No.12 湿 地 性 植 物

環境省自然再生プ ロ ジ ェ ク ト
子 ど も た ち へ 引 き 継 ぐ千年の草原
No.12
阿蘇草原再生ニュースレター
2007.03
http://www.aso-sougen.com
アズマイチゲ
(キンポウゲ科、多年草)
春一番、他の野草が芽吹く前に花を
咲かせる。熊本県は分布の南限で、
阿蘇ではごく限られた所に生育。
草原の生物多様性保全のため、湿地環境を再生する取り組みを行っています
春の草原にはさまざまな草花が咲き競います。起伏に富ん
ています。
だ阿蘇の草原では、窪地に湿地が形成され、春になるとサク
そこで、九州地方環境事務所では草原再生事業の一環として、
ラソウやリュウキンカなどが咲き、草原を彩ります。
湿地周辺環境整備を行いました。手入れが行き届かなくなっ
阿蘇の草原にわずかながら点在する湿地は、絶滅の危機に
たスギの植林地に囲まれた湿地帯を対象として、湿地性植物
瀕している希少な動植物が数多く生息・生育する、生物の多
が生育できる本来の環境を取り戻すために、周辺のスギ植林
様性が高いポイントです。湿地は放牧した牛の水飲み場とな
を伐採し、また、周囲から湿地への土砂の流出を防ぐために、
り、
また、春には周囲の草原と一緒に野焼きされることで保
伐採した木を用いて土留柵を設置しました。
たれてきましたが、近年、放牧の減少や野焼きの停止、植林、
光が入る環境となった湿地では、長年眠っていた種子が春
盗掘等により、湿地に咲く植物や湿地そのものが危機に瀕し
に芽吹くことが期待されます。
草原の維持管理作業の
ための管理道を、伐採
木を用いて整備しまし
た。これにより採草地
拡大が期待できます。
伐採樹木のウッドチップを利用した管理道
伐採し、光が入るようになった湿地
草原内の湿地には、シラヒゲソウやイブキトラノオなどの北方系植物や、
ヒゴシオンやオグラセンノウなど大陸系遺存植物などがみられます。
湿
地
性
�
植
物
シラヒゲソウ
ヒゴシオン
阿蘇の草原は、基本的に全ての場所が地元の牧野組合や地区により管理され、放牧等に利用され
ている入会地ですので無断で立ち入らないで下さい。また、自然公園法、県及び市の条例により阿
蘇に生息する多くの植物の採取が禁止されています。
間伐により光が入るようになった周辺樹林地
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