- 1 - 事 業 名 :ライフセービング活動を通じた安全教育 ‐特に子どもを対象

事
業
名
:ラ イ フ セ ー ビ ン グ 活 動 を 通 じ た 安 全 教 育
‐特に子どもを対象とした取り組み‐
鳥取大学 医学部 医学科 社会医学講座 病態運動学分野
助教
西村
正広
平成26年度事業内容
鳥取県は,県北部全面が水質の良いきれいな海に面し(山陰海岸ジオパークを含む)マ
リンレジャーが盛んであり,県内・外を問わず多くの利用者が訪れている.しかしながら
複雑な地形や離岸流,海水浴場以外の場所での遊泳等の影響で毎年事故が後を絶たないの
が 現 状 で あ り ,県 の 海 水 浴 場 整 備 連 絡 会 議 の 場 で も 事 故 減 少 が 課 題 と さ れ て い る .そ こ で ,
日本赤十字社鳥取県支部と協力し,子どもを対象とした(可能であれば保護者と共に)安
全教育プログラムの立案,実践及び海でのイベント等の救護を通じ,事故の減少,子ども
の健全な心身を育む一助となることを目的とする.また大学生及び一般の方を対象とした
講習会も継続して行い,幅広い年齢層への取り組みとして検討することとする.
本年度は,以下の事業を行った.
①日本赤十字社水上安全法講習の共催救護員派遣
1)日本赤十字社水上安全法救助員養成講習 Ⅰ(鳥取大学健康スポーツ部門共催,前期自
由選択科目;健康スポーツ科学実技ライフセービングの基礎)
2)日本赤十字社水上安全法救助員養成講習 Ⅱ
② 岩 美 北 小 学 校「 海 の 子 学 習( 遠 泳 )」時 に お け る( 日 本 赤 十 字 社 鳥 取 県 支 部 及 び 鳥 取 大 学
発 ラ イ フ セ ー ビ ン グ ク ラ ブ 合 同 ),海 の 安 全 講 習( 理 論・体 験 実 技 )の 実 施 ,救 護 員 と し て
の参加等③賀露みなと海水浴場における救助デモンストレーション及びレスキューボード試乗体験
これらの事業結果を基に来年度以降の(可能であれば保護者と共に)安全 教育プログラ
ムの継続,あるいは展開の可能性について検討する
①
1 )日 本 赤 十 字 社 鳥 取 県 支 部 ,鳥 取 大 学 健 康 ス ポ ー ツ 科 学 部 門 共 催;水 上 安 全 法 救 助 員 養
成講習Ⅰ(前期自由選択科目;健康スポーツ科学実技ライフセービングの基礎)
日 本 赤 十 字 社 水 上 安 全 法 救 助 員 養 成 講 習 ( 満 15 歳 以 上 ) の 開 催 趣 旨 は , 水 を 活 用 し 健
康の増進を図り,水の事故から命を守るための知識と技術を普及し,事故防止の思想を広
めることである.また目的として「水の事故防止の方法や具体的な溺者救助法と救命のた
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め の 手 当 な ど の 知 識 と 技 術 を 身 に つ け る こ と 」,「 仕 事 や ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 な ど で 活 用 す る
ための救助員資格を取得すること」をあげている.
現在鳥取県では,日本赤十字社鳥取県支部と鳥取大学健康スポーツ科学部門の共催とい
う形で毎年開催しており,鳥取大学では健康スポーツ科学実技のライフセービングの基礎
(授業名)として,大学生にも水の事故防止と一次救命処置を広く普及したいという考え
のもと取り組んでいる.この講習は全課程修了し,学科及び実技検定に合格すると日本赤
十字社水上安全法救助員Ⅰの認定が受けられる.合わせて健康スポーツ科学実技の単位が
修得できる.
講 習 内 容 は , 基 礎 講 習 と し て 心 肺 蘇 生 法 , AED を 用 い た 一 次 救 命 処 置 , 気 道 異 物 除 去 を
1 日間,救助員養成講習Ⅰとしてプールでの事故防止及び救助法の全過程を 3 日間の日程
で 開 催 ( 資 料 1) し て い る . 救 助 員 養 成 講 習 Ⅰ で は , 赤 十 字 水 上 安 全 法 に つ い て , 水 の 事
故防止,泳ぎの基本と自己保全,救助及び応急手当についての知識と技術に関する内容が
行 わ れ る .身 の 回 り の 水 環 境 ,水 の 特 性 ,プ ー ル で の 水 質 基 準 及 び 安 全 管 理 ,水 泳 の 特 性 ,
自 己 保 全 の た め の 泳 ぎ ,水 に 入 ら な い 救 助 か ら 溺 者 に 接 近 し て か ら の 救 助 と 多 岐 に わ た る .
ま た ,海 で の 事 故 防 止 及 び 救 助 法 は 救 助 員 養 成 講 習 Ⅱ と し て ,別 途 2 日 間 の 日 程 で 開 催( 資
料 2) し て い る . 海 象 に つ い て , ロ ー プ ワ ー ク , 陸 上 で の 搬 送 方 法 及 び 海 で の 救 助 方 法 ま
で を 講 習 と し て 行 う .本 年 度 の 参 加 者 は ,救 助 員 養 成 講 習 Ⅰ が 12 名 ,救 助 員 養 成 講 習 Ⅱ が
5 名であった.終了時のアンケート調査結果より受講者の事故防止への関心の高さが感じ
取れ,意欲的に取り組んでいることが明らかとなった.
②海での安全講習,監視及び救護員としての参加
-岩 美 北 小 学 校「 海 の 子 学 習( 遠 泳 )」時 に お け る 安 全 講 習( 理 論・ 体 験 実 技 )及 び 救 護
員としての参加今 年 度 , 岩 美 北 小 学 校 か ら 日 本 赤 十 字 社 鳥 取 県 支 部 へ 「 海 の 子 学 習 ( 遠 泳 )」 プ ロ グ ラ
ム 時( 図 1- 4)の 安 全 講 習 の 実 施 と 救 護 員( 遠 泳 中 レ ス キ ュ ー ボ ー ド 上 か ら の 監 視 及 び 陸
上での救護班)派遣要請があり,髙橋,西村を含む 4 名が参加した.
平 成 26 年 7 月 26 日 の 午 前 8 時 か ら 午 前 12 時 ま で の プ ロ グ ラ ム で あ っ た . 遠 泳 ま で の
時間にサーフィン教室と安全講習を同時進行(2 グループに分け途中で入れ替わり)で行
った安全講習の理論は,パネルを使用したクイズ形式で行った.内容は離岸流 の発生して
い る 場 所 を 探 す ,離 岸 流 に 流 さ れ て し ま っ た 時 の 対 処 法( 泳 ぐ 方 向 も ),海 の 危 険 な 生 物 の
名前,生息場所及び対処法を答えてもらう方法を取って進めた.実技としては,海で事故
な ど が 起 こ っ て し ま っ た と き の 対 処 法 と し て の 浮 き 身 の 取 り 方 ,ラ イ フ セ ー ビ ン グ 機 材( レ
スキューボード)体験を行い,安全確保の方法と海の安全な楽しみ方を体験するプログラ
ムを行った.
海でのプログラム時における救助員(ライフセーバー)の役割は,レスキューボード上
からの監視あるいは立泳ぎ等をしながらレスキューチューブ(救助具)を 用いた監視及び
救助である.また,主催者側から今後の天候,波の及び潮位などの情報を必ず求められる
ので,事前の情報収集,リアルタイムでの天候情報収集 も必須業務となる.
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今回のプログラムでは児童のレスキューボード体験中の監視及び遠泳中の監視業務で
あ っ た .監 視 活 動 を 通 じ 子 ど も た ち と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を と る 時 間 が か な り 多 く あ っ た .
その体験から,必ずしも安全教室の企画・運営だけでなく,他の団体主催の海でのプログ
ラムを安全支援することにより,安全教育の一助になり得る可能性が考えられた.また,
ライフセーバーが安全のための監視等を行うことでも児童や保護者の方々への安全に対す
る意識付け(危険な場所,注意点等)になり得るの ではないかと考えた.
図 1. 講 習 風 景 1
図 2. 講 習 風 景 2
図 3. 講 習 風 景 3
図 4. 浮 き 身 の 練 習 風 景
③賀露みなと海水浴場における救助デモンストレーション及びレスキューボード試乗体
験
本年度も海水浴に来ている遊泳客を対象として救助デモンストレーションと解説,その
後レスキューボード試乗体験を行いライフセービング活動への関心度を高めること,また
現在の関心度がどの程度のものであるかを調査することを目的とした.
実施予定場所
:鳥取県賀露みなと海水浴場
実施予定日
: 8 月 14 日
実施予定時間
: 13 時 ~ 1 時 間 程 度
実施内容 :レスキューデモ,器材体験
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レスキューデモの内容
約 20m 沖 で 溺 れ て い る 人( 溺 者 役 の ラ イ フ セ ー バ ー )に レ ス キ ュ ー ボ ー ド で 接 近 ,確 保 ,
意 識 の 確 認( 意 識 な し ),陸 上 の レ ス キ ュ ア ー に 応 援 要 請 ,人 工 呼 吸 ,ピ ッ ク ア ッ プ( レ ス
キ ュ ー ボ ー ド に 乗 せ る ),レ ス キ ュ ー ボ ー ド で の 海 上 搬 送 ,陸 上 で 待 機 し て い た レ ス キ ュ ア
ーが水中から陸上への搬送,一次救命措置までの一連の流れを行うと同時に,デモンスト
レーションに合わせて解説する.
本年度は,天候不良,高波のため遊泳禁止となり順延も考えたがその後も悪天候が続き
遊泳禁止となったため中止とした.
以上 2 つの活動から,海・河川あるいはプールにおける安全教育の必要性 ,鳥取県の地
象及び海象も教育内容に組み込む必要性を感じた.マリンレジャーを安全に楽しく遂行す
るため,またこの環境を守っていくために,早い時期から安全教育に取り組む必要がある
と考える.日本赤十字社の講習会開催数及び参加者数から一次救命処置及び水の事故防止
に対する関心度や需要が高いことが明らかとなった.
日本赤十字社鳥取県支部と鳥取大学が協力し安全教室を開催するにあたり十分な必要
性と関心度があることが明らかとなった.今後,海での安全教育に向け,指導員及びライ
フセーバー数の確保,必要資材,講習時間,内容(教材)に関する詳細な立案に入る予定
である.特に,海でのイベント等への監視及び救護を通じた安全プログラムの行い方につ
いて検討する必要性が感じられた.
謝 辞
本事業を遂行するにあたり多大なるご協力を頂きました 岩美北小学校の皆様,日本赤十
字社鳥取県支部の皆様,救急法指導員及び水上安全法指導員 の皆様,鳥取大学発ライフセ
ービングクラブの皆様に深謝いたします.また,調査研究経費「 大学開放推進事業費」を
頂いた鳥取大学に感謝の意を表します.
平 成 27 年 1 月 30 日
鳥取大学医学部 医学科 社会医学講座 病態運動学分野 助教
西
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村
正
広
資料1
水の安全と救助講習会
日程
■内容及び日程(網掛け部分はプールでの実技を予定しております)
時 間
救急法基礎講習
1日目(6月21日)
9:00
9:30
水上安全法救急員養成講習Ⅰ
1日目(6月22日)
《開講式》
2日目(6月28日)
・応急手当
3日目(6月29日)
●検定(学科)
・はじめに
《開講式》
・水上安全法について
・救急法について
・水の事故防止
・溺者への接近法
・泳いで救助する方法
・手当の基本
・一次救命処置(BLS) ・導入
・水慣れ
・救助動作の一連手順
溺者への接近法
●検定(プール実技Ⅰ)
溺者の確保
・救助法
水中での溺者搬送
・応急手当
12:00
昼食・休憩
13:00
14:00
昼食・休憩
昼食・休憩
●実技検定
・泳ぎの基本と自己保全 ・溺者の陸上へのあげ方
・着衣状態での動作
・救助
●学科検定
・泳ぎの基本と自己保全
・AED の使用法
・救助等に必要な泳法
15:00
《閉講式》
16:00
●検定(プール実技Ⅱ)
・危険回避の技術
・泳法及び泳力
・泳がないで救助する方法
器物を用いた救助
・危険回避の技術
《閉講式》
救助用チューブでの救助
溺者からの防御
溺者からの離脱
昼食・休憩
・頚椎損傷事故者への対応
●検定(実技:泳力)
500メートル泳
17:00
※天候により、プログラムを一部変更することがあります。
■申込方法
別紙申込書に必要事項を記入のうえ、FAX、郵送、HPよりお申込みください。
※申込期限:平成26年 6月13日(金) ※先着順、定員になり次第締め切ります。
■申込・お問い合わせ先
日本赤十字社鳥取県支部
事業推進課(講習担当)
住所:〒680-0011 鳥取市東町 1 丁目 271
TEL:0857-22-4466、FAX:0857-29-3090、URL:http://www.tottori.jrc.or.jp/
※関連講習として救助員Ⅰ取得者を対象とした「海における救助員養成講習会」を7月5日(土)
、6日(日)
に開催いたします。ご希望の方は別途お問い合わせください。
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