地球の形成 元素の宇宙存在度

初期地球:地球の形成
太陽系形成の標準モデル
星の形成
3. 原始惑星の形成 ( 106 - 107 年 )
・微惑星の衝突合体 ( 集積 )
・暴走的成長(大きな微惑星の独占的成長)により
原始惑星 ( 1023 - 1026 kg ) の形成
・ある程度大きくなると成長が鈍り、重力による
相互作用によって一定の間隔を保ちながら成長
地球型惑星領域‥火星程度(地球質量の1/10)
木星軌道付近‥地球質量の数倍程度
天王星/海王星軌道付近‥地球質量の10倍程度
1. 原始太陽系円盤の形成
双極流
原始太陽系円盤‥ガス+ダスト(質量約1%)
ダスト(μmサイズ)の主成分:
雪線 (約3AU)‥内側:岩石・金属、外側:氷
2. 微惑星の形成 ( 106 年 )
4. 惑星の形成 ( 107 - 109 年 )
・地球型惑星領域:原始惑星の衝突
円盤の中心面にダスト層の形成
ダスト層から微惑星の形成(直径1∼10km程度)
(円盤ガスの消失により、原始惑星の公転軌道が楕円になる)
(この程度までは電磁気力により固まる。それ以上では重力
による)
(Shu et al., 1987; 岩波講座地球惑星科学1, 1996)
地球の形成
微惑星の衝突により
・衝突加熱
・衝突侵食
・地球質量の数倍∼10倍:円盤ガスの流入
木星/土星‥巨大ガス惑星
天王星/海王星‥惑星成長までに円盤ガスの消失
理科年表オフィシャルサイト
惑星系形成論 : 最新 太陽系の作り方
(小久保, 2007)
[http://www.rikanenpyo.jp/top/tokusyuu/toku2/]
H
99.9%
He
Fe
[加熱作用]
原始地球→大につれて,
衝突速度→大 ‥> 加熱作用→大
・脱ガス[衝突脱ガス]
1/100程度の大きさ(月)
・融解[マグマポンド]
1/10程度の大きさ(火星)
・蒸発
元素の宇宙存在度
(太陽系の物質の平均組成)
・太陽大気
・C1コンドライト
ビックバン:高温状態から冷却
素粒子→核子(陽子,中性子)
→原子核→原子‥H, He, Liなど
原始地球→大 ‥>重力→大
‥‥衝突脱ガス大気の保持
[地球軌道]
月程度:大気保持可能
火星程度:地質学的時間スケールで保持可能
(岩波講座地球惑星科学1, 1996)
恒星内部
での核反応
超新星
爆発
(山中他, 1995)
(Anders & Grevesse, 1989; 岩波講座地球惑星科学1, 1996)
原始太陽系星雲内での元素凝縮
高温ガスの冷却:凝縮物→微粒子(塵)→微惑星
(Grossman & Larimer, 1977; 山中他, 1995)
太陽大気と
C1コンドライトの
元素存在度の比較
★揮発性成分を除き,
よく一致する
含水鉱物
太陽(H, He: 98%):太陽系の質量の99.87%
惑星の原材料(山中他, 1995)
ガス惑星
氷惑星
原始太陽系の温度分布(Hughes, 1988; 山中他, 1995)
Fe, Mg, Siなど主要元素の
珪酸塩鉱物
元素/化合物
融点
石鉄質 Si, Mg, Fe, Sなど < ∼2000K
プラス O
氷
C, N, O, H
< 273K
ガス
H, He
< 14K
放射性元素 129I
消滅核種
消滅核種
氷ダスト
難揮発性
微量元素
大気中より高いXe同位対比(129Xe/132Xe)→129Xe の濃集
・隕石
・地球深部からの物質
ハワイ火山岩中の捕獲岩
キンバーライト中のカンラン石,ダイヤモンド (ヨウ素)の放射壊変
半減期が短く,昔は天然に存在し
ていたが,現在は消滅してしまっ
た(検出限界以下)放射性元素
雪線
岩石ダスト (約3AU)
Ca, Al, Ti
珪酸塩
酸化物
星間ガス ー凝縮→ 微粒子→隕石:どれくらいの時間で?
惑星の組成の見積 (%)(山中他, 1995)
岩石惑星
Fe 酸化物 ← 硫化物
天然に存在
129I
: 1.57 107 年
: 8 107 年
235U : 7.04 108 年
244Pu
→
129Xe(キセノン) 存在量
Po
∼T(1/2) 10
‥P消滅
Po
2
T(1/2)
時間
大気中より高いXe同位対比(129Xe/132Xe)→129Xe
の濃集
・隕石
・地球深部からの物質
ハワイ火山岩中の捕獲岩
キンバーライト中のカンラン石,ダイヤモンド 微惑星の衝突・集積/原始地球の成長
◆加熱作用
消滅核種 129I → 129Xe (半減期:1.57 107 年)
星間ガス ー凝縮→ 微粒子→隕石
129I
129Xe
129I半減期より
十分長い時間
132Xe
短い時間
融解による
潜熱の吸収
129Xe
132Xe
129I
残存
129Xe
132Xe
129I
起源の
129Xe
129Xe
132Xe
129Xeの濃集
大気中より
高いXe同位対比
(129Xe/132Xe)
*星間ガスの凝縮ー隕石形成:129Iの半減期程度
脱ガス大気
地球大気,C1コンドライトの希ガス,
C,Nの存在度と太陽系元素存在度との比較
地球大気
= C1コンドライト
Ne, Ar(不活性ガス)
‥ 減少度合­大
H, C, N, O
‥ 減少度合­小
(同程度の質量数なのに・・・)
→ H, C, N, O‥反応性大
岩石(微惑星)内
に取り込まれていた
↓
脱ガス
(岩波講座地球惑星科学13, 1998)
脱出速度: 月 火星
地球
*月サイズ:脱ガス
*火星サイズ:融解
◆脱ガス大気の保持 : 惑星の重力エネルギー>気体の熱運動エネルギー
地球軌道 月サイズ:大気保持可能
火星サイズ:地質学的時間スケールで保持可能
(Abe, 1996; 岩波講座地球惑星科学1, 1996;波講座地球惑星科学13, 1998)
大気中より高いXe同位対比(129Xe/132Xe)→129Xe の濃集
・隕石
・地球深部からの物質
ハワイ火山岩中の捕獲岩
キンバーライト中のカンラン石,ダイヤモンド 消滅核種 129I → 129Xe (半減期:1.57 107 年)
星間ガス ー 凝縮 → 微粒子 → 隕石
129I
129Xe
132Xe
129I半減期より
短い時間
129I
残存
129Xe
132Xe
129I
起源の
129Xe
129Xe
129Xeの濃集
132Xe
◆惑星集積後,129I 半減期より十分な長い時間が経った後に脱ガス
地球内部と大気のXe同位対比は等しい
◆129I 半減期と同程度または短い時間後に脱ガス
地球内部:129I の残存→ 129I 起源の129Xe の蓄積
‥地球内部物質:大気より高いXe 同位対比
*地球形成初期に大規模脱ガス(約80%が,形成後2 3億年程度で)
脱ガス大気
Ar同位体比から示される脱ガスの時期
Ar同位対比
現在:40Ar/36Ar = 295.5
40Ar:40Kの放射壊変により生成
(40Kの半減期:1.25 109年)
地球の形成
衝突脱ガス大気
H2O, CO2‥温室効果
マグマオーシャン
珪酸塩鉱物と
金属鉄(Fe, Ni)の分離
岩石中で40Kの放射壊変
→ 40Arの蓄積
地球形成後,
時間が経って脱ガスするほど,
40Ar量は多くなる
‥ 40Ar/36Ar は高くなる
金属鉄の滞留
未分化な内部
現在のマントル,大気中の
40Ar/36Arを満足する脱ガス史
を推定
↓
地球形成から数億年間で,
大部分が脱ガス(灰色部分)
初期大規模脱ガス
大規模な
入れかわり
核の形成
(Hamano & Ozima, 1978; 岩波講座地球惑星科学13, 1998)
(岩波講座地球惑星科学1, 1996)
月の年代
地球の形成
ジャイアント・インパクト
火星サイズの微惑星の衝突
↓
・金属核の融合
・マントルの吹き飛ばし
→ 月の形成
白:月の高地
‥斜長岩
4.4-4.5 Ga
黒:月の海
‥玄武岩
4.0-3.2Ga
(古: 4.2 Ga)
(新: 2.5 Ga)
マグマオーシャンの形成
斜長石の上部濃集→斜長岩地殻
激しい隕石爆撃→内部部分溶融:玄武岩噴出
月の高地の岩石の年代(>4.1 Ga)
月の高地:斜長岩,はんれい岩のRb-Sr年代
火星サイズの天体の衝突:8km/s
(左:接触の瞬間,右:30分後)
(Melosh, 1983; 岩波講座地球惑星科学1, 1996)
(Schonfeld, 1974; 岩波講座地球惑星科学1, 1996)
(Taylor, 1982; 岩波講座地球惑星科学12, 1997)
月の年代
月の岩石のAr-Ar年代
月の玄武岩のRb-Sr年代
(アポロ11: l, low-K; h, high-K)
地球の形成
‥微惑星の衝突頻度の減少‥
(重力エネルギーフラックスの減少)
大気・海洋の分化
水蒸気の凝結 → 海の形成
CO2を主体する大気
マグマオーシャン
マントルの分化
表面固化‥→
プレート(初期地殻)の形成
(激しいマントル対流:更新盛ん)
(BVSP, 1981; 岩波講座地球惑星科学12, 1997)
脱ガス大気‥温室効果
惑星集積で解放されるエネルギーと
表面温度(大気なし)
集積時間:106年
(Kaneoka, 1987; 兼岡, 1998)
核の分化
固体核(内核)の形成
プレートテクトニクスの駆動
含水した海洋地殻の形成
→ 島弧の形成・合体
→ 大陸地殻の形成
(岩波講座地球惑星科学1, 1996)
衝突脱ガス大気の温室効果
H2O+CO2 : 200気圧
太陽放射:70%
表面温度
エネルギー
フラックス
集積時間:107年
集積時間:108年
160 W/m2
160 W/m2以上:水蒸気の温室効果,1500K 以上
‥108年程度の集積時間(1019kg以下の微惑星)
160 W/m2以下:水蒸気の凝結,CO2の温室効果,
1000℃以上高温状態から,1000年程度で130℃へ
(Abe & Matsui, 1988; 岩波講座地球惑星科学13, 1998)
地球の表層環境:現在と初期地球
(岩波講座地球惑星科学13, 1998)
★原始海洋の形成
・CO2の溶解 → 表層温度の低下
・プレートの形成‥プレート運動の駆動
・含水した海洋地殻 → 大陸の形成
地殻
! 1次地殻‥数百万年∼数千万年で生成
地球形成初期、マグマオーシャンの冷却した被膜
隕石衝突(∼30億年前)、プレート運動により消滅
! 2次地殻‥∼2億年間で更新
玄武岩質地殻・・・[海洋地殻]
マントルかんらん岩の部分融解により形成
プレート運動により更新
! 3次地殻‥∼40億年間存在
花崗岩質地殻(安山岩質地殻)・・・[大陸地殻]
加水した海洋地殻の沈み込みによる火成活動
(含水マントル,海洋地殻の部分融解)
プレート運動により集積・付加(大陸形成)
(Taylor & McLennan, 1996)
・マントル物質(カンラン岩)の溶け始めと
溶け終わりの温度
・地球内部の温度分布
中央海嶺:
マグマの発生→海洋地殻の形成
中央海嶺の模式的構造
(山中他, 1995)
海洋リソスフェアの沈み込み
沈み込み帯でのマグマの発生
含水鉱物の脱水→水による融点低下
A. 海洋リソスフェア内の
含水鉱物の脱水
海洋地殻内の蛇紋石
( 600℃)
堆積岩中の緑泥石・金雲母
(<800℃, 80km深)
沈み込み帯
◆ 海洋プレートの沈み込み‥‥付加作用,引きずり込み
◆ 地塊の衝突‥‥地殻の厚さの増大
→ 岩石をより高温・高圧条件へ 「変成作用」
ー[水の存在]→ 地殻下部の融解(花崗岩質マグマの形成)
B. マントルウェッジ内に
含水鉱物の形成
[含水カンラン岩層]
含水カンラン岩層の
引きずり込み
C. カンラン岩中の
含水鉱物の脱水(圧力依存)
(1) 角閃石,緑泥石
( 110km深)
(2) 金雲母
( 170km深)
(巽,1989)
1000℃< の領域での部分融解
(水による融点低下)
↓
マグマの発生
(Skinner et al., The Blue Planet, 1999)
地殻下部(玄武岩質地殻)の融解ー花崗岩質マグマの形成
玄武岩の融解温度
H20に飽和した玄武岩の部分融解
海洋の形成
マグマオーシャンの固化 →海洋地殻・プレートの形成→ プレート運動の駆動
海洋との反応‥含水鉱物の形成
→ 沈み込み帯・衝突帯 → 火山活動・火成作用 → 島弧の形成
↓‥プレート運動
含水鉱物からの脱水‥融点降下
衝突・付加,火成活動
→大陸の形成
沈み込み帯
(川勝編, 2002)
水(H2O)の存在
↓
融解温度の低下
SiO2に富むマグマの形成
100 km
(岩波講座地球惑星科学1, 1996)
衝突帯
海洋プレート
の沈み込み
↓
衝突・付加作用
火成活動
↓
大陸の
形成・成長
*プレート運動
*水の作用