司会を務める毛利大地 スミス先生による英語研修 海外実習報告 0 日目

海外実習報告 0 日目 09 月 11 日(金)
小川龍之介,今村琴乃, 富永美利亜
9 月 7 日(月)の午前中に学研災および海外保険
についての説明を受け,海外実習事前研修が始まり
ました。その日の午後と 8 日(火)丸一日を使って,
フィリピンで行う最終プレゼンテーションについ
て話し合いを行いました。
“What can I do in the Philippines?”をテー
マに,私達がフィリピン農業の生産性を上げるため,
また循環型農業を推進するために何ができるかを
考え,それをどのように伝えるかを確認しました。
司会進行役を決め,食文化,畜産,稲作,水田,土
壌,灌漑など,様々な視点からフィリピン農業を見
司会を務める毛利大地
直しました。
9 日(水)から 2 日間は,ERC にてスミス先生によ
る英語に関する事前研修が行われました。2~3 人の
グループに分かれ,フィリピンを,土地,歴史,ま
つり,食文化,スポーツ,金融,人などの面から見
て,プレゼンテーションを英語で行いました。スミ
ス先生がフィリピンについてのビデオを見ながら,
それらの解説をしてくれたので,フィリピンへの興
味が高まり,また違った視点からフィリピンを見る
ことができました。スミス先生の研修では,それぞ
れが英語で自己紹介を行い,また時間をおいて繰り
返し自己紹介を練習しました。2 日間に 4 回の自己
紹介を行い,名前はもちろん,自分の得意とする専
スミス先生による英語研修
攻分野と,それを活かしてフィリピンでしたいことをいつでもどこでもすぐに英語で説明できるように
なりました。
『表敬訪問に自己紹介は付き物』とのことでしたので,この 2 日間の経験を活かした自己
紹介ができればと思います。
11 日(金)の午前中は,フィリピンから帯広畜産大学に留学しているデニスさんによるプレゼンテーシ
ョンが行われました。日本にいる間に,フィリピンの食べ物や土地に関することはもちろん,人々の考
え方や習慣について知ることのできる最後のチャンスでした。学生からは専門分野に関する,牛乳の生
産方法や牛肉をはじめとする肉の生産量などについての質問が多くありました。また,去年,海外実習
でフィリピンを訪れた 4 年生から話を聞く機会もあり,学生からはトイレットペーパーはあるのか,私
服はどのくらいあれば足りるのかといった,持ち物に関する質問が多くありました。表敬訪問が多いた
め私服は 3 日分あれば大丈夫,トイレットペーパーの芯を取って潰して持って行くと良いといった先輩
方からのアドバイスはとても貴重で,話を聞いているうちにフィリピンが楽しみになりました。
午後は表敬訪問に持って行くお土産を持つ担当者を決めました。それぞれがそれぞれの場所で挨拶を
しなければなりません。最終日はいつもより早めの解散となりましたが,最終発表のため,また大学紹
介について考えるためにパソコンに向かう学生も多
くいました。発展途上国のフィリピンに向かうとい
うことで,何を持って行けば良いのか,何に気を付
ければ良いのか,英語は通じるか…など,不安はた
くさんありましたが,前期のディベート論や今回の
研修を経て,フィリピンへの研修が楽しみになりま
した。フィリピーノ・フィリピーナはみんなフレン
ドリーという話はたくさん聞きました。発展途上国
にこそ,きっと笑顔がたくさん必要です。不安なと
きも,大変なときも,常に笑顔を忘れずに 2 週間頑
張りたいと思います。
事前研修最終日,各自のプレゼン確認
海外実習第 1 日目 9 月 13 日(日)
岩谷あかり,林田 空,岸本 栞
いよいよ皆が待ちに待った海外実習の日がやっ
てきました。国際ユニットのメンバーは皆この海
外実習に向けて事前調査やプレゼンの作成に取り
組んできました。私たちは初めての海外というこ
ともあり,前日は忘れ物がないか何度も不安にな
り,緊張してなかなか眠れませんでした。今日は
朝 8 時に大学を出発しました。学校には国際ユニ
ットの先輩方がお見送りに来てくださりました。
先輩方とお話をして,緊張が少し和らぎました。
まずはバスに乗り,帯広空港へ向かいました。写
真を撮りあったり,話をしたりと車内は和やかな
雰囲気でした。帯広空港では荷物の検査を終え,
出発前の様子
飛行機で羽田空港へ向かいました。帯広空港は何度か利用したことがあるのですが,学校の研修で利用
するのは初めてだったので,新鮮な気分でした。まだこの時点では自分が海外に行くということをあま
り実感できずにいました。飛行機の中でも最初は皆写真を撮ったりして盛り上がっていましたが,前日
までの準備や事前研修で疲れていたのか,寝ている人も多くいました。
昼ごろには羽田空港に到着しました。東京の天気は帯広とあまり変わらず,薄暗く雲がかかっていま
すがこちらも幸い雨は降っていませんでした。出発前に懸念されていた台風の影響もほとんど感じるこ
となく無事に着陸できました。到着してすぐに成田空港へバスで移動です。羽田空港の外に出たことが
なく,東京にも行ったことがなかったので,東京の景色を見るのは初めての体験でした。見るものすべ
てが新鮮でした。
午後 12 時 30 分,羽田空港からはリムジンバスに乗り成田空港の国際線ターミナルを目指します。他
の一般乗客に混ざりながら,およそ 1 時間半バスに揺られ東京の湾岸部を通り過ぎます。途中,バスか
ら見えた某有名アトラクション施設に歓声を上げ,羨望のため息をつくなどして,車窓を過ぎていく見
慣れぬ東京の景色を楽しみました。私も途中まで田舎者丸出しに窓の外を眺めていましたが,気づけば
舟をこぎ,あっという間に成田空港でした。
午後 2 時頃,成田空港国際線ターミナルに到着しました。メンバーの多くが初の国際線利用であり,
私もそのうちの一人でした。大きな吹き抜けのホールに多くのチェックインカウンターが並ぶターミナ
ルに,私は見上げた首が下がらず引率の岸本先生からはぐれないようにするのがやっとでした。国際線
というだけあって見渡せば周囲の半数以上が外国からこられた方ばかり,早くも異国に紛れ込んでしま
ったかのようでした。大きな電光掲示板にも胸が高鳴ります。
全員が無事にチェックインを済ませると,ここで見送りに来てくださった千葉さん(国際協力ユニッ
ト第 6 期生。私たちは第 10 期生)と合流しました。千葉さんからすると全く面識のない私達であるにも
関わらず見送りに来てくださったその懐の深さに感謝し見習わなければなりません。ありがとうござい
ました!
その後レストランにて簡単な決起会を行いました。しばらく食べることができないかもしれない和食
を食べる人,ラーメンをもりもり食べる人,早
速一杯いただく人,思い思いの最後の日本飯を
楽しみました。その後,一時解散し自由時間を
いただきました。午後 3 時から離陸時刻の午後
7 時 20 分まではかなりの時間ができてしまいま
した。今まで来たことのなかった国際線ターミ
ナル内を散策し回り,買い損ねた諸々の品をそ
ろえて時間をつぶしました。国際線利用時は液
体の機内持ち込みがより厳しくなるのですね,
小さな日焼け止めであろうとジップつきの袋に
入れなければならないそうですよ。初めて知り
成田空港での決起式
ました!
保安検査所を通るだけでもドキドキしました。他の皆さんはどうだったのでしょうか。初めてパスポ
ートにスタンプを押された嬉しさといったらもう!保安検査所を過ぎればあとは飛行機が出るのを待つ
だけです。そういえば,保安所を過ぎたところにある免税店にて,日本製の炊飯器が売ってあったのに
は驚きました。ジャパニーズカルチャーグッズということでしょうか。私達もフィリピンカルチャーグ
ッズを探してみようと思います。
成田空港とマニラ空港はともに便が混雑しており,離着陸に予定より時間を要しました。予定到着時
刻を 1 時間ほど過ぎるフライトとなりましたが,各々機内食や機内エンターテイメントを楽しんだり日
誌作成にいそしんだりと有意義な時間を過ごしていました。
マニラ空港に到着し飛行機から降りて,さっそくこの場所がもはや日本ではない事を思い知らされま
した。こちらを取り囲むような熱気と,どこを見ても日本語が見られない売店の群れが,私たちを出迎
えてくれました。ただ旅の疲れが出たのか,心なしか皆の顔は眠たそうです。
ドライバーの方にお出迎えをしてもらい,一同はホテルへ。ここで体験したフィリピン流の運転に,
疲れていた皆の頭が一瞬で覚めることになりました。
三車線ある道路をすいすいと縫っていく我々の車,
ですがその速度はあくまでもフィリピン流で,周りの車も日本の車よりは早い速度で流れていました。
複雑に組み合わされた道路,その上に点在する
三輪車やジプニーたち,そして何よりも,道路
と車を見下ろしている背の高いビル,異国の言
葉を掲げた看板やネオンが,私たちに向けて自
己主張してくるおかげで,私たちは疲れてぼん
やりした頭の中で,
「ああ,私たちはいよいよ外
国にやってきたのだな」という実感を私たちに
与えてくれました
ホテルに着く前に,近くにあったセブンイレ
ブンに寄って水を買ってから,今夜の宿へと向
かいます。
ホテルのロビーで手続きをする間も,
皆の顔からは疲労が感じられました。
ホテルの様子
明日からいよいよ研修が始まりますが,疲れを振り払い知識を吸収することができるのか。こうして
私たちのフィリピンでの 1 日目は終わり,2 日目がやって来るのでした。
海外実習報告第 2 日目 9 月 14 日(月)
担当者 大八木侑子,北村克朗,山川紗有美
9 時にホテルを出発し,徒歩で JICA フィリピン事務所を訪れました。最初に,JICA スタッフの清水
さんから JICA フィリピン事務所の大まかな説明をしていただきました。ODA の意義を説明したいただい
た時,日本も途上国に食料や天然資源などを依存しているという事実を言われ,今まで日本が途上国を
支援するというこちら側からの方向しか考えていなかったため,世界は相互依存であるということを気
づかされました。お互いが助け合って生きているそんな世界なのだと改めて感じさせられました。国別
援助方針の例では,災害リスク軽減管理というものがあり,これは地震や台風など災害国である日本だ
からこそ持っている様々な災害に対する知見を活かした取り組みです。この事業は先進国の中でも日本
が圧倒して持っている能力を発揮できるので,さらに他の国でも行なってほしいと強く思いました。他
の国ができないことがその国にはできるということは,どんな国でも持っていると思います。それぞれ
が,自分たちの役割を見つけることができた時,それを世界平和と呼ぶのではないかとその時考えまし
た。
次に,農業部門を主に担当されている小川さんに
農業分野を中心にお話をしていただきました。主な
支援内容として,インフラ整備,コミュニティ開発,
金融アクセス改善など様々ありましたが,その中で
も特に私が気になったのが,営農強化です。営農強
化では,農民・水利組合等への営農指導・組織強化
が行われています。これは,フィリピン人の家族な
ど親密な関係のある人しか信頼できないという性
格により組合の運営が難しいことに原因があるた
めだそうです。日本人ではない人を相手にするから
こそ,日本人とは違う性格,特徴があり,それは面
JICA での説明前の様子
白い反面,政策を行う際には大きな壁となっている
ことを今日は改めて感じました。また,JICA の政策以外にも様々な質問に答えていただきました。その
中で私が最も興味を持ったのが,フィリピン人の食生活です。フィリピンの食事は全体的に甘いもの多
いのですが,最近富裕層の人たちは健康面を意識し始め,「野菜は貧乏人が食べるものだ」と思われて
いたのが,オーガニック野菜などが人気を高めてきています。
フィリピンの特徴を知った上で,様々な問題を解決していかなければいけないことを改めて痛感しま
した。それは,人間関係にも当てはめることができると思います。今日の午前で,本当に様々なとこを
学ぶことができました。
JICA でのプレゼンテーションを聞いた後は一旦ホテルに戻り,ハイエースに乗ってマニラ市内のショ
ッピングモールに向かいました。ショッピングモールでは換金と昼食をとることが目的でした。本日の
換金のレートは 1 円当たり 0.388 ペソ,逆算すると 1 ペソあたり約 2.6 円というレートでした。換金が
終わった後,全員でフィリピン No.1 のファストフードチェーン「Jollibee」(ジョリビー)にて昼食を
とりました。Jollibee はフィリピンで人気のファストフードチェーンであり,スパゲッティとフライド
チキンとライスをセットとして頼むのがフィリピンでは主流の食べ方らしいです。他にもハンバーガー
やフライドポテトも売られており,各自好きなものを頼んでいただきました。スパゲッティの味は通常
のものよりほんの少し甘めの味でしたが美味しかったです。
昼食をとった後は,マニラ市内のホテルより少し
離 れ た 場 所 に あ る 国 家 灌 漑 公 社 (National
Irrigation Administration
以下 NIA)に向かいま
した。NIA ではプロジェクトコーディネータの西田
さんが担当していただき,JICA 専門家として農業
省派遣されている藤盛さんからフィリピンの稲作
の現状について,JICA からの専門家として NIA に
派遣されている宇都宮さんからフィリピンでの灌
漑について説明していただきました。フィリピンで
は米の生産量は高いものの,それを上回る消費量が
原因で他国から輸入をしなければ足りません。その
消費量は一人当たり約年間 120 kg で,さらに高い
国家灌漑公社
人口増加率のために年々消費量は高くなっています。一方,灌漑についてですが,フィリピン全体の灌
漑普及率は面積ベースで約 56%となっています。しかし地域によって差があり,普及率が高いところで
は 90%以上,低いところでは 20%ほどとなっています。また灌漑設備の破損も問題であり,その原因
には設計通りに施工されていないこと,フィリピンの水牛・カラバオによる破損も関係しているそうで
す。NIA では JICA と協力しながらフィリピンの灌漑の課題について様々な計画を策定し課題解決に取り
組んでいるとのことでした。
今日の夕食は藤盛さん,宇都宮さん,西田さん,そして以前に帯広畜産大学に留学していて今はフィ
リピンで働いているラリーさんとともに JICA フィリピン近くのインド料理屋で一緒にいただきました。
様々な種類のカレー,ラッシーなどをいただきながらフィリピンのことについて質問したり,逆に私た
ちの大学について話したりして夕食は盛り上がりました。
今日は JICA がフィリピンでどのような活動をしているのか,またフィリピンの灌漑について現地の
日本人の方から教えていただき,稲作をはじめとする農業や社会について少し知ることができました。