平成 27 年7月 25 日 関係各位 熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学 教授 片渕秀隆 拝啓 電子媒体の中で生活することが日常になった現在では、アナログ人間である古いタイ プの私でも一日に約百通の電子メールのやり取りをする毎日で、一日たりとも手放すこ とが出来ない生活必需品となってしまいました。時代は変わっても、この時期になると 夏の全国高校野球選手権の地方予選が気になりますが、準決勝で九州学院高校に惜しく も破れた多良木高校に今年は出場させてやりたかったと思ったのは私だけでしょうか。 7月 25 日は、産婦人科医であれば誰でも忘れることの出来ない大切な日です。今から 37 年前の 1978 年、神の領域を超えて最初の’test tube’ baby として Louise Joy Brown が誕 生しました。ケンブリッジ大学の Robert G Edwards (1925~2013)と産婦人科医の Patrick C Steptoe (1913~1988)のふたりの臨床研究の結晶です。米国でこの技術を最初に手がけたの は Howard W. Jones, Jr (1910~)です。妻の Georgeanna S. Jones (1912~2005)とともに、産婦 人科の教科書には Jones & Jones 手術として名を残しています。私が 22 年前に留学した 当時、 Johns Hopkins大学構内には既に夫妻の偉業を顕彰して肖像が掲揚されていました。 彼は、1978 年に Hopkins を引退し、Norfolk に開校されたばかりの Eastern Virginia Medical School に移り、そこで予想をはるかに超える巨額の寄付を得て Jones Institute for Reproduction を設立します。そして、1981 年に米国最初の IVF-ET 児である Elizabeth Carr が誕生しました。その苦難の道のりを、今年 105 歳になる Jones は、「IN VITRO FERTILIZATION COMES TO AMERICA: MEMOIR OF A MEDICAL BREAKTHROUGH」 として上梓しています。一方、アジアでは、1983 年に東北大学の鈴木雅州教授によって 我が国最初の IVF-ET 児が誕生しました。韓国では、Asan-Kumamoto Symposium のソウ ル開催では必ず出席されるソウル大学校の Yoon-Seok Chang(趙 潤錫)名誉教授が、 台湾では、 来年1月に熊本で開催する第 37 回日本エンドメトリオーシス学会に来日する 臺北醫學大學の Chii-Ruey Tzeng(曾 殷瑞)教授が手がけた最初の産婦人科医です。 8月と9月の予定表を同封致しました。9月 13 日(日)には、本年度の教室同窓会を、 杏林大学の岩下光利教授と慶応義塾大学の青木大輔教授をお招きして開催致します。 敬具
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