矢島 達朗先生 :Lancet. 2014; 384(9949):1196-205 パーキンソン病、何から始める? Long-term effectiveness of dopamine agonists and monoamine oxidase B inhibitors compared with levodopa as initial treatment for Parkinson's disease (PD MED): a large, open-label, pragmatic randomised trial. 【背景】PD 患者の初期治療は、何から始めればよいのか?経験的には、運動症状の改善目的に、しばし ばレボドパ製剤が使われますが、dyskinesia 等の有害事象、QOL含めた長期間の検討がありませんでし た。今回、英国の PD MED 共同研究グループが、新規診断 PD 患者を対象に、レボドパ製剤と、ドパミン作動 薬(DA)、モノアミン酸化酵素 B 阻害薬(MAO-B)の初期治療薬と効果について、報告しました。 【方法】新規、あるいは発症後 6 か月以内の PD 患者 1620 例に対し、初期治療として、レボドパ製剤およ び DA 製剤あるいは MAO-B 製剤(その後の主治医の判断で、レボドパ追加可能)の 3 群に割り付け、主要 評価項目として、質問票(PDQ-39)による可動性スコア、QOLの長期の評価が行われました。 【結果】中央値 3 年の追跡で、レボドパ単剤群は他の 2 群に比して、主要評価項目の質問票(PDQ-39)の可動性スコ アは、平均 1.8、QOL評価が、1.0 良好であり、7 年後の長期の可動性や QOL の維持に優れていた。長期の観 察では、dyskinesia の発現が、レボドパ群で 36%、他剤群で 33%と有意に高いが、運動症状の変動や死 亡率に差はなかった。 【結論】このように、PD 治療では、長期間の検討においても、レボドパ製剤から始めるのが、最善の治療で あると考えられました。経験的な治療法の選択肢が、エビデンスとして裏付けられた研究と言えそうです。 (文責 阿比留)
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