シャーペンの芯に 関する研究

シャーペンの芯に
関する研究
シャーペンの芯の濃さ太さ、電圧の高さの違いから
日高高等学校附属中学校科学部
2年
メンバー
上平新太郎
下野翼
伊藤徳亨
上平裕次郎
目次
1、きっかけ
2、概要
3、仮説
4、実験1
5、実験2
6、結論、課題、エピソード、感想
1、きっかけ
日常でよく使うシャーペンの芯。シャーペンの芯は炭素が含まれており電流を流すと、
電流が流れる。僕たちは学校の科学クラブでシャーペンの芯に電流を流せばどれぐらいの
時間で折れるのかというテーマを設定し実験をした。しかし、最初に実験をしたときは、
シャーペンの芯がそれぞれ違う会社で作られているものであったため、データがうまく取
れず、難航した。そして、他の実験にしようと思った時、この、
「学生科学賞」というもの
があることを知った。そこで、もっと正確なデータが取れるように同じ会社のシャーペン
の芯を六種類買って統一し、この実験をしようとおもいました。
2、概要
十分に出来なかったシャーペンの芯の実験を追求するために直流電源装置の電圧の高さを
変えながらシャーペンの芯が燃え切れるまでの時間を調べることにした。
また、シャーペンの芯の太さと濃さによって燃え切れるまでの時間にどんな違いが出るの
か調べた。
3、予想
① シャーペンの芯の太さと燃えきれるまでの時間との関係
シャーペンの芯の太さが太いほど発熱し燃えきれるまでの時間が短い。
根拠
ら。
シャーペンの芯は太さが太いほど炭素の量が、多く入るので、発熱しやすいと考か
② シャーペンの芯の濃さと燃えきれるまでの時間との関係
シャーペンの芯の濃さが濃いほど発熱し燃えきれるまでの時間が短い。
根拠
シャーペンの芯の濃さが濃いほど炭素の密度が大きいため、炭素の量が多いと考え
たから。
③ 直流電源装置の電圧の高さと燃えきれるまでのとの関係
電圧の高さが高いほど発熱し燃えきれるまでの時間は短い。
根拠 電圧の高さが高いほど炭素が早く発熱するから。
実験1
ねらい シャーペンの芯の濃さ・太さと燃えきれるまでの時間との関係を調べる。
(1)
準備物
器具 直流電源装置(1) 太いリード線(2) 細いリード線(2) 抵抗 30Ω(1)
その他 クリップ(2) 発泡スチロール(1) シャーペンの芯(HB 0.5mm 0.7mm 0.9mm)
(2B 0.5mm 0.7mm 0.9mm)
(2)方法
細いリード線【赤】 細いリード線【黒】
シャーペンの芯
直流電源装置
太いリード線【赤】
図1
クリップ
抵抗 30Ω
太いリード線【黒】
発泡スチロール
上の写真のように、発泡スチロールにクリップをさし、クリップの穴にシャーペンの芯を
さします。
そして、直流電源装置の+や-極に赤黒のリード線をはさみ、もう二つのリード線の先を
抵抗につなぎます。最後にもう二つのリード線の先を抵抗につなぎシャーペンの芯につな
ぎます。
(この時、流す電圧を 5.0V とする。)
(3)結果
表① (HB 0.5mm 0.7mm 0.9mm に 5.0Vを流した時の燃えきれるまでの時間)
HB
1 回目
2回目
3回目
4回目
5回目
平均
0.5mm
40.2 秒
35.85 秒
37.45 秒
42.58 秒
33.59 秒
37.95 秒
0.7mm
112.05 秒
163.08 秒
126.08 秒
90.58 秒
99.47 秒
118.25 秒
0.9mm
計測不能
計測不能
計測不能
計測不能
計測不能
データなし
表②(2B 0.5mm 0.7mm 0.9mm に 5.0Vを流した時の燃えきれるまでの時間)
2B
1 回目
2回目
3回目
4回目
0.5mm
55.61 秒
52.8 秒
47.66 秒
0.7mm
49.75 秒
53.1 秒
53.95 秒
53.37 秒
54.57 秒
53.35 秒
0.9mm
計測不能
計測不能
計測不能
計測不能
計測不能
データなし
45.71 秒
5回目
61.62 秒
平均
52.68 秒
グラフ①(太さ、濃さの異なる場合の燃えきれるまでの時間の平均、電圧は 5.0V)
140
120
100
80
60
40
20
0
0.5mm
0.7mm
HB
(4)考察
0.9mm
2B
表①・表②・グラフ①は、シャーペンの芯の濃さ・太さを変えてシャー芯が燃えきれるま
での時間を五回計り、その平均を出したものである。これらを見て分かることはシャーペ
ンの芯の濃さが濃いほどシャーペンの芯が燃えきれるまでの時間が短くなることが分かっ
た。しかし HB の 0.9mm、2B の 0.9mm のどちらも 5.0V の電流を流すことが出来なかっ
た。これはどうしてだろうか。5.0V より高めに設定したが 5.0V が流れることがなかった。
また、電源装置の使い過ぎによって起きたことなのか、シャーペンの芯にさすリード線の
先の位置のせいかなどを考えてためしてみたが効果はなかった。
結局、シャーペンの芯の濃さが濃いほど炭素の密度が大きくなるため、電流が通る道が狭
くなることが原因と考えた。
また、これらを見て分かることはシャーペンの芯の太さが太いほどシャーペンの芯の燃え
きれるまでの時間が長くなることも分かった。この実験も HB の 0.9mm、2B の 0.9mm と
いうように太くなると、5.0V の電圧を流すことが出来なかった。また、実験1のように試
行錯誤をしてみたが効果はなかった。
結局、シャーペンの芯の太さが太いと必然的に炭素の量が多くなるので、電圧がじゅうぶ
んに流しきれなかったという結論に至った。
実験 2
ねらい 電圧の高さとシャーペンの芯の燃えきれるまでの時間との関係を調べる。
(1)準備物
実験1と同じ。
(2)方法
実験1と同じ。
(ただし流す電圧は 5.0V と 5.5V とする。)
(3)結果
電圧 5.0Vのとき
表①・表②・グラフ①と同じ。
電圧 5.5Vのとき
表③(HB 0.5mm 0.7mm 0.9mm に 5.5Vを流した時の燃えきれるまでの時間)
HB
1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
平均
0.5mm
25.61 秒
27.61 秒
41.51 秒
36.36 秒
35.87 秒
33.39 秒
0.7mm
計測不能 計測不能 計測不能 計測不能 計測不能
データなし
0.9mm
計測不能 計測不能 計測不能 計測不能 計測不能
データなし
表④(2B 0.5mm 0.7mm 0.9mm に 5.5Vを流した時の燃えきれるまでの時間)
2B
1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
平均
0.5mm
24.35 秒
28.35 秒
24.26 秒
27.79 秒
26.71 秒
26.29 秒
0.7mm
54.25 秒
49.90 秒
計測不能 計測不能 計測不能
データなし
0.9mm
計測不能 計測不能 計測不能 計測不能 計測不能
データなし
グラフ②(太さ、濃さの異なる場合の燃えきれるまでの時間の平均、電圧は 5.5V)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
0.5mm
0.7mm
HB
0.9mm
2B
(4)考察
表①・表②・表③・表④・グラフ①・グラフ②は、電圧の高さを変えてシャーペンの芯が
燃えきれるまでの時間を五回計り、その平均を出したものである。これらを見て分かるこ
とは電圧の高さが高いほど、5.0V の時よりシャーペンの芯が燃えきれるまでの時間が短く
なっていることが分かった。
この実験では、5.0V の時と比べて 0.7mm が計れず、当然 0.9mm も計れなかった。
この原因は、実験1と実験2から考えて炭素の密度、炭素の量が関係していて、電圧が上
がったことで、さらに電圧が流しきれなかったと考えた。
結論
①
実験1の結論
シャーペンの芯の濃さとシャーペンの芯が燃えきれるまでの時間との関係には、炭素が密
接していることが分かった。考察でも述べたようにシャーペンの芯の濃さが濃いほど炭素
の密度が大きいため、表面積が大きくなるので発熱の効率が良くなったと考えた。
そのため、シャーペンの芯の濃さが濃いほど燃えきれるまでの時間が長くなると考えた。
シャーペンの芯の太さとシャーペンの芯が燃えきれるまでの時間との関係には、炭素が密
接していることが分かった。考察でも述べたように、シャーペンの芯の太さが太いほど必
然的に炭素の量が多くなるので、量が多すぎて電流が充分に流せなかったと考えた。
そのため、シャーペンの芯の太さが太いほど燃えきれるまでの時間が短くなったと考えた。
② 実験2の結論
電圧の高さとシャーペンの芯が燃えきれるまでの時間との関係には、炭素が密接している
ことが分かった。考察でも述べたように、シャーペンの芯の燃えきれるまでの時間は炭素
の量と炭素の密度が大きく関係しているため、電圧が高くなることでさらに電流が流しに
くくなったと考えた。
課題
今回の実験の課題は、まず試した電圧の高さの種類が少なかったことであった。そのこと
により導き出す結論に対するデータが少なくなってしまった。また、途中に気づいたのだ
がリード線の先をシャーペンの芯につける部分が違うことで燃えきれるまでの時間が大き
く違ってくることである。この実験では、ある程度そろえていたが、少し誤差が出たのは
明白でありそれが表②の 0.5mm に影響したと思われる。
最後に HB・ 2B の 0.7mm0.9mm など流せなかったシャーペンの芯をどうすれば流せるか
というのが今回の最大の課題となった。この課題をこれから、今回の実験のデータをもと
にして研究し流せるようにしていきたい。
エピソード
僕たちは、この実験でうまくいかない時や、行き詰まったりしたとき、
柚木先生に失敗してもその原因を見つけることが大事だと言われました。
それによって僕たちは何回失敗しても諦めず失敗の原因を探し、なんとか最後までやり通
すことが出来ました。その時味わった達成感は今でも覚えています。
感想
上平新太郎
僕は、この実験を終えて最後までやり切れたことがとても嬉しかったです。途中、分か
らないときや、この方法でいいのかと悩むことがありましたが、それを含めてとても意味
のある実験になりました。
今回の実験では、本で少し見たことがあるという理由で実験を始めました。それらが少
しずつねらいをふやし今回の実験となり、時間を正確にするために何回か計測して平均を
出したりしてデータを作っていきました。しかし思った以上にデータを集めるのが難しく、
設定した電圧がうまく流れなかったときや、予想通りの結果が出てこなかったことがあり
ました。それでも、そこで諦めずに失敗した原因を探すということも実験において、とて
も重要だということを学びました。
また今回の実験では、シャーペンの芯の作っている会社がバラバラであるというミスが
ありました。しかし、友人がそのミスに気づいてくれたおかげでミスを修正することがで
き、さらに話し合うことで、どうしたらよい実験になるのかと意見を交換することが出来
ました。初めは、1人で実験をしたほうがやりやすいと思いましたが、仲間がいることで
自分の気づかなかったミスやほかの人から見た意見を得ることが出来るのだと実感しまし
た。
これらを踏まえて、今回の実験では一つの実験に対して長時間没頭することで多くのデ
ータが得られるだけでなく、色々な事を考えられる力や仲間と議論して実験をする大切さ
を知ることが出来ました。実験に協力してくれた仲間に感謝をしたいです。
下野翼
科学クラブに入ってから、初めてした実験が今回学生科学賞にだすことになったからぼ
くは嬉しかったです。しかし今回の実験はデータが多かったのでまとめるのがすごく大変
でした。でも僕にとってはシャーペンの芯を使った実験は興味深いものだったので最後ま
で楽しく行えました。
今回の実験では、同じ電圧で行った時の燃えきれるまでの時間にとても差が生じたので、
同じ種類のシャーペンの芯にする必要があることに気づきました。そこで、条件にシャー
ペンの芯の太さを変えて行うことを加えました。学校の化学室へ急いで向かい、さっそく
条件通りの実験をするとやはりシャーペンの芯の太さと燃えきれるまでの時間には関係が
ありました。僕は、ストップウォッチを片手に跳び上りました。予想が当たった時の気持
ちが思わず行動に出てしまいました。ところがその後、何回か実験をしていたら次は直流
電源装置の電圧の強さをコントロールすることが出来なくなりました。僕たちは色々と頭
を悩ました結果直流電源装置が温まりすぎて電圧の最大値が小さくなってしまったという
ことに気が付きました。そして何台か直流電源装置を用意して行いました。何度も何度も
記録を取り続けて実験は成功しました。でもそれは、僕一人だけで完成させることは無理
だったと思います。なぜならこの実験は仲間で知恵を振り絞らなければできない実験だか
らです。これらを踏まえてこの実験は自分にとって、とても有意義なものになりました。
僕はこれからもっとこのような実験をしたいです。
伊藤徳亭
今回の実験で僕が一番大切にしていきたいと思ったのは「仲間と協力し合い、より良い
ものにする」事と「よく考える」ことです。一つ目のことについては仲間と一緒に実験す
るときには当然のことです。二つ目についてはよく考えて予想するという意味もあります。
今回の実験では熱が発生するのでとても危険でした。しかしそれに細心の注意を払って実
験をする力をつけることが出来ました。
そして、僕は今回の実験で得られた「考える力」を今後も磨いていきたいです。
上平裕次郎
僕はこの実験で、やればやるほど、次はどういう条件にしようかなと考えることが出来ま
した。今回の実験には、たくさんの時間を費やしました。自分たちで、実験の計画・準備・
片づけすべてするのは初めてだったのでうまくできない時もありました。しかし、そのお
かげで自分の能力が高まったと思います。この実験はとてもいい経験になりました。