受託実習生・研修生受け入れ時職業感染予防のための

受託実習生・研修生受け入れ時
職業感染予防のための指針
(院内感染防止に係る抗体検査および
ワクチン接種について)
長崎大学病院
はじめに
 当院では職員全員の院内感染予防対策(うつさない)
と健康の確保(もらわない)の一環として,患者と接触
する可能性のある職員全員(外注職員含む)を対象に
ワクチン接種及び抗体検査の徹底を行っています。
 これらの職業感染予防対策は当院職員のみでは、院
内感染を予防することは困難であり、年間を通じて受
け入れている実習生についても同様の対策が求めら
れます。
 当院でのこれらの対策は一般財団法人日本環境感
染学会医療従事者のためのワクチンガイドライン第2
版に準じています。
要綱(1)
1.病院感染防止のため、以下の①~④の全てを満たした者に
実習等をさせること。
2. 実習生養成機関又は本院で実習等を行う者は、 ①~④
に関して医師名あるいは病院名が記載されている記録の写し
又は当院作成の「抗体価検査結果および胸部レントゲン検査
報告」を実習等の前に速やかに本院総務課に提出すること。
3.患者に直接は接しないまたは病室には入らない(カンファラン
スのみ)などの場合は①~④は不要とする。
4.ワクチン接種禁忌者であればその連絡すること。
①胸部レントゲン撮影検査
 年1回の胸部レントゲン検査を行っている事。
 異常が指摘された場合は、実習等に関する医師の診断書を
提出すること。
要綱(2)
②HBs抗体検査・B型肝炎ワクチン接種
 本院で実習等を行う者はHBs抗体検査の結果、
陽性(10.0mIU/ml以上)が確認された者とする
 抗体陰性者については、実習等の前にB型肝炎ワクチン接種
(0、1、6ヶ月の3回接種:1シリーズ)を受け、3回目接種終了
から1ヶ月以上経過後、HBs抗体検査にて陽性を確認すること
 EIAまたはCLIA、RIA法で10mIU/mL以上を免疫獲得とする
 やむを得ず抗体陰性者が実習等をしなければならない場合、
少なくとも実習等の前に1回目のワクチン接種を済ませること
要綱(3)
③4種類のウイルス抗体検査・ワクチン接種
 本院で実習等を行う者は下表に示す①~④の各疾患につい
てEIA法(または表1の測定法)による抗体検査の結果、各疾
患の基準値を満たしたものとする。
 抗体陰性がある場合は、実習等の前に該当するワクチン接
種(27日間隔をあけて2回接種)を済ませること(ワクチン接
種後は抗体獲得確認のための抗体検査は不要)。
 やむを得ず抗体陰性者が実習等をしなければならない場合、
少なくとも実習等の前に該当する1回目のワクチン接種を済
ませるものとする。
 陽性でも陰性でもない抗体価をもつ者は、実習等の前に該
当するワクチン接種1回を済ませること(ワクチン接種後は抗
体獲得確認のための抗体検査は不要)。
要綱(5)および(6)の表1および図1を参照の事
要綱(4)
④インフルエンザ
 毎年、流行期(10月~3月)前にワクチン接種を受けること。
要綱(5)
表1 抗体価の考え方
疾患名
抗体価陰性
抗体価陽性
(基準を満たさない)
抗体価陽性
(基準を満たす)
麻疹
EIA法(IgG):陰性
あるいはPA法:<1:16
あるいは中和法:<1:4
EIA法(IgG):(±)~16.0
あるいはPA法:1:16,32,64,128
あるいは中和法:1:4
EIA法(IgG):16.0以上
あるいはPA法:1:256以上
あるいは中和法:1:8以上
風疹
HI法:<1:8
あるいは
EIA法(IgG):陰性
HI法:1:8,16
あるいはEIA法(IgG):):(±)~8.0
HI法:1:32以上
あるいは
EIA法(IgG):8.0以上
水痘
EIA法(IgG):<2.0
あるいはIAHA法:<1:2
あるいは中和法:<1:2
EIA法(IgG):2.0~4.0
あるいはIAHA法:1:2
あるいは中和法:1:2
EIA法(IgG):4.0以上
あるいはIAHA法:1:4以上
あるいは中和法:1:4以上
あるいは水痘抗原皮内テ
ストで陽性(5mm以上)
流行性
耳下腺炎
EIA法(IgG):陰性
EIA法(IgG):(±)
EIA法(IgG):陽性
注意:4疾患とも補体結合反応(CF法)では測定しないこと
麻疹と流行性耳下腺炎は赤血球凝集抑制法(HI)法では測定しないこと
一般財団法人日本環境感染学会 医療従事者のためのワクチンガイドライン第2版参照)
要綱(6)
図1 麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎ワクチン接種のフローチャート
抗体価の測定をせず
に、1ヶ月以上あけて、
2回予防接種を受け、
その記録を提出して
もよい
1歳以上で2回の
予防接種記録がある
いいえ
はい
抗体価測定不要
1歳以上で1回の
予防接種記録がある
いいえ
はい
接種記録(母子手帳
などのコピー)を提出
抗体価測定
1ヶ月以上あけて、あと
1回予防接種を受ける
2回の接種
記録を提出
抗体価陰性
1ヶ月以上あけて、
2回予防接種を受ける
注意:ワクチン接種後の抗体獲得確認
のための抗体検査は不要です。
2回の接種
記録を提出
抗体価陽性
(基準を満たさない)
1回予防接種を受ける
最初の抗体価の記録
と接種記録を提出
抗体価陽性
(基準を満たす)
抗体価記録を提出
Q&A(1)
Q1.研修生が受けるということになっているが、院長本人も勉強会等で病院に出入りをして
いる(診療等は行っていない)。そのような場合もワクチン接種をしないといけないのか?
A1.患者さんとの接触がなければワクチン接種の必要はない。
Q2.研修の承諾が得られた際には様式等を送付してくれるのか?
A2.承諾の際には、研修申請様式と共に送付する。
Q3.誰が費用を負担するのか?ワクチン接種をしなければならないのはよく分かるが、こちらも勤
務をしていて、時間がない。費用はどれくらいで、手順はどうで、期間はこのくらいかかっ
て等詳細な説明がほしい。
A3.費用は受託実習生、研修生負担です。本学学生も自費で接種になります。学生の接種の場
合は学校医等で対応しているところもありますし、研修生等では近くの開業医で検査・接種さ
れている場合もあります。
ワクチン接種は同時接種が可能ですので、時間がない場合は麻疹・風疹・水痘・流行性耳下
腺炎・B型肝炎の5種を同時接種できます。接種場所は2cm以上離す必要があります。1種類
ずつの場合は4種感染症のいずれかを接種すると次の接種まで27日待つ必要があります。B
型肝炎ワクチン接種後は6日開けます。抗体検査結果は開業医ですと1週間ほどかかるでしょ
う。ワクチン接種は予約して、価格もあらかじめ尋ねておかれるとスムーズかもしれません。
Q&A(2)
Q6.見学者(病院見学)やカンファランスに出席する人等も検査の必要があるのか?
A6.基本的に患者さんと接しない人については検査やワクチン接種の必要はありません。
Q7.去年まで自分は病院所属だったが、データは残っていないのか?また新たに受けて提出が必
要なのか?
A7.過去に当院所属で記録が確認できれば再検査の必要はありません。総務課職員担当へお尋
ねください。
Q8. 4月から始めた人はインフルエンザワクチン接種についてはどうするのか?報告書が後の提
出になることは可能か?
A8.実習や診療期間がインフルエンザシーズンにかからなければ不要です。実習期間が10月~3
月にかかる場合は、シーズンがきたら途中で接種していただく必要があります。
Q9.麻疹・風疹について、当大学では母子手帳や第3期、第4期の予防接種で確認を行って保管し
ている。証明書等の提出は難しいので、その提出ではだめか?全員受けなおしてデータを提
出しないといけないのか?
Q9.母子手帳は証明書に入ります。2回接種が完了していれば抗体検査をする必要はありません。
フローチャートをご参照ください。
Q&A(3)
Q10.HBs抗体については血液感染なので、針刺し事故に関してのことだと考えている。なので、看
護師コースの学生は受けている。管理栄養士の学生は受ける必要があるだろうか?費用が莫
大になり予算のこともあるので、ご検討願いたい。
A10.患者さんのところに行かれる方はお願いいたします。糖尿病で自注射されている方が床に針
を落とし、それを拾おうとした際に針刺した事例は時々報告があります。
Q11. 本院にデータが残っている先生はそのデータを利用してよいのか?また、出先の病院で異
動があった場合は、前所属のデータを利用して構わないのか?
A11.構いません(Q8もご参照下さい)。前所属のデータを利用しても構いません。
Q12.B型肝炎の検査について、1年生の頃に検査をして陰性の学生にはその時にワクチンを接種
させている。実習については3年後期にあるが、もう一度検査を必要とするのか?
A12.1年次に検査をされ、ワクチンの対応もされており、かつワクチン接種後抗体価陽性が確認さ
れていれば、今回もう一度検査をする必要はありません。ただしワクチン1クール接種後も
抗体価が陰性であればもう1クール接種することを勧奨いたします。それでも陽性にならない
場合はその旨申し出てください。
Q&A(4)
Q13.検査の結果について、医師の診断書等の写しでもよいと記載してあるが、県立大学側で確
認をした名簿等で代替はできないだろうか(医師名等の記載はない)?
A13.名簿等一覧の場合は様式に従って養成機関長名と押印があれば代替可能です。
Q14.B型肝炎については+、-だけではなく、抗体値の記入も必要か?
A14.+は問題ないと思われますが、±の場合は基準値を明記していただければ結構です。
Q15.インフルエンザについては病院職員が行う際に一緒に受けさせてもらっている(自費)。
抗体価検査及びワクチン接種についても同様な方法で行うことはできないだろうか?
A15.本学以外の所属で診療従事届をだされている人は、申し合わせ事項により各自で行っていた
だく必要があります。
Q16.B型肝炎についてはキャリア、HBs抗体は陰性、ワクチンうっても効果がないと思うがどうした
らいい?
A16.ワクチン接種の必要はありません。その旨検査結果記録をご送付ください。
Q17.アレルギーによりワクチン等を接種できない人はどうしたらいいのか?
A17.ワクチン接種は禁忌でない方が対象ですが、抗体価までは明らかにしておいてください。
Q&A(5)
Q18.実習の引率の先生も接種の必要があるのか?(患者さんとの直接的な接触はないが、指導
等のため病室に入り観察するなど間接的な関わりはある)もしくは、小児病棟で実習を行う学
生の引率者はうつようにするのか?接種するとなったら全部の教員が対象なのか?
A18.病室に出入りする方はすべて対象になります。病室に出入りされない自施設だけの教員の場
合は対象とはなりません。
Q19.研修登録医の登録をしているが診療はしない。それでも提出が必要ですか?
A19.診療をせず患者さんに触れないことが明らかであれば提出いらない。接触程度がよくわから
ない時には当方へお尋ねください。
Q20.接種記録というのが報告書の様式にあるが、全員分の母子手帳やワクチン接種証明書の提
出が必要か。
A20.接種記録にはワクチン接種をうけた証明がある分について、有・無を明記。学校ごとで管理
ができていれば、母子手帳や証明書の提出は不要です。
Q21.開業医の方で、申請者がその病院の施設長の場合は、申請者と所属長の証明印が一緒に
なってもよいのか。
A21.そのような場合は申請該当診療科の先生が証明者になってください。
Q&A(6)
Q22.ワクチン接種 → 検査 → 陰性 → ワクチン接種 → もう一回ワクチン接種が必要か?
A22.ワクチンの2回接種が確認できれば抗体獲得のための抗体価検査は不要です。(フロー
チャートをご参照ください。)
表1 抗体価の考え方
疾患名
抗体価陰性
抗体価陽性
(基準を満たさない)
抗体価陽性
(基準を満たす)
麻疹
EIA法(IgG):陰性
あるいはPA法:<1:16
あるいは中和法:<1:4
EIA法(IgG):(±)~16.0
あるいはPA法:1:16,32,64,128
あるいは中和法:1:4
EIA法(IgG):16.0以上
あるいはPA法:1:256以上
あるいは中和法:1:8以上
風疹
HI法:<1:8
あるいは
EIA法(IgG):陰性
HI法:1:8,16
あるいはEIA法(IgG):):(±)~8.0
HI法:1:32以上
あるいは
EIA法(IgG):8.0以上
水痘
EIA法(IgG):<2.0
あるいはIAHA法:<1:2
あるいは中和法:<1:2
EIA法(IgG):2.0~4.0
あるいはIAHA法:1:2
あるいは中和法:1:2
EIA法(IgG):4.0以上
あるいはIAHA法:1:4以上
あるいは中和法:1:4以上
あるいは水痘抗原皮内テ
ストで陽性(5mm以上)
流行性
耳下腺炎
EIA法(IgG):陰性
EIA法(IgG):(±)
EIA法(IgG):陽性
注意:4疾患とも補体結合反応(CF法)では測定しないこと
麻疹と流行性耳下腺炎は赤血球凝集抑制法(HI)法では測定しないこと
一般財団法人日本環境感染学会 医療従事者のためのワクチンガイドライン第2版参照)
図1 麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎ワクチン接種のフローチャート
抗体価の測定をせず
に、1ヶ月以上あけて、
2回予防接種を受け、
その記録を提出して
もよい
1歳以上で2回の
予防接種記録がある
いいえ
はい
抗体価測定不要
1歳以上で1回の
予防接種記録がある
いいえ
はい
接種記録(母子手帳
などのコピー)を提出
抗体価測定
1ヶ月以上あけて、あと
1回予防接種を受ける
2回の接種
記録を提出
抗体価陰性
1ヶ月以上あけて、
2回予防接種を受ける
注意:ワクチン接種後の抗体獲得確認
のための抗体検査は不要です。
2回の接種
記録を提出
抗体価陽性
(基準を満たさない)
1回予防接種を受ける
最初の抗体価の記録
と接種記録を提出
抗体価陽性
(基準を満たす)
抗体価記録を提出