P R E S S R E L E A S E インド経済の回復はモディ政府のおかげか

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2015 年 6 月 17 日、香港
インド経済の回復はモディ政府のおかげか
2015 年 5 月、IMF がインドを「世界経済の明るい材料の一つ」として取り上げた。主な理
由は、より効果的な政策と政情不安の終焉だ。コファスは、同国の GDP 成長率が 7.5%に
達すると予想している。とはいえ、モディ政府による改革はどれほど最近の成長率の回復に
貢献したのだろうか。また、経済の改善にリスクはないのだろうか。
2014 年 5 月、5 週間に及ぶ議会選挙を経て、インド人民党(BJP)の党首、ナレンドラ・モディが首
相の座に着いた。単独過半数を獲得して圧勝し、実に 25 年ぶりの単独政権の誕生となった。企業優
先主義として知られるモディ氏が首相の座に着いたことで、官僚主義的弊害や貧弱なインフラによっ
て民間投資や公共投資が長年抑制されてきた国内に期待感が生まれた。政権の座についてわずか
1 年の間に、モディ政府は様々な大規模政策に着手した。例えば、物品・サービス税法案は経済成長
や財源を増大させることが期待されており、様々な部門における外国直接投資額(FDI)の上限の引
き上げなども行われている。
景況感の上昇
この 1 年、表 1 の外国直接投資(FDI)の増加に示されるように、インド経済は景況感の上昇の恩
恵を受けてきた。新政府は、インフラ開発と製造業の発展を促進するために、外国企業による鉄道イ
ンフラや建設会社の完全所有を認める法案を可決した。また、保険や防衛分野における FDI の上限
を 26%から 49%へと引き上げた。モディ首相によるこの改革プログラムは緩やかな経済回復を促進
するものと思われる。インフレがコントロールされた現在では、金融緩和が徐々に行える状況になりつ
つある。
「政府は、政権を握って以降、財政再建を優先事項に掲げつつ、投資の回復とサプライサイドの規
制緩和を目的に、改革的プログラムに取り組んできました。政府は、金融緩和を可能にする原油安や
コントロールされたインフレなどのマクロ経済学的に有利な状況による恩恵を受けています。」とコファ
スの新興アジア担当エコノミストの Charlie Carre はいう。「民間投資が可能額を下回り、投資の対
GDP 比率がまだ脆弱であることに注意すべきです。これらは、企業によるレバレッジの解消、こう着
状態の建設プロジェクト、そして世界経済の不確実性によるものと思われます。」
とはいえ、OECD(経済協力開発機構)の FDI 制限指数によれば、インドには今なお FDI に対する
重大な法規制があるという。モディ政府の政策は投資者の信頼回復に役立っているものの、FDI に
は依然として障壁が立ちはだかっている。多くの部門には外資上限が課されており、中央政府の承
認を求められることもある。
鉄鋼及び IT 部門の見通し
インドが製造国として前進し競争力を高める決意を固めたことで、建設部門はインフラ計画による堅
調な需要の恩恵を受けるだろう。これらの広範囲に及ぶインフラ投資は、鉄鋼をはじめとする様々な
原料の需要を喚起するものと思われる。
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コファスのアジア・パシフィック地域担当エコノミストの Rocky Tung は次のように語る。「インドでは
様々なインフラ計画によるニーズを背景に、鉄鋼需要に対してポジティブな見通しがされていますが、
特に中国からの鉄鋼輸入の上昇傾向の強まりは、引き続き国内鉄鋼価格を圧迫するでしょう。鉄鋼
製品が代替的性質を持つために、国内鉄鋼製品と中国からの輸入品の価格差が 20%にも及ぶとい
う現状は、国内製鋼所に難題をもたらすでしょう。」
India Brand Equity Foundation (IBEF)によれば、インドの IT サービスの世界シェアは実に 52%
にも及ぶと予測されている。アメリカのおよそ 3 分の 1 から 4 分の 1 といわれる相対的に安い労働
力は、IT 産業にとって重要な成長要因となっている。「突然大幅な賃上げが行われない限り、IT 産業
は世界的な競争力を持ち続けるでしょう。しかし、今後は中国、マレーシアやフィリピンなどによる追
随も無視できない状況になってくるでしょう」と Tung はいう。
政情不安は監視対象
結論として、ナレンドラ・モディの首相就任と政府の導入した経済改革により、投資家の信頼感が高
まったといっていいだろう。大統領令による土地取得条件の緩和などの最近の政策もまた、サプライ
サイドの規制緩和に役立っているものの、必要な投資と成長を促進するには更なる改革が必要であ
る。モディ政権は公約を果たす強い意志を見せている。着手された数々の改革は、「Make in India」
プログラムと相俟って、中期的にインドのインフラ・鉄鋼部門に利益をもたらすだろう。その一方で、IT
部門は他国の追随に対応するために、政府の支援(特にロイヤルティに対する源泉徴収税率の引き
下げなど)を受けるものと思われる。
とはいえ、政府は市民社会の抵抗にあう可能性があり、かつ、BJP が支配するのは 29 州のうちの
13 州と 2 の連邦直轄領のみで、上院議会の過半数も取得できていない状態だ。これは、政策の実
施をめぐる潜在的問題がインド経済の回復にとって主要なダウンサイドリスクとみなされる可能性が
あるということである。政府は上院で激しい反発に直面し、ナレンドラ・モディが法案の先送りや執行
命令という手段を用いざるを得なくなる可能性がある。結論として、BJP 政府は、原油安と欧州経済
の緩やかな回復のおかげで外面的には有利なマクロ経済的環境による恩恵を受けた。残る世界経
済の不確実性は主としてアメリカ政府による不意打ちの金融引き締め策であると思われる。
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表1:
インド:2014 年における FDI にとっての明るい材料
FDI(対内)
FDI 成長率(単位:ルピー)
FDI (inward) / GDP
6%
FDI growth (RS)
80%
66.0%
5%
60%
4%
40%
3%
20%
22.2%
-0.6%
2%
9.7%
9.4%
0%
-2.3%
1%
-20%
-11.7%
-29.2%
0%
ベトナム
タイ
インドネシア
中国
ブラジル
フィリピン
インド
南アフリカ
-40%
Source: Oxford Economics
連絡先:
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