体内植え込み型架橋ゼラチンフィルムの薬物放出制御に 関する基礎的検討

体 内植 え込 み型架橋 ゼ ラチ ン フィルムの薬物放 出制御 に
関す る基礎 的検 討
夏 目秀 視 ・坂 之 上 和 稔 ・杉 林 堅 次 ・森 本 雍*1),宮
Controlled
from
and
through
the
and
release
Gelatin
were
films
conditions
estimated,
in
pH
In
7.4
in
3 times
longer
(MMC)
were
bean
release
oil
changed
by
results,
further
carried
out
several
that
were
drug
amounts
lethitin)
the
in
fixing
in
by
vitro
as
from
the
other
side.
consistent
with
and
as
desired
dosage
form
release
or
Miyagawa*2),
: gelatin
film,
C,
lipid
sug
の 環 境,さ
らに は
film
of
送 達 シ ス テ ム(DDS)に
お ける薬物 担体 や徐 放 性
材 料 と し て も注 目 を 集 め て い る4∼6).
ゼ ラチ ン は,生 体 適 合 性,分
Morimoto*1),
る の で,植
解 性 に す ぐれ て い
え込 み 剤 と して の 用 途 も広 い もの と思
Ikeguchi*3)
dispersed
release,
was
Sakanoue•
Shoichi
drug
data
rate.
Yasunori
compartment中
た
らび に そ
速 度 の得 ら れ る もの が 必 要 で あ る.
一方
,ゼ ラ チ ンは カ プ セ ル 剤 の 被 膜 材 料 とし て
一 般 に用 い られ て い る ば か りで な く,最 近 は薬 物
than
delivery
Kazutoshi
Sugibayashi•
mitomycin
for
を 示 す よ う に 設 計 さ れ る こ とが 望 ま し い.し
個 々 の 患 者 の症 状 に も応 じた さ ま ざ まな 薬 物 放 出
MMC
gelatin
permeation
Natsume•
Akira
words
a
It
への薬物移 行率 を
by
observed
dispersed
の部
つ 副作 用 が あ らわ れ
effect compartment”
のeffective
were
of
れ ら の 部 位 を“effec-
と し て 考 え た と き に,そ
が っ て,制 癌 剤 の物 性 や 生 体 内 動 態,な
these
faster
value.
lipid
also
on
rate
much
a result,
calculated
gelatin
Kenji
As
be
あ る い は切 除 部 位 な ど を タ ー ゲ ッ
ト と し た 植 え 込 み 剤 は,そ
る“side
水,
極 力 抑 え る こ との で き る よ うな 薬 物 放 出 パ ター ン
MMC
was
prepared
release
体 適 合 性,分
lipid
experiments
to
腹 水,腹 膜 播 種
位 へ の 薬 物 移 行 率 を 高 め,か
with
vitro
Based
films,
where
designed
by
In
る い は癌 原 発
れ に 薬 物 の 放 出 性 が あ げ ら れ る.胸
tive compartment”
films
and
film
release
above,
was
available
film.
3-layer
side
that
the
C
delayed
agent
condition.
2-and
layers
fixing
2-
permeation
was
suspended-gelatin
Hideshi
key
of
was
these
The
films
by
mitomycin
through
condition.
解 性,そ
films
prolonged
vitro
植 え 込 み 剤 と し て 重 要 な 点 は,生
was
period
癌 摘 出 手術 前後 の 補 助 的 な 治 療,あ
として 行 わ れ る1∼3).
fix
gelatin
was
In
the
one
gested
were
fixing
and
the
37•Ž
vitro.
films
implant
degradation
in
MMC
an
晃*2),池 ロ祥 一*3)
巣 や 転 移 部 位 な ど あ る特 定 の 局 所 へ の治 療 を 目的
implant
and/or
of
at
C
gelatin
as
profiles
the
from
utility
In vivo
through
in
for
dispersed
buffer
by
mitomycin
crosslinking
degradation
than
MMC
increase
from
their
permeation
of
(soy
and
fixing.
changed
rate
various
phosphate
increase
films
lipid
by
vitro
of
gelatin
and
prepared
ing
permeation
川
gelatin
drug
film,
わ れ る.
そ こで,ゼ
permeation
ラ チ ン を基 本 素 材 とす る植 え込 み剤
の 開発 を 目的 に,基 剤 組 成 の 変 更 や ゼ ラチ ン の化
生 体 内植 え込 み製 剤 は,種 々 の 癌 治 療 に頻 繁 に
学 的 修 飾 に よ り種 々 の 薬 物 放 出 速 度 が 得 られ る
用 い られ て い る.そ の製 剤 設 計 は 全 身 的 な癌 治 療,
フ ィル ム を調 製 し て,そ の 訥 癬 知r伽 寵の 分 解
*1)
Faculty
of Pharmaceutical
1-1 Keyakidai,
Sakado,
Sciences, Josai University,
城西
350-02, Japan
Saitama
大 学薬学 部製剤学教室
*2)
Pharmaceutical
Division,
Ltd., 6-1 Ohtemachi,
よ び 薬物 透 過 性 に つ い て評 価 し た.ま た,
2層 お よ び3層
フ ィ ル ム を調 製 し,フ
へ の薬 物 放 出 性 をin vitroで
Kyowa
1 Chome
Hakko
Chiyoda-ku,
Kogyo
Co.
Tokyo
100,
協和醗酵工業(株)医
薬事業部
Japan
*3) First Department
of Surgery, Dokkyo University
School of Medicine, 880 Kitakobayashi,
Mibu, Shimo
tsuga-gun,
性,お
Tochigi 321-02, Japan
方
ィル ム 両 側
評 価 した.
法
(1) ゼ
ラ チ ン フ ィル ム の 調 製
種 々 の ゼ ラ チ ン フ ィ ル ム(約1g,厚
さ0.995∼
表1
*:
Aタ
Glu.:
1.005mm)お
(約3g,厚
ゼラ チ ン フ ィル ムお よび 脂質 分 敵 型 ゼ ラ チ ン フ ィル ムの組 成 お よび 固定 化 の 条件
イ プ の フ ィ ル ム 以 外 の 処 方 に は,す
glutaraldehyde.
Form.:
べ て2.5%
formaldehyde.
よ び 脂 質 分 散 型 ゼ ラ チ ン フ ィル ム
さ0.995∼1.005mm)を
図1お
よ び 表1
に 示 し た よ う に 調 製 し た.
な お,精
Glu.がO.4ml加
Oetyl.:
は,基 剤 溶 解 後,そ
散 させ,そ
の溶 液 中 にMMCを
均 一に分
れ 以 外 は薬 物 を含 まな い フ ィル ム と同
様 に調 製 した.
製 ゼ ラ チ ン は ナ カ ラ イ テ ス ク(株)より購
(2)
ゼ ラチ ン フ ィル ム のin vitroお
よびin
分解性 の測定
入 し た.
可 塑 剤 と し て,グ
リ セ リ ン お よ びD-ソ
ゼラ チ ン フ ィ ル ム ま た は 脂 質 分 散 型 ゼ ラ チ ン
叉 結 合 剤 と し て,グ
を 単 独 で 用 い る か,あ
和 醗 酵)を1w/w%含
お,マ
ルタル アルデ ヒ ド
るい はグルタル アルデ ヒ ド
と ホ ル ム ア ル デ ヒ ド,ま
を 併 用 し た.な
vivo
分解
(1)
性 in vitro
ルビ
トー ル を 用 いた7).
ま た,交
え られ てい る.
octylaldehyde
た は オ クチ ル ア ル デ ヒ ド
イ ト マ イ シ ンC(MMC,協
有 し た ゼ ラ チ ン フ ィル ム
フ ィ ル ム を 約100mgに
な る よ うに円盤 状 に切
り,重 量 を 正 確 に 測 定 し た.こ
pH7.4
リ ン 酸 緩 衝 液30ml中
れ を37℃
に温 め た
に 入 れ,マ
テ ィ ッ ク ス タ ー ラ ー で 撹 拝 し た.こ
グ ネ
の と き,攪拌
子 が 直 接 フ ィ ル ム に 触 れ な い よ う に し た.
図1
MMCを
経 時 的 に 上清2mlを
ゼ ラチ ンフ ィル ム お よび 脂質 分 散 型 ゼ ラ チ ン フ ィル ムの調 整 法
懸 濁 含 有 す る フ ィル ム を調 製 す る場 合 には こ こでMMCを
加 *え た.
採 取 し,同 量 の緩 衝 液 を戻
し た.上 清 中 に溶 出 し た ゼ ラ チ ン量 をLowry法
別 法 を用 い て,蛋
白 質 量 と して 定 量 した8).
(2) in vivo分 解 性
雄 性 ウ ィ ス タ ー ラ ッ ト(150∼200g)を
ルビ ター ル で麻 酔 後,正
腹 した.100mgの
ペ ン トバ
中 線 に 沿 って 約2cm開
円盤 状 に切 り抜 い たゼ ラ チ ン
フ ィル ム,ま た は脂 質 分 散 型 ゼ ラ チ ン フ ィル ム を
腹 腔 内 の小 腸 間 に留 置 した.
あ らか じめ 設 定 し た 日 ご と に 開腹 し,残 存 し て
い る フ ィル ム を摘 出 して その フ ィル ム を溶 解 後,
法 別 法 に て ゼ ラ チ ン残 存 量 を 蛋 白 質 量
LOwry
と
図
2
して 定 量 した.
(3)
MMCの
ゼ ラ チ ン フ ィ ル ム(厚 さ 約1.0mm)を2-チ
バ ー 拡 散 セ ル(有 効表 面 積0.785cm2:セ
ャン
ル の形 状
は 有 効 表 面 積 が 小 さ い ほ か は 既 報9)と 同 様)に 挾
み,一
方 にMMC懸
う一 方 にpH7.4リ
れ,37℃
で攪拌
多 層 フ ィル ムの模 式 図
フ ィル ム 透 過 性 測 定
濁pH7.4リ
ン酸 緩 衝 液
ン 酸 緩 衝 液(receiver側)を
時の透過 量
お よび 速 度 と して 示 した.
(4)
入
MMCの
放 出性 の測定
MMCを
懸 濁 含 有 す る ゼ ラ チ ン フ ィル ムの 片 面
を全 量 採 取 し,薬 物 の 定 量
に供 した.ま た,実 験 を継 続 す る た め,新
累積透過 量お よび
透 過 速 度 は フ ィル ムの 厚 さ1.0mmの
も
し た.
経 時 的 にreceiver側
衝 液 を加 え た.な お,MMCの
しい 緩
MMC懸
濁 ゼ ラ チ ン フ ィル ム か ら の
に,支 持 体 と して 不 透 過 性 の ポ リエ チ レ ンテ レフ
タ レー ト(PET)フ
ィル ム(ニ チ バ ン,東
京)を 貼
図
3
ゼ ラ チ ン フ ィ ル ム(タ イ プA)のin viお よ びin vivoに
A-1.
■:
図4
脂 質 分 散 型 ゼ ラ チ ンフィ ル ム(タ イ プD)の
おtro
け る分 解 性
A-2. ▲: A-3.
▼:
お よ びin vivoに
A-4
●:
●:
D-1. ■:
D-2.
▲:
お け る 分in解vitro
性
D-3.
▼:
Form.固
定のみ
り,2-チ
ャ ン バ ー 拡 散 セ ル に 挾 ん だ.PETフ
ィル
ム の 貼 っ て い な い 側 の チ ャ ン バ ー 内 にpH7.4リ
ン 酸 緩 衝 液 を入 れ,37℃
量 採 取 し,新
(5)
で攪拌
し た.経
時的 に全
し い 緩 衝 液 を 加 え た.
結 果 と考 察
1)
フ(イル ム のin vitroお
よ びin vivo分
解
性
多 層 ゼ ラ チ ン フ ィル ム か らの 両 側 へ の
植 え込 み剤 か らの 目 的 とす る 薬 物 放 出挙 動 は,
MMC放
出性 の測定
用 い る薬 物 に よ っ て異 な っ て くる.そ れ ゆ え,薬
MMCを
懸 濁 含 有 す る フ ィル ム の 両 側 にMMC
物 の 目的 とす る 放 出パ ター ン お よ び放 出期 間 に よ
透 過 性 の 異 な る フ ィル ム を貼り 合 わ せ た製 剤 を 調
り,フ
製 した(図2).こ
しか し,フ
れ を2-チ ャ ンバ ー 拡 散 セ ル に 挾
み,リ ン酸 緩 衝 液 を両 側 に入 れ,37℃ で攪拌 した.
経 時 的 に両 側 の試 料 を全 量採 取 し,新
しい緩 衝 液
を加 え た.
(6)
MMCの
ィル ム の 調 製 を 変更 しな け れ ば な らな い.
ィル ム の 形 態 変 化 を利 用 し て厳 密 に薬
物 の 放 出 を コ ン トロー ル す る の は 非 常 に む ず か し
く,そ れ ゆ え,設 置 場 所 で そ の 形 態 を保 持 し て い
る ほ う が 望 ま しい.
MMCの
定量
定 量 は,既 報 の 方 法 に従 い10),高 速 液
用 い た 薬 物 の 期 待 す る効 果 が2∼3日
ば よ い 場 合 に は,形 態 の保 持 は4,5日
持 続 すれ
で も よい,
体 ク ロ マ トグ ラ フ ィー シ ス テ ム(島 津 製 作 所)を 用
また,時 間 依 存 型 の 薬 物 で1∼2カ
い て行 った.
半 年 に わ た りそ の効 果 を期 待 す る場 合 に は,そ
期 間 の1.5∼2.0倍
月,あ
るいは
の
程 度 形 態が保 持 され る べ き で
表2 In vitroお
よびin vivoに
ル ム の50%分
図5
あ る.多
MMCのゼ
お け るゼ ラ チ ン フ ィル ム お よび脂 質 分 散 型ゼ ラチ ンフ ィ
解 時間
ラ チ ン フ ィ ル ム(タ イ プA,
くの 薬 物 に応 用 す る こ とを考 え れ ば,調
製 した フ ィル ム が,必
ず生 体 内 で 分 解 さ れ る な ら
タ イ プBお
よ び タ イ プC)透
過性
お け る フ ィル ム の 分 解 は,タ
場 合,添
イ プAの
フ ィル ム の
加 した ホ ル ム ア ル デ ヒ ド濃 度 に依 存 し て
ば,そ の 形 態 保 持 期 間 は な が けれ ば な が い ほ ど よ
遅 くな るの に対 し て,他 の タ イ プの フ ィル ム で は
い こ とに な る.
ほ ぼ 同 じ時 間 に 分解 した.フ ィ ル ム の 分 解 速 度は,
図3に,タ
図4に
イ プAの
タ イ プDの
ゼ ラ チ ン フ ィ ル ム の,ま
た
脂 質 分散 型 ゼ ラ チ ン フ ィル ム の
お よ びin vivo分
解 性 を 示 し た.フ
ム の 分 解 は,in vitro,in vivoの
オ クチ ル ア ル デ ヒ ドを併 用 す る こ とで,グ
ル タル
ィル
in vitro ア ル デ ヒ ドあ る い は ホ ル ム ア ル デ ヒ ド単 独 で 用 い
どち ら にお い て
もあ る時 点 か ら急 激 に 溶 解 す るS字
グ ル タル ア ル デ ヒ ド とホ ル ム アル デ ヒ ド,ま た は
曲線 様 のパ
る よ りも遅 くな り,そ の 遅 延 効 果 は ホ ル ム ア ル デ
ヒ ドとの 併 用 の ほ うが 大 きか っ た.
タ ー ン を示 した.こ
れ らの溶 解 パ タ ー ン は,タ イ
これ らの 結 果 よ り,交 叉 結 合 剤 の併 用 で フ ィル
プB,
お い て も同 様 で あ った.ま た,
ム の 分 解 抑 制 効 果 は い ち じ る し く増 加 し,そ れ は,
Cお よびEに
に お い て はin vitroよ
2∼3倍
り も分解 時 間 は約
in vivo
遅 か った.
もの と思 わ れ た.ま た,タ イ プB∼Eの
表2に 調 製 し た フ ィル ム のin vitroお
に お け る50%溶
交 叉 結 合 剤 の あ る添 加 濃 度 以 上 で ほ ぼ 一 定 に な る
よ びin
解 時 間 を示 した.in vitroに
vivo
なかで もっ
と もフ ィル ム の 分 解 が速 い と予想 され る タ イ プC
で も2週 間 以 上 体 内 に残 存 す る と思 わ れ た.加
え
て,in
る と,そ
図6
MMCの
表3
ゼ ラ チ ン フ ィル ムお よび脂 質 分 散 型 ゼ ラ チ ン フ ィル ムのMMC透
vitroとin vivoの50%分
脂 質 分 散型 ゼ ラチ ン フィ ル ム(タ イプDお よび タ イ プE)透 過 性
の こ と か らin vitro分
(2)
MMCの
解 実 験 法 が有 用 で あ る こ と
が
ゼ ラ チ ンフ ィル ム透 過 性
タ イ プA∼Cの
に 示 し た.タ イ プAお
フ ィル ム透 過 性 を図5
よ びBの
フ ィル ム のMMC
を併 用 し た タ イ プBの 透 過 速 度 は タ イ プAに
くら
ドを併 用 した タ イ プCで は,添 加 した オ クチ ル ア
ら に減 少 し,タ イ プC-4で
な った.
し,含 有 させ る 脂 質 の 濃 度 を 増 加 させ た タ
イ プDの 場 合,MMCの
透過速度 は脂質量 に依存
して 減 少 した.一 方,脂
質 含 有 量 を 一 定 と し,添
加 した オ ク チ ル アル デ ヒ ド濃 度 を 増加 させ た タ イ
ム以 外MMCの
ル タルアル デヒ ド
べ 約1/10に 減 少 した .
一 方 ,グ ル タ ル ア ル デ ヒ ドとオ ク チ ル ア ル デ ヒ
ル デ ヒ ド濃 度 に依 存 してMMCの
10%と
よ びEの フ ィル ム透 過 性 を
ル ム ア ル デ ヒ ドの 固 定 化 濃 度 を
プEの 場 合,比 較 的低 濃 度 の タ イ プE-1の
の透 過 は,添 加 した ホル ム ア ル デ ヒ ドの 濃 度 に依
存 せ ず ほ ぼ 一定 で あ っ たが,グ
タ イ プDお
図6に 示 した.ホ
示 唆 さ れ た.
MMCの
MMCの
解 時 間 を くらべ
れ ら の ラ ン ク オ ー ダ ー は 同 じ で あ り,こ
過速度
透過速 度 は さ
タ イ プAの 約1/25と
フ ィル
透 過 速 度 は ほ ぼ 同 程 度 で あ った .
これ らタ イ プDお よ びEの 脂 質 分 散 型 ゼ ラ チ ン
フ ィル ム か らのMMCの
び
Dか
過 速 度 は,タ
イ プD-5で
プE-2∼4で
約1/70で
表3に,フ
の,す
透 過 性 は,タ イ プCお
よ
ら の そ れ よ り も さ ら に 遅 く な り,MMC透
タ イ プAの
約1/40,タ
ィ ル ム の 厚 さ を1.Ommと
べ て の タ イ プ の フ ィ ル ム のMMCの
度 を 示 し た.フ
イ
あ っ た.
ィ ル ム を 通 るMMCの
した とき
透過速
透過 速度
図7
図8
MMCを
含 有 す る脂 質分 散 型 ゼ ラ チ
ン フ ィル ムか らのMMCの
放出
a:
時間 に対 す る累 積MMC放
b:
時間 の平 方 根 に対 す る累 積MMC放
多 層 フ ィル ム の 放 出面 側(仮 想癌 部
位 被覆 側)お よびBacking
出率
Film側
非 被覆 側)へ のMMCの
: 計 算値. ●:
放(出―
実 測値
出率
は,42.53μg/mm2・hか
ら0.63μg/mm2・hま
で
さ ま ざ ま に 調 製 で き る こ とが 明 らか と な っ た .
(3)
ゼ ラ チ ン フ ィル ム か らのMMCの
間 で 終 了 す る よ う に2層
放出
図7aにMMCを
3お よ びD-4フ
懸 濁 含 有 す る タ イ プA-3,Dィル ム か らのMMCの
す る%放 出 量 を,図7bに
出 量 を 示 し た.フ
出 速 度 は,交
Higuchi,T.の
定 し た.ま
時間 に対
時 間 の 平 方根 に対 す
ィ ル ム か ら のMMCの
叉 結 合 剤 の 併 用,脂
い ち じ る し く減 少 し た.な
(4)
側 に はMMCを
放
質 含 量 の増 加 で
お,MMCの
放 出性 は
3.0mmと
た,膜
多 層 ゼ ラ チ ン フ ィル ム か ら のMMCの
ィル ム を用 い る よ う に設
の 厚 さ は,そ
れ ぞ れ1.5お
よび
し た.
した が っ て,病 巣 側 へ のMMC放
MMC懸
濁D-5フ
側 へ のMMCの
のMMC透
出 は図7の
ィ ル ム とほ ぼ 同様 で あ り,反 対
放 出速 度 は図6のE-3フ
過 速 度 の 約1/3に
図2bは
イル ム
な る こ とが 予 想 さ れ
一 定 の 速 度 で 病 巣 に 薬 物 を 送 り込 む よ
両 側 へ の放 出性
う に3層
以 上 の 結 果 を踏 ま え,腹 腔 内 の 固形 癌 切 除 部 位
5の フ ィ ル ム を,中
想
定 し,植 え込 み剤 の 調 製 を試 み た.す な わ ち,病
巣 側 へ の 薬 物 放 出 速 度 を速 くし,反 対 側 へ の放 出
速 度 を遅 くす る よ う に設 計 し た(図2).図2aは
巣
ィル
る.
式11)に 従 っ た.
の残 存 微 小 癌 病 巣 をeffective compartmentと
に し た フ ィ ル ム で,病
懸 濁 含 有 す る タ イ プD-5フ
ム を,反 対 側 に はE-3フ
性
る%放
貼 付 初 期 か ら薬 物 が 放 出 し,か つ そ れ が ほ ぼ24時
A-2フ
に し た フ ィ ル ム で,病 巣 側 に は タ イ プD-
ィ ル ム を,反
い る こ と と し た.ま
0お
よ び3.0mmと
るA-2フ
央 にMMCを
懸 濁含 有 す る
対 側 に はE-3フ
た,膜
ィル ム を 用
の 厚 さ は,そ れ ぞ れ1.5,
し た.MMCを
イ ル ム か ら のMMCの
懸濁含
1.有 す
放 出 は非 常 に速
く,両 側 に 挾 ん だD-5お
MMCの
よ びE-3フ
出 速 度 は 図6のD-5フ
側 へ のMMCの
のMMC透
ィル ム の2/3に,ま
放 出 速 度 は 図6のE-3フ
過 速 度 の約1/3に
た反 対
ィル ム
な る こ とが 予 想 さ
図8に,こ
MMCの%放
れ ら2種 の フ ィル ム か らの 両 側 へ の
出 量 を示 した.用
厚 を考慮 に入 れ,先 のMMCの
い た膜 の 種 類 や膜
放 出 お よ び透 過 実
験 デ ー タ に基 づ き計 算 して 得 た 曲 線 と実 測 値 とは
よ く一致 し,こ れ ら フ ィル ム を種 々 に組 み 合 わ せ
る こ とで,希 望 とす る薬 物 放 出 を得 られ る こ とが
明 らか と な っ た.
語
以 上,薬
物 放 出 制 御 の 観 点 か ら,膜 製 剤 と して
の植 え込 み剤 の シ ス テ ム設 計 を行 った.そ の 結 果,
モ デ ル 薬 物 と して 用 い たMMCの
放 出速度 や膜
透 過 速 度 を,膜 の 調 製 条 件 を種 々 に変 え る こ とに
よ り,2オ
ー ダ ー近 くか え る こ とが で きた.ま た,
膜 透 過 制 御 製 剤 と し て 利 用 す れ ば,そ の 膜 厚 に
よ っ て も透 過 速 度 を コ ン トロ ー ル で き る.加 えて,
よ り脂 溶 性 の 高 い 固 定 化 剤 を 用 い れ ば さ らに さ ま
ざ まな 薬 物 放 出 速 度 の得 られ る製 剤 が で き る で あ
ろ う.
今 回 は膜 製 剤 と して評 価 し た が,ペ
レ ッ トや 球
形顆 粒 と い った 製 剤 に も容 易 に 応 用 が 可 能 で あ
り,植 え込 み 剤 と して の 用 途 は広 い も の と期 待 さ
れ る.
1) 渡 辺
寛,飯
塚 紀 文,未
舛 恵 一,行
放 性 制 が ん 剤(Im-SRA)の
cologia
20:105-114,1987.
小 野 田 正,阪
2) 上 賢 一,松
-2)徐 放 製 剤 とnHuTNF-α
討.Drug
れ る.
結
文 献
ィル ム が
透 過 律 速 と な る の で,病 巣 側 へ の薬 物 放
Delivery
徳 素 通:植
込 型徐
開 発 と そ の 臨 床 応 用.On
岡 順 治 ・他:Interleukin 2(IL
の 抗腫 瘍 性 相乗 効 果 の 検
System
6:381-385.1991.
3) Ogawa, Y., Okada, H., Heya, T., Shimamoto, T.:
Controlled Release of LHRH Agonist, Leuprolide
Acetate, from Microcapsules : Serum Drug Level
Profiles and Pharmacological Effects in Animals. J.
Pharm, Pharmacol.
41 : 439-444, 1989.
4) Yoshioka, T., Hashida, M., Muranishi, S., Sezaki,
H.: Specific Delivery of Mitomycin C to the Liver,
Spleen, and Lung : Nano-and Microspherical Car
riers of Gelatin. Int. J. Pharmaceut.
8 : 131-141,
1981.
5) Tabata, Y., Uno, K., Muramatsu, S., Ikada, Y. : In
Vivo Effect of Recombinant Interferon Alpha A/D
Incorporated in Gelatin Microspheres on Murine
Tumor Cell Growth. Jpn J. Cancer Res. 80 : 387393, 1989.
6) Komatsu, M., Tagawa, K.,
Goto, S.: Biophar
maceutical Evaluation of Gelatin Microcapsules of
Sulfonamides. Chem. Pharm. Bull. 31:262-268,
1983.
7) Griffenhagen, G.: J. Am. Pharm. Assoc. Pract. Ed.
17 : 810, 1956.
8) 菅 原潔,福
島正 美:タ ンパク 質 の 定量 法:生 物 化 学
実験 法.化 学 出版 セ ン ター,1997.
9) Okumura, M., Sugibayashi, K., Ogawa, K., Mor
imoto, Y.: Skin Permeability of Water-Soluble
Drugs, Chem. Pharm. Bull. 37 : 1404-1406, 1989.
10) Natsume, H., Sugibayashi, K., Morimoto, Y.: In
Vitro Release Profile of Mitomycin C from Albu
min Microspheres : Extrapolation
from Macros
pheres to Microspheres. Pharm. Res. 8 : 185-190,
1991.
11) Higuchi, T.: Mechanism of Sustained-Action Med
ication Theoretical Analysis of Rate of Release of
Solid Drugs Dispersed in Solid Matrices. J. Pharm.
Sci. 57 : 1145-1149, 1963.