z
15
220.0[mm]
z
Solar
Inflatable tube (x2)
After Membrane Deployment
図5.SPROUT 座標系
また、膜面の形状撮影用のカメラ及び、ピエゾセンサの位置は以下の図 6 の通りとなっております。ピエゾセンサは、各
チューブの根元に取付けています。
Camera right
Piezo right
Camera left
Piezo left
図6.カメラ及びピエゾセンサの位置
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