講義で用いるpptファイルは以下のサイトに掲載されています. 東海大学→理学部→化学科→学科作成サイト→教員紹介→大場武(研究室の HPへ)→講義→地球化学 前回の演習問題解答 問2.地球を10kgの球に例えた場合,海水と大気の質量を計算せよ 地球化学 太陽系と地球の形成 理学部化学科 大場武 ノート 原始太陽系星雲は,超新星の 爆発の名残 原始惑星は,短期間で形成され た. 原始太陽は現在の太陽よりも, 強く輝いていた.強力な紫外線 を放射(T Tauri型星)したために, 地球一次大気のH2やHeが宇宙 空間に散逸した. 1次大気:H, Heや希ガスに富む 2次大気:H2O, CO2に富む ノート 地球型惑星大気に 希ガスが相対的に 乏しいのは,大気が 2次的に形成された ことが原因であると 考えられている. ノート: 活火山の高温ガスは,マグマと平衡状態にある.原始地球大気は,マグマと化 学平衡に達していたと考えられる. ノート 初期の地球では激しい火 山活動が起きていた 40Ar/36Ar比から探る地球脱ガス史 太陽系初期の値 1×10‐4 現在の地球マントルの値 5000 現在の地球大気の値 295.5 36億年前までに,現在の大気のArの75%が すでに脱ガスしていたらしい. H2OもArと同じ脱ガス過程か? 40~44億年の地球の想像図.月は現在よりも地球に近く,いわゆる「海」が存在していない. 現在に比べ,小惑星の衝突が地球や月で頻繁に起きている.地球はCO2濃度が高い大気で 覆われている.Elements, vol2, No4, p213. ノート: LHB (Late Heavy Bombardment)とは,地球形成後に起きた小惑星衝突が激し い時期.この時に,月の「海」の部分が形成された. Elements, vol2, No4, p213 ジルコン(ZrSiO4)の分析で過去の出来事の時刻が分かる ノート: ZrSiO4(ジルコン)を用いる年代測定 以下の放射壊変を利用し,年代(億年単位で)を推定できる. 238U→206Pb(8回のα壊変) 235U→207Pb(7回のα壊変) ジルコンは結晶にウランを取り込みやすく,鉛を取り込み難い性質がある.ジルコンの結晶 ができた際に,鉛はほとんど含まれないと考えられる.ジルコンに含まれる鉛は,すべてウ ランが放射壊変して生成されたと考えられる. ジルコンの分析で明らかになった25億年よりも古い地殻の分布(濃い赤) 36億年よりも古い地殻には名前が記載されている. Elements, vol2, No4, p203 ノート 238Uから234Thへの壊変 が最も遅く,半減期は, 4.47x109年. 234Th以降の壊変は比 較的早い. 238Uは最終的に,206Pb に変化する. 206Pbの生成速度は, 234Thの生成速度に律 速されている. 放射壊変の式 C: 放射性核種の濃度 C0: Cの初期濃度 t:経過時間 th: 半減期 ௧ ௧ D: 娘核種の濃度 使用した文献 1.「地球化学概説」 松久・赤木 培風館 2.「宇宙・地球化学」朝倉化学大系⑥ 野津憲治 朝倉書店 3.「地球化学」 松尾禎士 講談社サイエンティフィック 4.Elements, Vol. 2, No 4, Aug. 2006 演習問題 問1. 2次大気とは何か? 問2. 現在の地球の大気が2次大気である証拠として何が挙げら れるか? 問3. ジルコンに最初238Uが1000ppm含まれていたとする.ある 時間が経過した後,206Pbの濃度は67ppmであった.どれだけ時間 が経過したか?ただし,最初に206Pbはジルコンに含まれていな かったとする.以下の数値を用いてもよい. (0.5)0.1 = 0.933 ppm: parts per million (100万分の1,mg/kg,μl/L, cm3/m3)
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