「アートの力でより良い社会に」

関西テレビCSRキャンペーン
2015.7.30 渚の風 5号 23
「アートの力でより良い社会に」
「ソーシャルアートウェーブ」
関西テレビCSR 3本目の柱
関西テレビは今年度、CSR(企業の社会的責任)活
動の新たな柱として、
「ソーシャルアートウェーブ」の
考え方を取り入れることを決めた。みんなが創造性を発
揮して発言し、行動することでアーティストになり、そ
の発揮された創造性によって社会をより良くしていこう
という考え方だ。今秋、能勢電鉄沿線に近い関西の北摂
1市3町で開かれるアートイベント「のせでんアートラ
イン妙見の森 2015」
(実行委員会主催)を全面的にバッ
クアップし、地域社会発展の刺激にしていく。
(文 森脇睦郎)
Text by Mutsuro MORIWAKI
多目的活動スタート
関西テレビの CSR 推進局は 2012 年に設置され、こ
れまで、社会課題をテーマにした映画上映と討論を繰り
広げる「ソーシャルシネマダイアログ@カンテーレ」
、
ハンディーを抱えた人たちによる芸術・芸能公演の場を
Yotta の2人と焼き芋販売車「金時」。岡本太郎現代芸術賞のグランプリに輝いた
提供する「ソーシャルパフォーマンス」を 2 本の柱に
して活動してきた。
今年度はこれらに、
「ソーシャルアートウェーブ」の
活動を加えた。シネマダイアログで討論のコーディネー
ターを務めるマルチアーチスト、谷崎テトラさんが呼び
かけ人代表となってフェイスブックを立ち上げ、運動の
機運を盛り上げる参加型イベント「関西ソーシャルアー
トミーティング」を開催したり、関西を放送エリアとす
る FM 局「FMCOCOLO」の番組に運動の紹介コーナー
を設置するなど多面的な活動が始まっている。
「のせでんアートライン」の
バックアップで地域に好刺激
今年度、関西テレビによるアートウェーブの最大の活
動はのせでんアートラインのバックアップだ。能勢電鉄
勢町を会場に 10 月から 11 月にかけ、
「社会を変える、
つながりのアート」のテーマで制作された約 40 の作品
が展示される。①ソーシャルアート作品部門②ソーシャ
ル映像作品部門③ソーシャルアートプロジェクト(社会
コラム
品が広いエリアで展開される。関西テレビは実行委員会
の一員となって「ソーシャルアート」のトータルコンセ
プトを打ち出したり、招待アーティストの招へいなどに
力を貸している。
招待アーティストの中で注目は、第 18 回岡本太郎現
代芸術賞のグランプリにあたる「太郎賞」を受賞した2
人組み「Yotta(ヨタ)
」だ。木崎公隆、山脇弘道による
現代アートのユニットで、戦後復興期から長い間、活躍
した焼き芋の車販売を現代に復活させた。トヨタ・セン
チュリーの車体を改造し、派手な電飾、赤ちょうちん、
きん
超ロングのマフラーで現代アートに仕上げた。名称「金
とき
時」
。最高級のサツマイモ、徳島産鳴門金時・里むすめ
で石焼き芋を作り、路上で販売する。岡本太郎賞の審査
員から「美と力と味と道が合体した作品」と評された。
CSR 推進局の森田誠二専任部長は「アーティストと客
との間でコミュニケーションが生まれ、地元住民への良
霊峰・妙見山の裾野に広がる里山。兵庫県川西
樹が食べつくされ、水田は踏み荒
らされる。わずか 100 人ほどの住
た 7 月 11 日昼、その里山にある黒川公民館は、シ
民が防護柵を張るなど、繁殖力の
カの話題で持ちきりだった。
強いシカと「知恵比べ」を続けて
京都光華女子短大(京都市右京区)の学生たち
「シカが悪いわけじゃないのよ
ね…でも、被害にあうと…」と婦
さんらとシカ肉を食材にした料理をつくり、試食会
人部の女性。
走ると、小鹿に出会う。大きな瞳が、
いうのだ。
ヘッドライトを映しこんで、きらり
しい食材なんです」
シカによる農作物被害・自然植生衰退への対策
の一環として 3 年前から始めた、シカ肉を使った
料理研究。試食会のあと、その活動を学生が発表
した。
黒川地区でも、シカの被害は深刻だ。野菜や果
能勢妙見山、沿線地域の公共施設(屋内外)
、空き家、
空き店舗など
【主 催】のせでんアートライン妙見の森実行委員会
【共 催】能勢電鉄株式会社
【後 援】近畿運輸局、近
畿経済産業局、産経新聞社、
関西テレビなど
シカ料理
能勢町
猪名川町
日
生
線
【問い合わせ】
実行委員会事務局
☎ 072・792・7716
(平日 9 時∼ 17 時 30 分)
妙見口
川西市
妙見山
妙見の森
リフト
妙見の森
ケーブル
豊能町
山下
箕面市
池田市
宝塚市
川西能勢口
1977(昭和 52)年に休校になった黒川小学校の木造校舎を利用
した黒川公民館。試食会は、この郷愁を感じる建物で行なわれた
夜。今ごろの季節に里山を車で
トライン妙見の森 2015」の映像部門に出展すると
「低カロリー、
高タンパク質、
脂肪控えめ、
鉄分たっ
【会 場】能勢電鉄の各駅、妙見の森一帯(屋内外)
、
いる。
が、
「愛 deer 料理教室」
(宝塚市)代表の林真理
ぷり…。シカ肉は、女性、そしてアスリートにも嬉
【会 期】10 月 10 日(土)∼ 11 月 23 日(月・祝)
生まれるかもしれない」と話している。
市の黒川地区もその一つだ。太陽がとても元気だっ
を開催。その様子を学生が撮影し、
「のせでんアー
「社会を変える、つながりのアート」
い刺激となる。能勢のサツマイモを使った新たな名物が
シカのすべてを価値あるものに
「シカ肉を食べてみませんか」
のせでんアートライン妙見の森 2015
妙見線
沿線に近い兵庫県川西市、猪名川町、大阪府豊能町、能
彫刻)部門で公募した作品と招待アーティストによる作
と輝く。ものすごいジャンプ力。その愛くるしさに、
員…。試食会に集った約 50 人は、みんな心の整
思わず視線は、釘付けになる。
理をしながら未来を描いていたに違いない。もちろ
でも、現実がある。人間も、暮らしを守らなけ
ればならない。人間もシカも「命ある存在」だが、
考え方は、きちんと整理しなければならない。
地元の人々、一流ホテルの元シェフ、大学教授、
ん、京都光華女子短大の学生たちも。
シカ肉料理研究家の林さんの名刺には、シカのイ
ラスト(右)と一緒に次のような一文が添えられてい
た。
能勢電鉄の城南雅一社長、アートライン実行委メ
<鹿のすべてを価値あるものに>
ンバー、関西テレビのスタッフ、川西市役所の職
あつくに
平田篤州