確率統計学復習用資料 (電子・建築) 担当: 徐 2015.7.30 (http://web.sc.eis.akita-pu.ac.jp/∼xuli/Probability.html を参照) 復習用例題・演習問題: 1. 引き出しの中に 20 枚の T シャツが入っている。そのうち、8 枚は白、5 枚は 青、3 枚は黄色である。引き出しから無作為に 4 枚を取り出したとする。以 下の事象の確率を求めよ。 (a) 4 枚のうち、2 枚は白、2 枚は青である。 (b) 4 枚のうち、白い T シャツはちょうど 3 枚である。 (c) 4 枚のうち、白い T シャツは少なくとも 1 枚が入っている。 解: (a) その確率は次のように計算される。 ( 8 C2 5 C2 20 C4 = )( 8 2 ( ) 5 2 ) 20 4 8! 5! 56 = 2!6! 2!3! = 20! 969 4!16! (b) その確率は次のように計算される。 ( )( ) 8 12 8! 12! 3 1 224 8 C3 12 C1 ( ) = = 3!5! 1!11! = 20! 1615 20 C4 20 4!16! 4 (c) 白は 1 枚もない確率: ( ) 12 4 12! 33 ) = 4!8! = =( 20! 323 20 C4 20 4!16! 4 12 C4 よって、白は少なくとも 1 枚の確率は次のようになる。 1− 33 290 = 323 323 1 2. 自動車のひき逃げ事故の目撃者によれば、ひき逃げ車のナンバーのはじめの 部分は APU5 であり、最後の 2 桁の数字は思い出せないが、3 つの数字が異 なっていたことだけは確かであると報告している。次の問いに答えよ。 (a) 警察官は何台の車の登録証をチェックしなければならないか。 (b) ランダムに取り出した登録番号 APU543 がひき逃げ車のナンバーとな る確率はいくらか。 解: (a) 題意より、最後の 2 桁の数字は 0∼9 の数字から 5 を取り除いた 9 個の数字で、繰り返しを許さないで作った順列である。 よって、その順列の数は 9 × 8 = 72 である。すなわち、警察は 72 台の車の 登録証をチェックする必要がある。 (b) 登録番号 APU543 となる車はひき逃げ者となる確率は 1 72 である。 3. ある特別に作られたコインがあって、それを投げたとき表が出る確率が 3/5 である。確率変数 X をこのコインを 7 回投げたとき表が出た回数とする。 (a) X が取り得るすべての値を書け。 (b) X の確率関数 f (x) を求めよ。 (c) 表が 3 回出る確率を求めよ。 解: (a) X がとれる値は: 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 である。 (b) この問題は、p = 53 , q = 1 − f (x) = n Cx x n−x p q 3 5 = 25 , n = 7 の2項分布問題であるので、 ( )x ( )7−x 3 2 = 7 Cx , 5 5 x = 0, 1, . . . , 7 (c) x = 3 を (b) で求めた f (x) に代入して計算すればよい。 ( )3 ( )4 3 7! 33 24 3024 2 f (3) = 7 C3 = = 5 5 3!4! 53 54 15625 4. 確率変数 X を、4 個の偏りのないさいころを振ったとき、5 の目が出たさい ころの個数とする。次の問に答えよ。 (a) X が取り得るすべての値を書け。 (b) X の確率関数 f (x) を求めよ。 (c) 5 の目が出るさいころがちょうど 3 個である確率を求めよ。 2 (d) 5 の目が出るさいころが少なくとも 1 個以上である確率を求めよ。 解: (a) X がとれる値は 0, 1, 2, 3, 4 である。 (b) 1個のさいころを振るとき、5の目が出る確率 p = 16 、出ない確率 q = 1 − p = 56 である。また、各さいことを振ることは互いに独立であるの で、この問題は n = 4 の2項分布問題である。よって、 ( )x ( )4−x 1 5 x n−x , x = 0, 1, 2, 3, 4 f (x) = n Cx p q = 4 Cx 6 6 (c) x = 3 の確率を求めればよい。 ( )3 ( ) 1 5 4! 1 5 5 f (3) = 4 C3 = = 3 6 6 3!1! 6 6 324 (d) 5 の目が 1 回も出ない確率は ( )0 ( )4 ( )4 5 5 1 f (0) = 4 C0 = 6 6 6 であるので、5 の目が少なくとも一回出る確率は ( )4 5 625 671 P (x ≥ 1) = 1 − f (0) = 1 − =1− = 6 1296 1296 となる。 5. ある種の電球が 24 時間テストで切れる確率を p = 2% とする。この電球 15 個を使って出来ている看板が、1つの電球も切れずに 24 時間ついている確 率を求めよ。 解 1: 確率変数 X を切れる電球の数とすると、この問題は、p = 0.02, q = 1 − p = 0.98, n = 15 の 2 項分布問題として考える。その確率関数は f (x) = 15 Cx 0.02x · 0.9815−x , x = 0, 1, . . . , 15 である。 よって、x = 0 の確率は f (0) = 15 C0 0.020 · 0.9815 = 0.7386 = 73.86% 解 2: 3 ここで、n = 15 が十分大きい、p = 0.02 が十分小さいと考えると、この問題 はポアソン分布で近似的に解決することができる。 λ = np = 15 × 0.02 = 0.3 に対応するポアソン分布は f (x) = λx −λ 0.3x −0.3 e = e , x! x! x = 0, 1, . . . となる。 よって、電球一つも切れない確率は f (0) = 0.30 −0.3 e = e−0.3 = 0.7408 = 74.08% 0! と求められる。 6. (教科書練習問題 26)今年の大学 4 年生の総合成績評価値は、ほぼ N (65, 122 ) に従っていることがわかった。 (1) 50 点以下は退学勧告がなされる。退学勧告者は何%になるか? (2) 上位 20%が大学院に推薦入学が許されている。最低何点取れていれば 推薦してもらえるか? 解: (教科書 p.188 参照) 成績 X は N (65, 122 ) に従っているので、Y = X−65 12 は N (0, 1) に従っている。 (1) X − 65 50 − 65 ≤ ) 12 12 = P (Y ≤ −1.25) P (X ≤ 50) = P ( = P (Y ≥ 1.25) = 0.5 − P (0 ≤ Y ≤ 1.25) = 0.5 − 0.3944 = 0.1056 ゆえに、約 10.56%の学生が退学勧告となる。 (2) P (X ≥ a) = 0.2 となる a を求めればよい。 X − 65 a − 65 ≥ ) 12 12 a − 65 = P (Y ≥ ) 12 a − 65 ) = 0.2 = 0.5 − P (0 ≤ Y ≤ 12 P (X ≥ a) = P ( 4 よって、 P (0 ≤ Y ≤ a−65 ) 12 = 0.3. 巻末の正規分布の数表より、 a − 65 ≈ 0.84 12 これより、 a = 0.84 × 12 + 65 = 75.08 従って、76 点以上取れていればよい。 7. ある牧場では 60 頭の乳牛を飼っている。そのうち 7 頭を無作為に選び、牛乳 に含まれている乳脂肪含有率を調べたところ、次表に示す調査結果を得た。 以下の問に答えよ。ただし、必要に応じて添付の t 数表を使えよ。 乳脂肪含有率 (%) 3.81 3.75 3.92 3.50 3.88 4.03 3.97 (a) 上の標本調査結果に対し、標本平均 x̄ と標本分散(不偏分散)ŝ2 を求 めよ。 (b) 牧場の各牛が生産する牛乳の乳脂肪含有率の平均値(母平均)µ の信頼 係数 0.95 の信頼区間を推定せよ。 (c) 乳脂肪含有率 3.70 以上である基準値を満たすかどうか、有意水準 0.05 で片側検定せよ。 解: (a) 1∑ 1 xi = × 26.86 = 3.8371 7 i=1 7 ( 7 ) ∑ 1 1 ŝ2 = x2i − 7 × x̄2 = (103.2512 − 103.0634) = 0.0313 7 − 1 i=1 6 7 x̄ = (b) γ = 0.95, α = 1 − γ = 0.05, √ ŝ2 n √ = 0.0313 7 = 0.0669, α 0.05 tn−1 ( ) = t6 ( ) = t6 (0.025) = 2.447, 2 2 √ √ α α ŝ2 ŝ2 < µ < x̄ + tn−1 ( ) x̄ − tn−1 ( ) 2 n 2 n より、 √ 3.8371 − 2.447 × 0.0313 = 3.6740 < µ < 3.8371 + 2.447 7 5 √ 0.0313 = 4.0008 7 つまり、µ の信頼係数 0.95 の信頼区間は 3.67 < µ < 4.00 となる。 (c) 有意水準 α = 0.05, 仮説 H0 :µ = 3.70, 対立仮説 H1 : µ > 3.70, √ √ 7 統計量 T = (x̄ − µ0 ) ŝn2 = (3.8371 − 3.70) 0.0313 = 2.0503, tn−1 (α) = t6 (0.05) = 1.943 より、 棄却域 R: T > 1.943 となる。 計算した統計量 T = 2.0503 > 1.943, すなわち、棄却域に入っているので、 仮説 H0 が否定され、対立仮説 H1 が採択される。 よって、3.70 以上の基準値は、有意水準 0.05 で満たされている。 その他: 試験内容範囲に関連する教科書の練習問題と総合練習 6
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