Mansei Inayawan Plant

フィリピン セブ島の廃棄物問題
みなさんはこの写真どう思ったでしょうか。
私は最初この写真を見て何かの災害の後かなと思いました、、
、
これはセブ島の衛生埋立処分場の様子で、画面下半分はすべてゴミです。生活から出るす
べてのゴミ、医療現場からのゴミ、事業活動から出るゴミ、様々なゴミがごちゃ混ぜにな
って積み上げられています。
フィリピンセブ島に限ったことではありませんが、発展途上国は爆発的な人口の増加とと
もに増え続けるゴミの処理に大変困っています。これに合わせて埋立処分場を整備したも
のの、計画量をはるかに超えるゴミが持ち込まれていて、年々蓄積されたゴミはとっくに
許容量を超えています。これらのゴミを目の前に何とかしないといけないと動いたことも
あったそうですが、処理をするにも施設建設に係る費用が準備できなかったり、せっかく
建設してもメンテナンスの方法がわからず、設備をダメにしてしまうケースが多いようで
す。
「持ち込まれた直後のゴミに群がっている様子」
また、これもどの地域にも共通していえることですが、これらの処分場近辺にはウエスト
ピッカーたちがいて、埋立処分場に入ってくるゴミの中から有価物(金属やプラスチック
など回収して販売することができる物)を集め、それを業者に販売して生計を立てていま
す。
子供や老人なども体を酷使してゴミを集めていて、また新しいゴミを積んだトラックが入
ってくると我先にとトラックに乗り込みゴミを掘り返す場面は見ていて大変危険です。
最近では、ニュース番組でも同様の特集が組まれていて、ご覧になった方もいるのではな
いでしょうか。
Mansei
Inayawan Plant
これらの問題を解決するため動き始めたのが私たちの事業です。
埋立てられたゴミの表層部分から、ウエストピッカーにビニール袋等のプラスチックを収
集してもらい買取をして、フラフ燃料を製造し、製品は現地の大手セメント会社へ販売し
収益を得るという事業です。まずは、集めてもらったプラスチックの買取を行うことで、
ウエストピッカーの生計に貢献します。また、現場の作業員を彼らウエストピッカーであ
った人から 15 名を選定し、新たに市の職員として雇用し、集めたプラスチックの選別作業
や施設の維持管理を行ってもらっています。実をいうと最初は、彼らの中でも仕事をする
人、しない人がはっきり分かれていて不安な思いでした、、、しかし、現地に出向くたび、
彼らの表情にも変化が見られ、仕事に誇りを持って取り組んでいる姿勢を見て、今ではと
ても頼もしく信頼できる仲間になりました。
「現場作業員との集合写真」
それ以外にも、近くのショッピングモールで発生するプラスチックゴミや、近くのバラン
ガイ(セブ市内の行政区の単位をバランガイという)で集められたプラスチックゴミも持
ち込んでもらい、これらの廃プラスチックに処理を施して、フラフ燃料という化石燃料の
代替となる燃料を製造します。製造した製品は、現地大手のセメント会社へ販売し、燃料
として使用してもらいます。もちろん、この燃料を使用してもらうことで、CO2 の削減効
果も期待できます。
事業の説明
今年度、主に取り組んだ事柄について簡単に説明します。
1.
事前準備
① 設備設置場所やその近辺の視察、燃料販売先等の確認
「埋立処分場頂上付近での様子」
本実証事業の選別、粉砕設備の設置場所候補のイナヤワン衛生埋立地内のモータ
ープールを訪問して、現地の関係者と一緒に、電源、屋根等の状況確認、製品販
売先との協議などを行いました。写真は、埋め立て処分場内の散策を行った時の
様子です。年々埋め立てられたゴミはとんでもない量でとんでもない高さに積み
上げられており、散策というより山登りをする感覚に似ていました、、
、
② セブ市固形廃棄物委員会に参加・協議
ウエストピッカーの活用方法や、施設の運営体制についてセブ市議会委員カブレ
ラ氏(同委員会委員長)
、CCENRO 責任者ナバロ氏、イナヤワン地区のバランガ
イキャプテン(日本の行政区長にあたる)のイグナシオ氏など、セブ市の廃棄物
処理に関し知識が豊富な人物が参加するセブ市固形廃棄物委員会の場で、様々湧
き上がる課題に関して何度も議論を行いました。
2.
中間処理施設建設、現場作業員の選定
「破砕機ライン」
「手選別ライン」
機材の据付を行いました。ラインの役割は主に 2 つ。手選別と破砕です。
●手選別
原料の調達の際、ある程度の分別は行ってもらっていますが、やはり多量なゴミの
選別には限界があります。また、ゴミに関する知識が必要で、
(例えば塩素を含む塩
化ビニールはセメント会社のボイラーで燃やす際、ボイラーを痛めることから原料
には向かないなど)これらの知識をもとに分別を行う必要があります。もちろん、
機械でこれらの不適物をオートで取り除くこともできますが、金額面の問題とワー
カーの雇用を創出できないため、今回は採用していません。
●破砕
フラフ燃料は、簡単に言うとプラスチックを細かく粉砕したものです。ただし、水
分率や上述した塩素の含有率などを管理する必要があります。
日本から、日ごろお世話になっている建設・電気業者にもお越しいただき、1 週間程度
で設置は完了しました。現場の作業員は、日本の業者の作業を真剣に観察し、技術を
学ぼうと必死な姿がとても印象に残りました。その際、この事業は製品の製造・販売
という目的だけではなく、現地の環境や人間にとっても非常に大切な事業であること
を再認識させられました。また、別れ際、涙を流す作業員もいて、フィリピンの方達
の人柄の良さを体感しました。
「最終日の終礼の様子」
3.
リサイクルの仕組みづくり
① フラフ燃料のセメント会社への販売
APO Cement 社(親会社:CEMEX)に対して、すでに同社へのフラフ燃料の
納入実績をもつ CSWMI 社経由で、弊社の生産したフラフ燃料を納入していただ
けるよう依頼して、承諾を得ることができました。さらに、2015 年 1 月には、
同社に対し燃料の初出荷を行っています。その際、施設の内部も見せてもらい、
特にボイラーはコンピュータ制御されており、徹底した温度管理が行われている
点には驚きました。
② 機材稼働お披露目会の実施
2015 年 2 月 3 日、多様な関係者を招き、機材の稼働状況や事業紹介を行いま
した。様々な分野の方から興味を持っていただき、総勢 80 名の出席者の方にお越
しいただきました。
最後に、
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、
ここまでの道のりは決してスムーズではなく、お披露目会の後には自然と達成感を味
わいました。また、今後はより大きな視点で、セブ市全体、フィリピン全土、同じ課題
を持つ途上国と、私たちの技術で世界の廃棄物問題の解決に取り組んでいきたいと考え
ています。セブ市の事業もまだまだ続くので、様々な人の協力を得ながら、気を緩める
ことなく成功に向けプロジェクトメンバー一同、尽力していきます!!
最後までお読みになっていただいた方、誠にありがとうございます。ご質問・ご意見
等ございましたら、HP よりお気軽にお問合せください。
萬世リサイクルシステムズ株式会社
株式会社ブルーエコノミー研究所
樋口 幹高
本プロジェクトの概要:
正式名称:
「フィリピン共和国セブ市資源循環推進事業創出に関する普及・実証事業」
セブ市、横浜市、JAICA、萬世リサイクルシステムズ株式会社、カーボンフリーコンサル
ティング株式会社