Case-7 立入困難箇所監視:排水トンネルでの地すべり面挙動監視 排水トンネルに現れた巨大地すべりのすべり面挙動を把握しながらトンネルの状態を監視しています。地 すべりの安定化には、排水トンネルの維持管理が不可欠であり、そのためには適切な保守点検とすべり面挙 動の把握が必要になります。当該地すべりは、変位速度はゆっくりとしているもののトンネル構造は徐々に ダメージを受けつつあり、また融雪時や地震時にはすべり速度が急激に加速する状況にあります。そのため、 普段は立入が困難な状況にあります。安全に保守点検を行えるタイミングを計る上でも遠隔地からのリアル タイム監視が必要になります。 監視サーバ NTT 網 携帯パケット 通信 トンネル変位 観測局 水位観測局 多心ケーブル すべり面 伸縮計 伸縮計 伸縮計 変位(mm) 水位計 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 長野県北部地震 伸縮計-X 伸縮計-Y 伸縮計-Z 東北地方太平洋沖地震 3/1 3/6 3/11 3/16 3/21 3/26 3/31 Q&A 設置機器 Q:設置した計測機器は? A:すべり面を挟んで伸縮計を設置しました。多心ケーブルにより地上の観測局につないで、携 帯パケット通信を用いて監視サーバにデータを伝送しています。 トンネル 観測の 必要性 Q:なぜ排水トンネル内を計測したのか? A:当初の想定に反して、すべり面がトンネルレベルに出現しました。変動は 20mm/年程度です が、トンネル自体の損傷が進行中です。そこで、トンネル損傷の進行状況を把握し入坑(保守 点検)のタイミングを計るため、トンネル内の計測を行いました。 自動監視 の必要性 Q:なぜ計測を自動化したのか? A:地震時や融雪期には変動が加速されるため、保守点検のための入坑が制限されます。また、 冬季は積雪のために立入が困難になります。そのため、自動計測によって常時監視すること にしました。東北地方太平洋沖地震(H23.3.11)の直後に発生した長野県北部地震(H23.3.12)の 際には、その影響で変動が大きくなったことが即座に判明し、地元関係者への迅速な情報提 供へとつなげることができました。 この技術の 拡張性 Q:この技術は,さらにどのような分野へ拡大応用できますか? A:放射線警戒区域,積雪地,離島,その他危険区域で,観測員の立入が困難な箇所で有効です。 3-7
© Copyright 2024 ExpyDoc