南山国際高等・中学校の将来計画について

南山国際高等・中学校の将来計画について
学校法人南山学園理事長
ハンス
ユーゲン・マルクス
学 校 法 人 南 山 学 園 は 、2018年 度 か ら 南 山 国 際 中 学 校 1年 生 の 募 集 を 停
止することを決定いたしました。
(今 後 の 予 定 )
2019年 度 末 、 南 山 国 際 中 学 校 廃 止 予 定
2021年 度 、 南 山 国 際 高 等 学 校 1年 生 募 集 停 止 予 定
2022年 度 末 、 南 山 国 際 高 等 学 校 廃 止 予 定
※ 南 山 国 際 高 等 ・ 中 学 校 の 廃 止 を 知 ら ず に 2015 年 度 に 中 学 へ 入 学 し た 生 徒 た
ち の 教 育 環 境 を 確 保 す る 事 を 最 優 先 し 、募 集 停 止 を 2018年 度 と し て い ま す 。
年
度
存
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す
る
学
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2015年 度
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2016年 度
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2022年 度
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高3
【趣旨】
南山学園は、設立当初より「国際性の涵養」を教育理念の一つとし
て掲げています。「国際性の涵養」とは、世界のどのような地で、ど
のような人と交わっても、他者の尊厳を認め、偏見の無い精神で相互
の理解と友情を育てることができる国際人の基礎を創ることであり、
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ローマ・カトリック教会を背景にもち、キリスト教世界観に基づいた
「人間の尊厳のために」を教育モットーとする南山学園に固有のもの
です。
1946年 に 南 山 外 国 語 専 門 学 校 を 設 立 し た こ と は 、 国 際 性 と い う 目 的
に向かっての一歩でした。現在も南山学園が設置する各学校では、外
国語教育に特別な努力を注いでおり、着実に成果を上げています。高
い外国語能力は国際性を養い育てる上で、不可欠な条件だからです。
加えて、南山大学では留学等の海外経験が豊富な教員および外国人
教員比率が全国でも屈指の高さにあります。また、外国人留学生に日
本語・日本文化を教授する日本研究センター(外国人留学生別科)は
1974年 に 設 置 以 来 、 海 外 に お け る 評 価 は 高 く 、 世 界 各 国 か ら 多 く の 入
学希望者を集めています。一方で、日本人学生の海外留学派遣者数も
多く、世界各国に送り出しています。
南山学園内各高等・中学校においても、交換留学や海外研修旅行の
実施、帰国生徒の受け入れなどで着実に成果を上げており、「国際性
の涵養」の実現に向けた教育を実践しています。
こ の よ う な 教 育 を 実 践 し て き た 南 山 学 園 は 、 1970年 代 当 時 の 社 会 的
要 請 に 応 え 、 「 帰 国 生 徒 」 を 特 別 な 存 在 と し て 、 1979年 の 「 帰 国 子 女
特別学級」に始まり、「国際部」、「国際高等・中学校」等を設置す
る と い う 方 策 で 規 模 を 拡 大 さ せ 、財 政 的 に 多 大 な 負 担 を 担 い な が ら も 、
その役割を果たしてきました。しかし、南山国際高等・中学校は、帰
国生徒教育に特化した学校であるため、一般生徒の受け入れは事実上
不可能であり、自助により財政的改善を図ることは極めて困難な状況
で す 。こ れ は 、南 山 国 際 高 等・中 学 校 の 財 政 状 況 が 示 し て い る よ う に 、
既 に 要 し た 設 置 費 用 に 加 え 、 約 75億 円 の 累 積 赤 字 と な っ て い る こ と か
らも明らかです。また、多種多様な背景を持った帰国生徒の教育は、
一般生徒と比較にならないほど多大な労力がかかること、編入学制度
を実施していることなど、南山国際高等・中学校がこれまで特長とし
てきたことは、今後、一学校法人が担うことができるものではなく、
継 続 的 に 運 営 す る こ と は 困 難 で あ る と い う 結 論 に 達 し ま し た 。加 え て 、
国や県からの帰国生徒補助金が大幅な減額の上、廃止されるなど、行
政も帰国生徒教育を特別視することを改める施策へと変化しています。
豊 田 市 に お い て も 、 既 に 2016年 度 か ら の 補 助 金 の 廃 止 を 決 定 し て い ま
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す。さらに、企業からの寄付募集も、現在の経済状況では極めて困難
な状況です。
今日、日本の国際化の進展により、海外・帰国児童・生徒は「特別
な存在」ではなくなり、その教育もまた特別なものとして位置づけら
れなくなってきています。また、当時は帰国生徒を受け入れる国公私
立中学・高校は極めて少数でしたが、現在では多くの学校で帰国生徒
を 受 け 入 れ る な ど 、 日 本 に お け る 帰 国 生 徒 教 育 環 境 は 1970年 代 と は 大
きく変化しています。
したがって、南山学園における特別な存在としての帰国生徒教育の
使命は、これまでに南山国際高等・中学校が取り組んできた社会貢献
で十二分に果たしており、既に役割を終えたものと考えます。
今 後 、南 山 学 園 は「 国 際 性 の 涵 養 」の 実 現 に 向 け て 、南 山 国 際 高 等 ・
中学校が行ってきた「帰国生徒」という特別な枠組の中ではなく、学
園が設置する各学校が行う教育研究活動を通して、より一層強力に推
進します。
大学における国際交流や海外留学制度の充実、高等・中学校におけ
る海外研修・国際教育、小学校における英語教育・国際教育などに代
表される国際性を目的とした教育活動を今後も拡大・発展させ、広い
視野からものごとを考えることのできる豊かな人間性を育てると共に、
地域社会および国際社会の発展に寄与する国際人の育成を目指します。
2015年 10月 23日
学校法人
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南山学園